ここまで小さくないインパクトを残している久保(左)とロドリゴ(右)。そのプレースタイルの特徴は?(C)Getty Images

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 現地時間8月11日、レアル・マドリーはローマとの開幕前最後のテストマッチに臨み、2-2(PK戦4-5)で終えた。

 そのイタリア遠征には帯同しなかったとはいえ、プレシーズンの間、注目を浴び続けたのが、ともに今夏に加入した18歳、久保建英とロドリゴだ。プレシーズンマッチでも堂々たるプレーを披露し、ジネディーヌ・ジダン監督も一定の評価を与えている。

 では、このふたりの俊英はどんなタイプのプレーヤーで、何が強みなのか。

 かつて元日本代表監督アルベルト・ザッケローニの下でスタッフを務めたこともある、現役イタリア人監督のロベルト・ロッシ氏に、両者のプレースタイルを徹底的に分析してもらった。

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 久保とロドリゴはいずれも、ワールドクラスに成長する可能性を秘めた逸材だ。2001年生まれの18歳という年齢が示す通り、ともにまだフットボーラーとして成長の途上にあるが、マドリーが目をつけて獲得したからというだけでなく、加入間もないプレシーズンマッチでトップチームの一員としてピッチに立ち、衆目を集めるパフォーマンスを見せているという事実からだけでも、この年代の中では傑出したタレントとパーソナリティーの持ち主であることがわかる。

 ブラジル人のロドリゴは、爆発的なスピードとテクニックを活かした1対1の突破力を最大の武器とするサイドアタッカーだ。モダンフットボールにおいて最も重要、かつ需要の多いタイプでありプレースタイルである。

 それは、リオネル・メッシ、若き日のクリスチアーノ・ロナウドからエデン・アザール、ネイマール、モハメド・サラー、ラヒーム・スターリング、サディオ・マネ、レロイ・ザネ、ウスマンヌ・デンベレ、ジェイドン・サンチョに至るまで、移籍市場で高く評価されているアタッカーの大半がこのタイプである事実からもわかる。

 174センチ、63キロと体格的にはまだ線が細く、フィジカル的には未完成。これからもう少し筋肉とパワーが上乗せされることになるだろう。

 右利きだが左サイドを起点としてプレーすることを好み、足下にパスを受けて前を向いたところから、スピードに乗ったドリブル突破でゴールに向かって仕掛け1対1突破が最大の武器だ。相手を抜き去ったところからは、コンビネーションやアシストよりも、自ら直接シュートを狙っていくことが多い。それゆえ、目の覚めるようなゴールを決める一方で、ボールを持ち過ぎてパスのタイミングを逃したり、強引なプレーでボールを失いカウンターのピンチを招いたりすることもある。

 周囲との連携を探るよりは独力で状況を解決しようとするのは、傑出したテクニックとスピードを備えた若いアタッカーに共通する傾向だ。これは同年代、あるいは低いレベルのリーグでプレーしている限り、それでほとんど全ての状況を解決できてしまうから。

 しかしもちろんラ・リーガ、そしてチャンピオンズ・リーグのようなトップレベルの舞台ではそうはいかない。そこでぶつからざるを得ない壁をどう乗り越えるかで、このタイプのアタッカーのキャリアは決まると言っても過言ではない。
 
 キャリア的には、1年早くマドリーに加入したヴィニシウス・ジュニオールとまったく同じ道を歩んでいる。というよりも、ポジションはもちろんタイプ的にもクオリティー的にも瓜二つと言えるほど似通っており、すでにライバル関係にあると言っていい。

 現時点ではヴィニシウスが一歩先を行っているが、それは1歳年上であり1年早くヨーロッパにやってきたからという以上の理由ではない。潜在的な能力の高さでは、むしろロドリゴがヴィニシウスを上回っているように見える。