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医療機関から処方薬2万錠?オーバードーズの実態とは?

大阪・ミナミの“グリ下”で「くすり屋さん」と呼ばれていた男、東大阪市の無職・今川祐希容疑者(40)が医薬品医療機器法違反の疑いで6月17日に逮捕されました。

【写真を見る】「睡眠導入剤」大量摂取で舌が青くなった若者…オーバードーズの実態とは?

今川容疑者は5月27日に、向精神薬や睡眠導入効果のある薬など19種類・5000錠を超える処方薬を他人に譲り渡す目的で保管した疑いがもたれています。

警察によると、1つの医療機関から2年間で約2万錠もの処方を受けていたという今川容疑者。処方薬を大量に入手できた背景は?そしてオーバードーズの実態は?グリ下などに集まる若者たちを継続取材するMBS海老桂介記者が詳しく解説します。

◎海老桂介:MBS記者 調査報道担当「グリ下」などに集まる若者や旧統一教会をめぐる問題を継続的に取材

「いつか逮捕されると思っていた」“グリ下のくすり屋さん”

「薬をめっちゃ売っていたから、いつか逮捕されると思っていた」

こう話すのは今川容疑者を知る若者。“グリ下”に出入りする若者たちからは「くすり屋さん」と呼ばれていました。

5月には10代の少女2人に睡眠導入効果のある処方薬を無許可で譲り渡した疑いなどで既に逮捕されています。この時の取り調べに対し今川容疑者は「ボランティア精神だった」と供述していたということです。

「常識的には考えられない量」“2年間で2万錠”か…なぜ処方?

今川容疑者は生活保護受給者で、1つの医療機関から全額公費負担で「2年間で2万錠」の薬を処方されていたということです。

葛西医院の小林正宜院長は「常識的には考えられない量」「特に“睡眠薬”は処方する側も慎重になる。患者に強くごねられて…などの事情があったか」と話します。

「診療報酬請求」支払基金のチェックが機能していなかった?

厚労省によると、診療報酬請求は次の流れで行われます。

(1)医療機関→支払基金 診察内容や処方薬を報告
(2)支払基金→医療機関 チェックして診療報酬支払い

(MBS海老桂介記者)
「明らかにおかしいと疑われる診察内容・処方薬の量ですが、支払基金でもチェック機能が果たせていなかった可能性がある」

小林院長によると「医療機関が報告する際に、内容の正当性を示す詳しい状況を記載すれば通ることもある」ということです。

また、医療ジャーナリストの森まどか氏は「複数の生活保護受給者に医療機関から薬を入手させて転売するブローカーも存在する」と言います。

「睡眠導入剤」大量摂取で舌が真っ青になった若者

大阪・ミナミには他にも処方薬や市販薬の譲渡や売買を持ち掛けてくる人物がいて、若者の間では薬の過剰摂取「オーバードーズ」がまん延していると言います。

去年、ミナミ周辺で若者に話を聞くと…

―――舌が青くなっているのは?
「サイレースです。“みんざい”です」
―――みんざい?睡眠剤?
「睡眠剤」
―――薬に着色料が?
「そうですね」
―――大量に摂取したような状況?
「そういうことですよ」

彼女たちが過剰摂取していたのは、不眠症患者などに処方される睡眠導入剤。依存症のリスクもあるといいます。

―――なぜそういうものを?いわゆるオーバードーズ?
「そういうことです。気持ちよくなれるからです。テンション上がるし」
―――親御さんは心配していないですか?
「していないです。もう諦めています。薬没収されたら飛び降りるとか言っているんで」

「傷をなめ合うように」居場所なく“グリ下”に辿り着き薬に走る

長年取材を続けてきた海老記者は、“グリ下”に集まってくる若者について、いわゆる『不良少女』『不良少年』ではないと話します。

(MBS海老桂介記者)
「家庭や学校に居場所がなくてさまよっているうちに“グリ下”にたどり着いたケースが多い」
「お互いの傷をなめ合うように『分かるよ、分かるよ』と言い合っているうちに、一緒に多幸感を得ようとして薬に走ったりするケースが多い」

SNS投稿を見た“売人”からDM「この処方薬を1錠いくらで…」

SNSへの投稿を見た大人から若者たちへ“DM”が届くことも多いようです。

(MBS海老桂介記者)
「TikTokに踊っている動画をアップしたり、Xに『グリ下集合』といった投稿をする。すると、売人とみられる人物からDMが届き『この処方薬を1錠いくらで』といった価格交渉などもしてくるということです」
「グリ下に見ず知らずの大人が薬を持ってきて『500円でどう?』といったやりとりもよくあるということです」

体に耐性がついて歯止めが利かず「最初は10錠だったのが20錠・30錠と…」

薬を大量摂取しているうちに体に耐性がついて、最初は10錠だったのが20錠・30錠・40錠とどんどん増えて、歯止めが利かなくなっている若者も多いと海老記者は話します。

(MBS海老桂介記者)
「呼吸困難で倒れて救急車で搬送される若者、高いところに登って飛び降りようとする若者。薬を摂取しているうちに自暴自棄になりリストカットをして、飲酒状態なことから血流が良くなっているため、血が止まらなくなり病院へ運ばれるという若者もいる」

なぜ一人の男が医療機関から大量の処方薬を入手できたのか?実態の解明が待たれます。

(2026年6月18放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)