乃木坂46の元メンバー、白石麻衣さん。女優、モデル、番組MC、アクセサリーブランドのディレクター、声優など…その活躍は多岐にわたる。

そんな白石さんを、食通をも虜にする、下北沢のスペイン料理店にてインタビュー。

昨年30歳という節目を迎えた彼女が語った、結婚観と仕事観とは?


「久しぶりの下北沢。お洒落なレストランに来るのは初めて」

下北沢には数えるほどしか来たことがないという白石さん。店内を見渡し「落ち着いた空間で、海外の雰囲気もある。新しい発見があって楽しいですね」としみじみ


「まるで絵画のよう」「見ているだけで幸せな気持ちになる」。

そんな声がカメラのモニターを覗くスタッフの口々から漏れるほど、撮影当日の白石麻衣さんは美しく、もっと言えば“神々しさ”をたたえていた。

「下北沢に来るのはおそらく2回目。こんなにお洒落なレストランがあったことにまず驚きました。結婚したらこの辺りに住むのも素敵ですね」

インタビューの手始めに撮影の感想を求めると、白石さんは「結婚」というビビッドな単語を繰り出した。

昨年の8月に30歳の節目を迎えたことを思うと、何か心境の変化でもあったのだろうか?と邪推してしまうが、それは極めて勝手な見立てだったらしい。

水を向けると、ご本人は「30代に突入したからといって結婚に焦ることもありませんし、毎日を楽しく過ごす中で素敵な人に出会えたら、それが私にとっての適齢期です!」と言って、涼しげに笑った。

思い起こせば、過去、数回にわたって本誌のインタビューに応じた時にも、彼女は似たような言葉を残していた。

例えば、「先のことはあまり考えない」「人生は一度きりだから、とにかく楽しみたい」。そうしたスタンスが揺らいでいないのは、ここ数年の彼女の仕事ぶりを見れば一目瞭然だ。

女優やモデルにとどまらず、バラエティー番組のMCやアクセサリーブランドのディレクター、声優などにも初挑戦。

さらには、YouTubeの公式チャンネル『my channel』にて、バッティングセンターで打席に立ってみたり、“キッチン棚を作る”と題してDIYにトライしたり、さらにはゲーム実況でゲーマーぶりを披露したり……と、さまざまな一面を明らかにしている。


「自分の可能性を限定したくないから、興味を大事にしたい」


なぜ、ひとつに絞らずさまざまなことに挑戦するのだろう。意地悪な見方をすれば、それは“広く浅く”にもなりかねないのに。

質問すると彼女はこう言った。

「自分の可能性を限定したくないという思いが強くて。だから、興味を持てることはなんでもやってみたいんです」

その考えには、2020年10月の卒業コンサートをもって「乃木坂46」から独り立ちしたタイミングが、コロナ禍と重なっていたことも、多分に作用しているようだ。



【未公開カット!】キラキラした笑顔で、スペイン料理とワインの美味を楽しむ白石さん

「自分自身とゆっくり向き合える、落ち着いた生活を楽しんでいます」


「グループに属していた時はほぼ集団で行動していましたが、環境が変わってからはマイペースに進んでいくことになったので、自然と自分自身を見つめ直すことになりました。

かつては休みとなったら思い切り寝坊して、朝昼兼用の食事をとるみたいな生活だったのに、せっかく自由に使える時間があるんだから、早起きして朝ごはんを作ろう、ゆっくりコーヒーを味わおう、ちょっと早めに出かけて外の空気をたくさん吸おうなどと、どんどんバリエーションが増えてきて。

それをやっているうちに、だんだんと心に余裕が生まれてきたんです」

そのとおりかもしれない。

人はつい「いつもと同じこと」を繰り返して生活をマンネリ化させてしまいがちだが、「普段やらないこと」をあえてすることによって、新鮮な気持ちになり、脳が活性化したような感覚が得られることがある。


