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ファン待望の「ガンダムSEEDシリーズ」最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が2024年1月26日に全国の劇場で公開される。それに先駆け、『機動戦士ガンダムSEED』(HDリマスター)を3部作に、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(HDリマスター)を4部作に再編集したスペシャルエディションが劇場上映中だ。

スペシャルエディション全7作と共に「ガンダムSEEDシリーズ」の魅力を振り返るアニメージュプラスコラム連載もついに最終回。現在公開中の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション 自由の代償 HDリマスター』と共に最終局面を迎える戦いの行方、それに伴い描かれていくキャラクタードラマに注目してみよう。

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ブルーコスモスの母体であり、戦争特需による利益拡大を目的に地球連合とプラントの軍事衝突を助長する黒幕的組織「ロゴス」と、ギルバート・デュランダルの指揮するザフトの戦いは続く。ブルーコスモスの盟主ロード・ジブリールは大量破壊兵器「レクイエム」を起動させ数基のプラントを破壊するに至るも、ザフトの宇宙艦ミネルバとシン・アスカたちの活躍によって、遂にロゴスの壊滅に成功する。

戦乱が収まった絶好のタイミングで、デュランダルはDNAを完全に解析することで個人の自由意志を認めず、その適正にあった職業に従事させ徹底的に管理することで平和な世界を築く「デスティニープラン」の実行を宣言する。オーブとスカンジナビア王国がその導入を拒否すると、デュランダルはロゴスから没収したレクイエムを躊躇なく使用してこれを威嚇。事態は新たな局面へと移行することに。
宇宙へと飛んだアークエンジェルはエターナルと合流、キラ・アスラン・ラクスたちはデュランダルの計画を阻止するための行動を開始することに。

デュランダルの剣として純粋な思いで戦場を駆けるシン。デュランダルの思想を信じかけるも、その裏にある闇を知り敵対する道を選んだアスラン。ラクス襲撃事件をきっかけに、彼女を守り戦いの無い世界のために再び戦場に立つキラ。3人の思いが交錯する中、戦いは大量破壊兵器レクイエムをも手中に収め、刻々と計画を進めるデュランダルがいる機動要塞メサイアを目指す最終局面へと突入していく――。

前作『SEED』ではキラとアスランを2軸とした物語が展開し、復讐の連鎖が生み出す戦争を否定するテーマが語られたが、『SEED DESTINY』は様々な視点からの「平和を希求する行動」が描かれることとなった。

アスランはカガリと共に政治の道から、そしてキラは世俗から距離を置くことでそれぞれの考える「平和」を模索していた。しかし、それはハッキリとした回答を引き出せるものではなかった。一方、デュランダルの発言や施策はいつでも明確であるため、多くの人々の心を捉える。戦争の元凶=ロゴスという目に見える目標を設置することで、容赦なくこれを殲滅することに集中させ、彼が指し示した「デスティニープラン」は世界に平穏をもたらすシステムとして理に適ったものであることは誰もが認めるところだろう。プラントの穏健派であり、若者にも理解を示しチャンスを与える懐の広さを持ち合わせる「理想的な政治家」の姿や言葉に、人々は魅了されていく。

戦争によって孤独になったシン・アスカも、そんな若者の一人だ。デュランダルの思想的な影響を受け、遂にザフトの最新鋭MSであるデスティニーガンダムのパイロットにまで成長する。戦争のない世界を作るために、ひたすらに目の前の敵を撃退していく――それこそが、シンの思い描いた「平和」へのアクションだった。

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しかし、キラやアスラン、ラクスやカガリたちはデュランダルやシンの提示する口当たりの良い「シンプルな平和」を受け入れることはできなかった。誰かから与えられるだけの、個人の自由を奪われた上で成立する平和は、真の平和と言えるのか。最終決戦の場となるザフトの機動要塞「メサイア」内でキラとデュランダルは銃を向け合い、お互いの思いをぶつけ合うことになる。

一方、シンの仲間であり強い友情で結ばれたレイ・ザ・バレルの存在も、本作のクライマックスに大きな意味を持ってくる。レイの正体は、ラウ・ル・クルーゼと同じくムウ・ラ・フラガの父、アル・ダ・フラガのクローン実験体だった。クルーゼの亡き後、彼の親友であったデュランダルに預けられ育てられたレイにとって、デュランダルは父の代わりであり、自分を導いてくれる絶対的な存在だった。それゆえに、レイはデュランダルの命令に絶対服従を貫いてきた。
しかし、デスティニープランが提示する「自由なき未来」は本当に自分の望んだものだったのか……キラとデュランダルの対話の中で、彼の心は大きく揺れていく。

もう一人、「自由なき未来」を選んだ者として本作で強い印象を残すのは、ラクスの替え玉として活動したミーア・キャンベルだ。ラクスの復活と共にその存在を疎んじられるようになってしまった彼女は、ラクス暗殺のための手駒として扱われてしまう。
自分の価値は、もはや押し付けられたラクス・クラインの仮面を被り続けることでしか成立しないことに気づいたミーア。自由を捨て、デュランダルの意のままに憧れのスターとして生きた日々は彼女にある種の豊かさをもたらした後、孤独で残酷な末路へと導くことになる。これもまた、デュランダルの目指す「平和」の一面を現しているのだ。

それぞれの思いを壮絶なMSバトルに重ねて、本作のストーリーはクライマックスを迎えることに。その結末はぜひ劇場のスクリーンで確認してもらいたが、あえて言うならばその後味は決して爽快なものではない。現実の戦争が決してなくならないように、「ガンダムSEED」の戦争の火種も簡単に消せるものではないからだ。
しかし、大事なことはその状況をただ受け入れるのではなく、自分が何をできるかを考え、行動していくことではないか。決められた「運命」と選択する「自由」の激突――本作で活躍したガンダムの名称には、本作スタッフのそんな思いが込められていたのではないだろうか。

本作で幕を下ろす『SEED DESTINY』を経て、彼らの物語は続く完全新作映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』へと引き継がれていく。長き時を経て私たちが再会するキラ、アスラン、シン、ラクス、カガリたちの前には、果たしてどんなドラマが待ち受けるのか? 改めて『自由の代償』を観直すことで、その新たな戦いに備えてほしい。

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