ドイツ代表:あらゆる部分の破綻が招いた、グループリーグ敗退

©️Getty Images (2)
ロシア・ワールドカップにおける屈辱のグループリーグ敗退、そして2021年夏のユーロにおける16強での敗退に続き、今回のカタール・ワールドカップでもドイツ代表は、本番を迎える前にコスタリカ代表戦における無意味な勝利を手にしたまま、大会を後にすることを余儀なくされた。サッカー大国ドイツ、もはやそれは遠い昔話のようだ。むしろ国際舞台から取り残されはじめている感さえも受ける。そしてその責任は選手たち自身の中にもあるものだ。
選手:
確かにこの試合では開始まもなくして幸先よく先制点を奪い、並行して行われていたスペイン戦に臨む日本へさらなるプレッシャーをかけたかったものの、それどころかドイツ代表は世界ランク31位に立ち直らせるきっかけを与えることになる。まさにここのところのドイツ代表のお決まりとなってしまった、決定力の致命的な欠如は大きな壁として終盤の猛攻においても功を奏すことなく、ただただこの試合では「7点か8点はとれたのだろうな」という程度の印象だけが虚しくファンの心に残された。
連盟:
ドイツサッカーは今回のワールドカップにおいて、あらゆる部分で破綻しきっていた。たとえばドイツサッカー連盟レベルにおいては、ベルント・ノイエンドルフ会長がOne Love腕章問題でFIFAとのいざこざをむしろ悪化させ、大会に臨むチームや選手自身に対しても影を落とすほどの事態まで招いてしまう。加えてマネージャーのビアホフ氏の判断ミスにより、カタール北部の合宿所を選択したことは、その後に会見に監督1人しか参加しないという、またしてもピッチ外の不用意な話題を作り出してしまった。そんな隔離されたその場所は、まるでドイツのサッカー界との距離感の象徴のようにさえ感じられる。
監督:
ロシア・ワールドカップ、ユーロでの早々の敗退に続き、ビアホフ氏は遂にヨアヒム・レーヴ監督の長期政権に見切りをつけたが、判断は明らかに遅過ぎた。確かにハンジ・フリック監督の就任からは多くの好意的反応が得られてはいたが、ただレーヴ氏のこれまでの取り組みに改革を唱えるのではなく、むしろ受け継ぐ側の人間であり、母国でのユーロ開催まであと1年半しかないということからも、あまり時間のない中で今回の敗退から、徹底的な分析を行なって行かなくてはならない。この大会ではこれまで築いてきた監督としての名声に、深い傷がついているのだから。
選手起用:
初戦の日本戦ではイルカイ・ギュンドアンの不必要な交代など、選手交代によりむしろチームを混乱させてしまった。スペイン代表戦でのリアクションは間違いではなかったが、ただなぜそこでの収穫をコスタリカ戦で活かせなかったのか。それもまた全くもって不可解なものである。そこで決勝点をあげ改めてドイツ待望のCFの誕生とその重要性を示したフュルクルーク、そして不足していた右SBでは負傷から回復したルーカス・クロスターマンが、それぞれにスペイン戦で貴重な戦力となれることを示したにも関わらず、両選手の名前は今回の先発メンバーの中にはなかった。
チームスピリット:
むしろボランチの起用問題を避けるために、そしてバイエルンの選手を同時に多用する選択肢をとったことで、引き続きトーマス・ミュラーが先発し、ゴレツカ起用でキミヒをこの試合で右サイドバックに配置する策に出たのだ。それがいかに誤りであったか、後半から修正をかけたことからもフリック監督も大いに認めるところであろう。この大一番で、こんな判断ミスをする指揮官が、本当にドイツ代表の監督が務まるのだろうかと疑問さえわく。バイエルンの多用などからもみてとれるように、フリック監督は「和」を重んじる傾向のある監督なのだが、ただいくら合宿期間が短かったとはいえチームスピリットは彼らからは感じられていない。荒々しいローテーションでテストマッチを組むのではなく、せめてオマーンでの合宿期間では戦術面などの準備に勤しむべきではなかったのか?
前途多難なユーロ2024:
今回のコスタリカ戦前の会見ですでに、グループリーグ敗退でも監督続投への意欲を示していたフリック監督だが、実際にそうなるのであればこれからは自らにとって不都合なことであっても、それらの疑問にしっかりと向き合い答えを導き出していかなくてはならない。ユーロでは30代後半にまで突入するノイアーとミュラーに頼り続けるのか?1年半後のチームを牽引していくのは、果たして誰なのか。核となるべき選手たちはいったい誰になるべきなのか。確かにセンターフォワードとサイドバックの不足を招いた、ドイツサッカー連盟のユースにおける失敗の責任まで負わせるべきではない。ただフリック監督ら競技面担当のみならず、運営という面において数多くの問題を抱えている中で、決してこの状況からの打開というものは容易なものではない。そのためにいかに大きな覚悟と決意をもつべきであるかということを、今回のグループリーグ敗退という現実が突きつけているのである。
「来週から話し合いを重ねていく」
金曜に帰途に着く際、ノイエンドルフ連盟会長は来週にもフリック監督やビアホフ氏と共に、ヴァツケ副会長らも同席の下で話し合いの場をもつ考えを明らかにした。「この展開は我々にとって大きな失望であり、敗退はあまりに痛いものだ。それでも前を見据えなくてはいけないし、この状況にどう対処するかしっかりとしたプロセスを開始する」と宣言。「この話し合いで今大会の競技面の分析と共に、母国開催のユーロ2024を見据えた展望を練ること。また2018年以降の流れもそこに含まれるべきで、ここから今後も議論を重ねていく」と語った。ちなみにビアホフ氏は3大会連続での失態の責任について問われ「自分で決めることではない」としつつ、フリック監督の去就については続投を支持。フリック監督自身は敗退後には明言は避けたものの、試合前の会見で続投の意思をみせていた。
