至高のキーボードHappy Hacking Keyboard(HHKB)の最新モデル3つの進化ポイントをまとめてチェック

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PFUは「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)シリーズの最新モデルを12月10日から発売した。同日、都内で報道陣向けの発表会およびユーザーミートアップを開催した。

HHKBは、1996年12月に発売した初代モデルを皮切りに、これまでさまざまな進化を遂げてきた「高性能コンパクトキーボード」シリーズだ。
無駄を削ぎ落した軽量コンパクト設計で、「プログラマーが生涯使える理想的なキーボード」を目指して開発されている。

最新モデルでは、これまでの基本コンセプトを変えることなく、時代の変化に対応し、より使いやすく、機能の向上が図られている。

今回は、そんなHHKB最新モデルの進化ポイントをまとめて紹介する。


■ラインアップは3つのグレードで16モデル
まずは、新たにラインアップされた「HHKB Professional」シリーズの3グレード、16モデルを紹介しよう。

ちなみに、一気に3グレードもの新製品を発売するのは、HHKBシリーズ史上では初めてのこと。ラインアップ一新には、良い製品を開発するという思いはもちろんだが、大きなインパクトを与えることでHHKBの認知度を高めたい、訴求したいという強い思いの表れでもある。


新製品のバリエーションと特長


●HYBRID Type-S:35,200円(税込み)
・英語配列/墨(PD-KB800BS)
・英語配列/白(PD-KB800WS)
・無刻印/墨(PD-KB800BNS)
・無刻印/白(PD-KB800WNS)
・日本語配列/墨(PD-KB820BS)
・日本語配列/白(PD-KB820WS)

●HYBRID:30,250円(税込み)
・英語配列/墨(PD-KB800B)
・英語配列/白(PD-KB800W)
・無刻印/墨(PD-KB800BN)
・無刻印/白(PD-KB800WN)
・日本語配列/墨(PD-KB820B)
・日本語配列/白(PD-KB820W)

●Classic:25,300円(税込み)
・英語配列/墨(PD-KB401B)
・英語配列/白(PD-KB401W)
・無刻印/墨(PD-KB401BN)
・無刻印/白(PD-KB401WN)


キーボード本体の左上にはHYBRIDのロゴ



Type-Sはさらに右上にもロゴがある



HYBRID Type-S とHYBRIDの背面



背面の電池ボックスを開けたところ


HYBRID Type-SとHYBRIDは、BluetoothとUSBの接続を可能したハイブリッドなモデル。

HYBRID Type-SはSpeed(高速タイピング性)とSilent(静粛性)に優れるキー構造を採用しており、HYBRIDよりさらにワンランク上のフラッグシップモデルという位置づけだ。

キーの仕様は、わずかにキーストロークに差がある。
HYBRID Type-Sが、静電容量無接点方式、キーストローク3.8mm、押下圧45g
HYBRIDが、静電容量無接点方式、キーストローク4.0mm、押下圧45g

背面には、電源スイッチ、電池ボックス、USB Type-C コネクターを備えている。
電池ボックスには、単3型乾電池を2本セットできる。USB Type-Cコネクターは、パソコンとの接続において、Bluetoothだけでなく有線で接続する場合に利用する。なお、USB Type-Cケーブルで接続するとキーボードに給電することも可能。

ちなみに、単3型乾電池は2本同梱されているが、USB Type-Cケーブルは同梱されないので注意が必要だ。


Classicの英語配列/白(左)と、無刻印/墨(右)



こちらは有線接続のみのため、電源ボタンや電池ボックスは非搭載


Classicでは、日本語配列モデルはラインアップされない。また、Bluetoothを介した無線接続にも非対応だ。そのため、背面にはUSBコネクターのみが搭載されている。
ただし、USB Type-Cを採用している点においては、HYBRID Type-S、HYBRIDと同等の仕様になっている。

HYBRID Type-S、HYBRID、Classicのいずれも販売開始は2019年12月10日から。
PFUダイレクト(オンラインショップ)のみでの販売となっている。

