【日産 ジューク 試乗評価】超個性派 小型クロスオーバーの走りを試す!【レビュー:日産】

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どのクルマにも似ていない超個性的なデザインのクロスオーバーモデル

 日産 ジュークはマーチやノートなどのコンパクトカー用のBプラットホームをベースに、SUVとスポーツカーをクロスオーバーさせた新ジャンルのクルマとして開発された。
 日産はヨーロッパでキャッシュカイ(日本名デュアリス)が好調な売れ行きを示しているので、SUV系車種のラインナップを強化しようという意図のようだ。
 2010年6月の時点で発売されたのはFF車だけで、4WD車は秋に追加されるとのこと。なのでSUV風ではあるものの、SUVらしさを強調するほどではなく、最低地上高はやや高めになっているものの、本気でオフロードに持ち出すようなクルマではない。
 スポーツカーとのクロスオーバーというからいえば、むしろオンロード重視のクルマである。ただ、搭載するのが標準的な実力の1.5リッターエンジンなので、これでスポーツカーと言われてもちょっと困ってしまう。
 外観デザインはとにかく奇抜だ。2009年のジュネーブショーや東京モーターショーに出品されたカザーナというコンセプトカーはもっと奇抜な感じだったから、それに比べれば市販車のジュークはややおとなしくなった感じもある。
 まあカザーナについては、それをベースにジュークが作られたのではなく、ジュークを出すことになったので、後からデザインコンセプトの観音開きドアのカザーナを作ったという説もある。
 それはともかく、ほかのどのクルマにも似ていないデザインである点は高く評価できる。ジュークのデザインは個人的にはまったく受け入れられないけれど、何かに似ていると言われるクルマよりずっと良いデザインだと思う。
 恐らく、このクルマのデザインを支持する人はそう多くないと思うが、支持する人は少数派であるがゆえに、より強くジュークを支持することになるだろう。少ない台数(月販目標台数は1300台)を売るクルマとして、狙いは間違っていないと評価していい。

インテリアも個性的! だが左ハンドル仕様を流用している部分も……

 ジュークはインテリアもかなり特徴的だ。デザイナー曰く、“むき出しの機械感と生体的なしなやかさを結合した”デザインとのことで、ロバイオテックという造語で表現している。
 確かにメーターパネル、センターコンソール、センタークラスター、ドアトリムなど、どれをとっても既存のクルマとは違う感覚でまとめられている。斬新な感覚のデザインを採用しながらも、操作性や機能性などをスポイルしていないのは良いと評価したい。
 中央部分に配置されるインテリジェント・コントロール・ディスプレーも目新しい装備だ。エアコンとドライブモードをコントロールするスイッチやディスプレーがあるが、このスイッチ部分の表示がエアコンのときには白く、ドライブモードのときには赤くなる。ふたつのLEDランプとフィルターを組み合わせることで、同じスイッチの表示部に異なる文字を異なる色で表示できるようにした。
 ただ、惜しむらくはこのディスプレーの設置位置が低い。液晶画面を見ようとすると下を見るようになって前方を見ることができなくなり、完全に脇見運転の状態になる。事実上停車中でないと操作しにくいのだ。また燃費のエコ情報が走行中に表示されなくなるのもどうか。高速道路の走行中などにはずっと確認できないことになる。
 さらにいえば、エアコンモードにしたときに、温度調節のダイヤルが左側になるのは左ハンドル車の設定ではないか。オートエアコンでは風量の調整より温度を調整することが多いのだから、操作頻度の高いダイヤルがドライバーに近い側にあるべきだ。
 完全に左ハンドル車用なのは、パーキングブレーキレバーがセンターコンソールの向こう側の助手席側にあること。ドリンクホルダーの向こう側に配置されていたのでは操作しにくい。何らかの思想のもとにこのデザインが採用され、左ハンドル車用はこの逆版になっているというのなら多少は議論の余地が残るが、左ハンドル車のものをそのまま右ハンドル車にも流用したのでは手抜きでしかない。
 装備に関しては、横滑り防止装置(日産名はVDC)の設定がない。日産はデュアリスで、ドイツなど向けには標準装備している横滑り防止装置を日本向けにはオプション設定にしていて、およそ日本に由来する自動車メーカーとは思えないようなクルマ作りをしていたが、今回のジュークにはオプション設定もないのだから、デュアリス以上にひどいというしかない。
 デュアリスとの関係で言うと、後席の空間はデュアリスよりも余裕があった。というか、デュアリスでは後席のシートバックが立ち気味だっのに対し、ジュークでは適度に傾斜しているので、後席の快適性はジュークのほうが優れている印象だった。

