電子部品が変える「5G」と「CASE」の未来
高速・大容量の第5世代通信(5G)のプレサービスがスタートし、電子部品は受注合戦が始まった。スマートフォンだけでなく、基地局やデータセンターなど裾野は広い。米中貿易摩擦の影響で世界経済の行方に不透明感が強まる中、5G向けの旺盛な需要を取り込むべく、各社の期待は高まる。
日本電産は5Gで“デジタルデータ爆発の波”が到来すると期待する。情報量の増大により、冷却やハードディスク駆動装置(HDD)などでモーターが使われるデータセンターの数量が高まる。ビジネスチャンス拡大に備え、18年末には台湾の放熱部品メーカーを買収。冷却に必要な熱管理技術を高めて、データセンター用モーター需要を取り込む。5Gは、これからの成長のカギとなる「“ホット”な話題だ」(吉本浩之社長)。
TDKは、フリップチップ実装機「AFM―15シリーズ」に、半導体チップを業界最速の0・65秒で基板に取り付けられる新タイプを投入。5G対応のスマホでは、半導体を乗せるデバイスが増えることから、これに対応した。太陽誘電も今後の5G需要も見越し、約150億円を投じて新潟県内の子会社の敷地内に、積層セラミックコンデンサー(MLCC)生産の新棟を新たに建設する。
三菱電機は、通信基地局で使う高周波デバイスを生産する。基地局の5G対応に合わせ、19年度中にも新型デバイスの生産体制を拡充する。同デバイスの半導体材料には、5G用の周波数帯の特性に適した窒化ガリウム(GaN)を採用し、高性能化を狙う。
現在、基地局で使う高周波デバイスの半導体材料にはシリコンを使うのが一般的。だが5Gでは、現在の4Gより高い周波数帯が割り当てられる予定。そのため高周波出力のGaNを採用しないと、設備の小型化や省電力化が困難になる。
5Gは自動車業界の大きな変化であるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)とも連動する。電子部品各社はCASEのうち、どの領域に優先して注力しているかをまとめると、京セラや村田製作所などが自動運転を1位に挙げる。
積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、電装化の進展で今後、自動車への搭載数がさらに増えると予想されている。ただ、村田製作所は耐温度性、耐電圧などの高信頼性が必要なパワートレーン系向けに照準を合わせている。太陽誘電も同様に電動化領域向けでの製品開発を進める。TDKはADAS向けと電動化向けの両方を視野に入れる。
安全意識の高まりからADASや自動運転システムを搭載した自動車も市場拡大が見込まれ、これらに必要なカメラやセンサー数は増加傾向にある。
京セラはADAS向けに人工知能(AI)を搭載したカメラモジュールの開発を進めるほか、自動運転向けに距離計測センサーのLiDAR(ライダー)と画像センサーを一体化したモジュールの量産を計画する。
村田製作所は圧電セラミックス箔(はく)をセンサーに応用し、人の筋肉振動を検知可能な車載向け「たわみセンサー」を開発中。また、開発した微小電気機械システム(MEMS)の3軸傾斜センサーの用途開拓を進める。運転者の生体情報のモニタリングにはアルプスアルパイン、位置情報の検知にはTDKが力を入れている。