販売はオンラインショップのみだが、製品を手に取って試すことができる「タッチ&トライスポット」を常設するという新しい試みにも挑戦する。

今回発表されたタッチ&トライスポットは以下の5カ所だ。
・SUPER CLASSIC 表参道店
・SUPER CLASSIC 大阪店
・SUPER CLASSIC 名古屋店
・アシストオン 神保町店
・原価BAR 五反田店


■3つの進化したポイント
今回の新製品においての進化ポイントは大きく3つある。

・インターフェースの拡張と進化
前述の通り、HYBRID Type-SとHYBRIDは、Bluetoothによる無線接続とUSB Type-Cによる有線接続の両方に対応した、ハイブリッド仕様となっている。また、Classicにおいても、USB接続がType-Cになっており、この辺りの仕様変更は時代背景に沿ったものといえるだろう。

・マルチペアリング機能の向上
2016年に発売された前モデルにあたる「HHKB Professional BT」では、最大4台までのデバイスにBluetooth接続ができ、今回のHYBRID Type-S、HYBRIDにおいてもその仕様は継承されている。

一方で、「HHKB Professional BT」では任意に接続デバイスの切り替えができなかったが、その点においてHYBRID Type-S、HYBRIDでは、キー操作で接続デバイスの切り替えを容易にした。複数デバイスで利用するユーザーにとっては、かなりの利便性が向上したといえるだろう。


マルチペアリングの概要


・キーカスタマイズ機能の進化
HYBRID Type-S、HYBRIDでは、制御キーの割り当て変更ができるDIPスイッチに加え、キーマップをカスタマイズできる「キーマップ変更機能」を搭載した。当初はWindows版のみとなる専用のソフトウェア「キーマップ変更ツール」を利用して、キーの配列をドラッグ&ドロップで簡単に変更することができる。

設定した内容は、キーボード本体に保存されるため、接続するデバイスが変わっても、変更した内容のキーマップで利用できる点が特長だ。


キーマップ変更機能の概要


頻繁に利用するキー、そうでないキーの配置を見直すことで、より高速なタイピングが実現可能になるという。さらに、タイピング競技やeスポーツといった、特殊な環境下におけるキー配列の最適化をすることで、よりプロフェッショナルなキーボードとして構築できる。一部、変更できないキーはあるが、主要なキーはほぼ変更できるとのこと。

価格や進化した機能面だけを見るとプロ仕様といった印象が強く、一般的なパソコンやスマートフォンユーザーにとっては、縁遠い製品だと感じるかもしれない。
しかし価格面はともかく、機能面においては、むしろ一般のユーザーにとって優しい仕様ともいえるのではないかと思う。

特長をもう1度、確認すると、
・コンパクトサイズかつ軽量で、持ち運びや取り回しに優れている
・BluetoothおよびUSB Type-Cによる、無線・有線の両方で接続ができる
・単3型乾電池利用やUSB Type-Cでの給電で汎用性が高い
・WindowsやMacOSのパソコンだけではなく、iOS、iPadOS、Androidのスマートフォンやタブレットでも利用できる
・最大4台の無線接続と1台の有線接続が可能かつ、最大5台のデバイスを切り替えて使うことができる。つまり、デバイス5台に対してキーボード1台で操作することができる。

例えば、パソコンでメールやインターネットをしながらも、スマートフォンに切り替えてLINEの返信を打つといったことも、1台のキーボードで可能となる。
とくに、スマートフォンやタブレットで
・タッチ方式のキーボード操作やフリック入力が苦手な人
・物理キーボードを使いたい人
こうした人にとっては、かなり活用できるキーボードとなるだろう。

タッチ&トライスポットに立ち寄ることができる人は、キーボードのサイズ感や打ち心地、新機能をぜひ試してほしい。

最後に、発表会場のタッチ&トライで説明員に「マルチペアリング」「キーマップ変更」機能のデモンストレーションと、歴代キーボードおよび新製品の紹介をしてもらった動画を紹介する。





Happy Hacking Keyboard - PFU


執筆:2106bpm