「体の居場所をつくる」[著]伊藤亜紗通っているピラティス教室で体を曲げたり伸ばしたりしているとき、先生に「今、体はどんな感じですか」と聞かれる。これが意外と難しい質問で、返せる言葉はせいぜいきつい、気持ちいい、特に何も、の三パターン。実際にはもっと複雑で繊細な何かの気配があるのに、手持ちの言葉ではそれを掬(すく)いきれないのがもどかしい。外から体を語る言葉は多々あっても、自身の体を内から語れる