実際の制度よりも、いじめ当事者の親子の心情描写を大事に。いじめを描く話題作【著者インタビュー】

【漫画】本編を読む
ある小学校で、児童が屋上から飛び降りた。児童は意識不明の重体。現場に残されていた遺書には、いじめ加害者として娘の名前が書かれていた。母・青空翼は娘・茜を問い詰めるが、茜はいじめを否定する。翼は戸惑いながらも茜を信じようとする。なぜなら飛び降りた児童・紫村俊介はかつて茜をいじめていた張本人だったから――。
いじめ加害者とされた側、そして被害者とされた側。それぞれの母親の視点から描かれる『娘はいじめなんてやってない』(しろやぎ秋吾/KADOKAWA)は、「誰を信じるのか」「親は子どもとどう向き合うのか」を読者に問いかける作品だ。
――今作を描くにあたって、まずどんなことを考えましたか?
しろやぎ秋吾さん(以下、しろやぎ):実際に今作のような事故が起きた場合、警察はどのように調査を進め、学校とどんなやり取りをするのか。あるいは、誹謗中傷があった場合、開示請求にはどんな手続きが必要なのかなど、わからないことが多いなと思いました。
――それらについては、実際に取材などもされたのでしょうか?
しろやぎ:結果的にはしなかったんです。担当編集さんに「そうしたリアルを追求するよりも、登場人物の感情を掘り下げて描くことに注力したほうがいい」と言われまして。確かにそうだなと思いました。
――なるほど。では、参考にされたものなどはありますか?
しろやぎ:ネットでいじめに関する情報が出回った時、それに対する反応はよく見ていました。ある側を叩いていた人たちが、新しい情報が出ると今度は別の側を叩き始める。その様子はかなり参考になりました。
他にも、実際に起きたネットいじめに関するニュースやドキュメンタリーはかなり探しましたね。あとは、いじめ被害の相談を受けたYouTuberが、実際に学校訪問や話し合いをする動画なども見ました。
取材・文=原智香
