アビダル(右端)の発言にメッシ(左端)が反論した一件は、小さくない波紋を呼んだ。(C)Getty Images

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 2018年8月、バルセロナでリオネル・メッシを頂点とし、セルヒオ・ブスケッツ、ジェラール・ピケ、セルジ・ベルトの3選手がその脇を固める新たなキャプテン体制が発足した。

 全員がマシア(バルセロナの下部組織)育ちで、マンチェスター・ユナイテッドとサラゴサでのプレー経験があるピケを除いて残り3人はバルサ一筋だ。かつてのカルレス・プジョールがそうだったように、この生え抜きカルテットのリーダーシップの下で、ドレッシングルームに強固なチームワークが醸成されることが期待された。

 しかしそれから1年半が経過し、その見立て通りに物事が進んでいないのが実情だ。いまだにマシア出身の“最も新しい出世頭”というイメージが抜けないセルジ・ロベルトにはそもそもベテラン揃いのチームにあってそこまでの存在感はない。
 
 カリスマ性では他を寄せ付けないピケが影響力を発揮するには、ノリの軽さが否めない。本業に加え、ビジネス活動に勤しみ、将来の会長就任にも色気を見せる日々の言動も、そうした印象を後押ししている。

 ブスケッツは身内を大切にし、伝統のスタイルの継承の重要性について説くが、周囲にリーダーシップを行使するタイプではない。そしてメッシだ。エースとして、第一キャプテンとして孤立を深めていた彼は先日、その不満を爆発させた。

「選手のことを話すなら、具体的に名前を挙げるべきだ」

 エルネスト・バルベルデ前監督の解任に踏み切った背景にマンネリ化による選手たちの努力不足があったことを匂わせたTD(テクニカル・ディレクター)のエリック・アビダルに対し、自身の「インスタグラム」を通じこう強い口調で反論したのだ。

 ただ実際に、今シーズン、バルベルデの下でチームが必ずしも一枚岩になっていたわけではなかった。開幕以来、前指揮官が取り組んだ戦術は、メッシとルイス・スアレスの得点力をいかに活かすかという点に特化していた。その一環として2人に対し、守備のタスクを免除。当然の結果として背後で構える選手たちの守備の負担が増した。

「(GKの)テア・シュテーゲンと8人のフィールドプレイヤーだけで守備をするなんて無理がある」

 こうした不満の声が、ドレッシングルームで飛び交ったのだ。
 
 その不満分子の1人がブスケッツだった。お互いチームメイトだった頃に彼が頻繁に戦術談議に花を咲かせた相手がシャビで、チームの中でもバルサ伝統のスタイルを重んじる急先鋒だ。2人のそんな関係はシャビがカタールリーグのアル・サッドに移籍し、現役を引退し監督に転身してからも続いている。

 開幕以来、出場機会が激減していたイバン・ラキティッチ、ベテランの1人であるジョルディ・アルバもブスケッツ派に属し、試合内容が一向に改善しない状況を前に次第に彼らの間でシャビの監督就任を期待する声があがった。

 我が道を行くタイプのテア・シュテーゲンが、チャンピオンズ・リーグのスラビア・プラハ戦(グループステージ第3節)後にチーム批判を展開したのはまさにそんな時だった。また後述するバレンシア戦直後の練習中にが、ルーズボールの競り合いをきっかけにテア・シュテーゲンとメッシの間で口論が繰り広げられた。
 
 もともと両者の関係は極めて良好だ。メッシが昨年12月にバロンドールを受賞したその式典で、テア・シュテーゲンの呼びかけで仲良く一緒に写真に収まっている。しかしその一方で、テア・シュテーゲンは今シーズン加入したフレンキー・デヨングを親身になってサポートし、ラキティッチやネウソン・セメドと親しくし、クレマン・ラングレ、サミュエル・ウンティティ、ウスマンヌ・デンベレが形成するフランス人グループとも信頼関係を築いている。