「“女優”という肩書きに対してのこだわりはない。いただいたお仕事に対して全力で取り組むのが私のスタイル」


白石さんの活躍は止まらない。今年4月から6月までは木村拓哉さんが主役を務めた月9ドラマ『風間公親―教場0―』に出演。

そして、8月からはNetflixにて赤楚衛二さんと共演する映画『ゾン100〜ゾンビになるまでしたい100のこと〜』の配信がスタートする。

“ストレスフルな現代社会を生きる人々に贈る、爽快ゾンビコメディ”という触れ書きの本作で白石さんが扮するのは、ヒロインの三日月 閑(シズカ)。リスクヘッジを第一に考えて行動する論理的な人物であり、白石さん曰く「私とは真逆のキャラクター」だそう。

自分と正反対の役を演じられることは、俳優という職種の醍醐味ではないだろうか。そう思いながら、ふと「女優は天職だと思いますか?」という質問をぶつけてみた。

すると、白石さんはためらう様子もなく否定したのだった。




「女優としてどうなりたいとか、絶対にこの作品に出たいとか、ひとつの肩書きに対してのこだわりはないんです。お芝居に限らず、いただいたお仕事に対して全力で取り組むのが私のスタイルに合っています」

振り返れば、芸能界に飛び込んだのも「偶然の成り行き」だった。

高校を卒業して音楽系の専門学校に通っていた時に「AKB48」の公式ライバルグループができることを知り、友人たちと思い出作りの一環としてエントリーしたのがきっかけになったのだ。

「この世界はすごく特殊だし、日々悩みも尽きないけれど、何かをやり遂げた後の達成感はとてつもなく大きい。だから、あの時の衝動は決して間違っていなかったと今では確信しています」

そう話す白石さんは、ほほ笑みながらも鋭い視線を投げかけてきた。

そこには彼女の毅然とした態度が見てとれた。自分の目の前を通り過ぎようとしていることを適当に受け流すのではなく、きちんと受け止めて味わい、自分のものにしてしまう“しなやかさ”が。

そんなことを考えつつ、雑談がてら最後に「人生に欲はないとして、今何か欲しいモノは?」と尋ねてみた。

「家電量販店に行くのが好きで、いつも最新の家電が気になっています。インターネットでレビューをくまなくチェックして、メリットとデメリットを念入りに下調べしてからお店で買うのが、お決まりのパターンですね」

オンラインで完結させるのではなく、リアルも大切にする。それも白石さんらしさの表れ。

きっと、店頭で対面のコミュニケーションを通じていろいろなことを吸収し、無意識であるにせよ、自分の肥やしとしているのだろう。

意識と無意識の垣根を越えて、物事を純粋に楽しむことができる人は、きっと無限の可能性に満ちている。

白石さんのような人には、もしかしたら肩書きなんて必要ないのかもしれない。

「何者か」に規定されて自らを縛り付けてしまうより、興味があることに素直に手を伸ばした方が豊かになれる。そんなことを示唆されたような気がした。


■プロフィール
白石麻衣 1992年生まれ、群馬県出身。2011年に「乃木坂46」1期生オーディションに合格して芸能界入り。卒業後は女優業を本格化。最新作は8月3日(木)配信のNetflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』。アクセサリーブランド「ALP」のディレクター。

■衣装
ドレス 110,000円〈トリー バーチ/トリーバーチ ジャパン TEL:0120-705-710〉、イヤリング 42,900円、右手人さし指ゴールドリング 15,400円、右手人さし指シルバーリング 11,000円、右手薬指リング 11,880円、左手人さし指リング 49,500円、左手中指リング 15,400円〈すべてステラハリウッド TEL:03-6419-7480〉、その他スタイリスト私物

▶このほか:「もともと趣味もなくて…」有村架純が大切にする、仕事とプライベートのバランス




東京カレンダー最新号では、白石麻衣さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、白石さんが考える“人と会うことの大切さ”とは?

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