LITALICO(東証プライム市場。以下、リタリコ)。障害者の就労支援を軸に障害児教育支援や、福祉施設の運営支援などを手掛けている。2020年4月設立、21年4月に上場。

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 周知の通り厚労省は「障害者雇用」に注力している。1年前の22年6月時点で企業に雇用されている障害者は、約61万人と着実な増加状況にある。が社員が一定数以上の企業に課せられている、障害者雇用率を達成している企業は5割以下にとどまっている。

 そうした時代の流れの中で「障害者就労支援農場運営」で実績を積み、先立って上場(2006年)したのがエスプール(東証プライム市場)。リタリコの上場を「良きライバル登場」という視点から、注目をしていた。

 そんなリタリコを改めて目を向けた契機は、3月20日の株価動向だった。3月17日(金)の終り値:2564円に対し、週明け20日は2669円の高値をつけた。4%の上昇。

 市場関係者はその背景を、「リクルート出身で学習アプリ立ち上げのキャリアを持つ、山口文洋氏が社長に就任する」「17日付けの野村證券のレポートが、目標株価を3720円から4000円に引き上げた」と説明した。

 株式市場の胸中までは覗き込めないが20日の予想PERが62倍台(エスプール:19倍台)を勘案すると、「野村證券の目標株価引き上げ⇔市場の期待度の高さ」と読み取ることができる。

 収益動向は好調。上場初の22年3月期は「売上高:197億3700万円、営業利益:24億4400万円、最終利益:10億7800万円、5円配」。前3月期は期初計画+αの「22.5%増収、27.7%営業増益、52.6%最終増益、13円配」で着地。今3月期も「24.1%の増収(300億円)、20.2%の営業増益(37億5000万円)、27.7%の最終増益(21億円)」計画で立ち上がった。

 前記の2669円から4月26日の2319円までのジリジリとした調整の結果、本稿作成中の時価の予想PERは27倍強も、株価は2500円余と戻り基調。またIFIS目標平均株価も4500円まで引き上げられている。

 主軸のは、前期ベースで総売上高の約4割を占める。が業態(業容)拡大の歩みを、M&A戦略も駆使し進めている。例えば介護事業。1月にリハビリ特化型デイサービスの運営企業を買収。2月には障害者就労支援企業と、精神科特化の訪問看護企業を買収といった具合。

 障害者就労支援でエスプールとの切磋琢磨を期待したい。