【W杯】フィールドプレーヤーで残り2人…出場なしの長友佑都が熱すぎる「一気にスタジアムの空気を変えますから」
【ナッシュビル(米テネシー州)22日=金川誉】
日本代表は、北中米W杯1次リーグ第3戦のスウェーデン戦(25日・米ダラス)に向け、ベースキャンプ地のナッシュビルでトレーニングを行った。チュニジア戦に先発出場した選手たちは軽めの調整。それ以外の選手たちは、7対7のゲーム形式などで強度を上げた練習に汗を流した。
今大会、森保一監督は2試合で計22人の選手をピッチに送り出すという、異例の選手起用を行っている。ここまで出場がないのは、控えGKの大迫、早川、発熱によりチュニジア戦でベンチ外だったFW町野、そして5大会目のW杯を戦うDF長友佑都の4人のみだ。
「モチベーションは誰よりも高いでしょ。そのために4年間やってきたので。絶対にチャンスはどこかであると思うし、絶対に諦めないです」
練習後、取材に応じた長友は熱い言葉を紡いだ。オランダ戦、チュニジア戦では、出番こそないもののベンチから味方を鼓舞し続けた。
「もう、心はピッチに入っていますね。たぶんいるんじゃないですか、長友。ピッチに。一緒に戦っているし、むしろ自分がピッチで戦っている感覚。相手の選手がサイドにいるときは、相当な声で圧をかけていますよ。皆さんには聞こえないだろうけど、そのくらい一緒に戦っている。だから実質、ピッチの中は12人で戦っていますよ」
その熱量は確実に伝播している。オランダ戦で先発したDF谷口彰悟からは、「ベンチを見たら、気持ちが強くなれる」と言葉をかけられたという。ただ、思いがあふれすぎるあまり、チュニジア戦では開始わずか2分で主審から注意を受ける一幕も。
「ちょっと目を付けられていた(笑)。『前に出過ぎだ』と言われたんで、『大丈夫だ』ってハグして主審のことも包み込みました」と笑わせたが、この振る舞いも過去4度のW杯の経験に裏付けされたものだ。
「選手たちは11人で戦っているけど、これだけプレッシャーがかかると孤独に感じたりするんですよね。『ミスをしたらどうしよう』とか、ちょっと怖さが出る瞬間はたくさんある。そういうときにベンチを見て強くなれるとか、自分は孤独じゃないと思えたら、前を向いて積極的なパフォーマンスが出せる。それは自分が過去4大会、ピッチにいる時に体感したこと。ロシア大会で、GKの川島永嗣さんがミスから失点したとき、周りの選手が声をかけに来てくれて『自分は孤独じゃなかったと分かった』とインタビューで話しているのを見た。まさにその通りで。『孤独にさせない』というのは非常に大事なポイント。僕もそこを意識して戦っています」
チームの一体感を誰よりも意識する長友。日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネルでは、サポートメンバーとしてチームに帯同する吉田麻也や南野拓実が、裏方として選手たちのスパイクを磨いていた行動について、長友が「そんなのなかなかできないよ。普通じゃない」と称え、選手ミーティングの雰囲気を引き締めるシーンが反響を呼んだ。
その言葉には、今大会「背番号10」を背負って前線で戦う堂安律らも深くうなずき、強い刺激を受けている。長友も大きな手応えを感じ取っている。
「(堂安)律があの後も『佑都さんのあの言葉で魂が入った、スイッチが入った』と言ってくれたのが非常にうれしかった。彼は10番で、他の前の選手がこれだけ点を取っているから、本当は自分も点を取りたいはずなんですよ。でも、今の彼はまるでDFかのように体を張って守備をして、忠誠心を持ってチームのために走っている。あの姿を見て、僕らも勇気づけられている。10番がやるんですよ、あのプレーを。エゴを捨ててチームのために徹して戦っている姿に、僕が逆に勇気をもらっている。自分もピッチに入ったら、ああいうプレーをやりたい。彼には絶対にいつか、チャンスの時にボールがこぼれてきて、全てを持っていってくれるはず。それが堂安律だと、皆さんに伝えておきたいですね」
チームメートへの賛辞を惜しまない長友だが、当然、選手としての野心は衰えていない。自分がピッチに立った瞬間に、チームの熱量をさらに爆発させるイメージはできている。サポートメンバーとして献身的に動く南野からも、その背中を押された。
「(南野)拓実に言われたんですよ。『これ、佑都さんが出たら、ベンチも含めてえぐいくらい応援しますよ』って。僕が出たら一気にスタジアムの空気を変えさせますから」
この日の練習後も、個別にダッシュを繰り返し、コンディションの調整に余念がなかった39歳。
「僕がメンバーに入ることには賛否ありますけど、僕の中では『オセロ』をやっているような感覚。大会が終わったころには、(盤面を)コロコロっと真っ白(称賛)に変えられる確信と自信がある。それは結果で皆さんに示したいと思います」
逆風すらもエネルギーに変える男は、牙を研ぎ澄まし、ピッチで結果を残すその瞬間を待ちわびている。