エンジン音は静かだがロードノイズなどが気になる

 ジュークに搭載されるHR15DE型エンジンには量産車として世界初のデュアルインジェクターが採用された。コストのかかる仕様だが、燃焼効率を高め、安定した燃焼を得るために効果のある仕様だ。さらに可変バルブタイミング機構を吸気側だけでなく排気側にも設定して、効率の向上を図っている。
 結果として得られた動力性能の数値は114ps(84kW)/15.3kg-m(150N・m)で、これまでのほかの車種に搭載されているHR15DE型エンジンに比べ、やや改善している。
 ジュークはSUV風のモデルながら、基本がBプラットホームであることが貢献したのか、車両重量は軽めに作られている。ハッチバック車のティーダに比べて20kgほど重くなっただけだ。このためSUVとして考えるなら、かなり良い燃費である19.0km/Lを実現している。まあティーダは従来型のHR15DE型エンジンで19.4km/Lの燃費だから、ジュークの燃費をどれくらいほめたら良いのかは難しいところだが、ティーダよりもちょっと大きめのボディであることも含めて考えると、いずれにしても悪い数字ではない。
 この軽さによってジュークの走りには軽快感がある。ボディの重さを感じさせず、1.5リッター車とは思えないような走りを示すからだ。エンジンは回したときには騒音が高まるが、クルージング中にはエンジン音を感じさせないし、副変速機付きのCVTによって滑らかに加速していく。
 アクセルを急にオン/オフしたときには、副変速機の切り換えによる違和感を感じるという人もいるそうだが、私にはその違和感を感じることはできなかった。
 今回は横浜から首都高湾岸線と横浜横須賀道路を使って観音崎までを往復し、100kmほどの距離を走ったが、気になったのはロードノイズや風切り音など、騒音レベルが高めなこと。エンジン音はほとんど入ってこないのだが、ほかの音がうるさい。低騒音タイプのタイヤを履いている割にはロードノイズが大きかったので、騒音対策にはもう少しお金をかけたほうが良いように思えた。
 足回り系には特に不満を感じるような部分はなかった。SUV感覚のクロスオーバー車ということもあって、Bプラットホームを採用した車種としてはちょっと大きめの16インチタイヤを履いていた。このようなことをすると、サスペンションのストロークに余裕がなくなって硬めの乗り心地を感じさせる結果になりかねないところだが、そんな不満を感じることはなかった。
 今回はワインディングを走るようなシーンはなかったが、高速道路のランプウェーなどのコーナーでも姿勢は安定していた。アイポイントがやや高めなのでロール感が大きくなりがちなところだが、それも良く抑えられていた。
 価格は一見すると安めだが、カーナビなどのオプションを装着した試乗車は車両価格ベースで240万円ほどになっていた。1.5リッター車としては決して安くない水準だ。

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代表グレード日産 ジューク 15RX
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)4135×1765×1565mm
車両重量[kg]1170kg
総排気量[cc]1498cc
最高出力[ps(kw)/rpm]114ps(84kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]15.3kg-m(150N・m)/4000rpm
ミッションCVT
10・15モード燃費[km/l]19.0km/l
定員[人]5人
税込価格[万円]179.025万円
発売日2010/6/9
レポート松下宏
写真近藤暁史

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