今村聖奈騎手

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 5月24日に東京競馬場(東京・府中市)で開催された優駿牝馬(第87回オークス)を制したのは“ピエちゃん”ことジュウリョクピエロに騎乗した今村聖奈騎手(22)だった。女性騎手として初めてG1(重賞)レースに勝利、しかもクラシックレースを制したものだから、翌日のスポーツ紙はこぞって1面で報じた。その歴史的瞬間の余韻は今も続いている。

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 日本中央競馬会(JRA)はレース後、今村騎手の目線カメラ(ジョッキーカメラ)の映像をYouTubeで公開。5月28日には再生回数が300万回を突破した。

 ゲートに入る様子に始まり、スタート後、18頭立てで14番手まで下がったところから徐々にスピードを上げ、馬群を抜けて最後に差し切る瞬間はもちろん、スピード表記まである。最高で時速68キロ台にまで達していたこともわかる。

今村聖奈騎手

 ゴールの瞬間、今村騎手は「ワアー!」と叫び、こう呟く。

「やっとジョッキーになれた……」

 そして、スピードを落としていくジュウリョクピエロに声をかける。

「ヤバい、勝ってもうた……。ピエちゃん、あんたいっちゃんかっこいいわ!」

 競馬好きのテレビマンは言う。

「実は、競馬通ほど勝つとは思っていませんでした。人気も5番手でしたしね。しかも、今村騎手は過去、東京競馬場では23戦0勝。クラシックも初騎乗でした。それがド真ん中を追い込み、ぶち抜いて、クリストフ・ルメール騎手、ダミアン・レーン騎手という世界的名手を2着、3着に退けたのです。終わってみれば確かにジュウリョクピエロが速かったのですが、馬群の中に臆せずツッコんで差し切ったのは、今村騎手の度胸でしょう」

注目されたデビュー年

 今村騎手がデビューしたのは2022年、18歳の時だった。

「テイエムスパーダに騎乗してCBC賞で逃げ切り、史上10人目となる新人での重賞制覇を成し遂げました。この年はJRAで51勝、地方競馬で4勝を挙げ、JRA最多勝利新人騎手賞(新人賞)を獲得。女優のような顔立ちも注目され、早速、ホリプロがマネジメント契約を結びました。彼女が尊敬する日本人女性騎手として初めてJRA重賞制覇を達成した藤田菜七子元騎手(28)もホリプロの所属ですから、それを見習ったのかもしれません」

 順風満帆のスタートだったが、翌年、悪夢に見舞われる。

「5月に騎手控え室では絶対禁止のスマホの使用が発覚し、30日間の騎乗停止処分を受けます。この影響で騎乗依頼は激減、勝ち星も25勝と前年の半分に。翌24年6月には調教中に落馬して右肩を脱臼、結局、手術を受けることになります。この年はたったの6勝に終わりました」

 まるでデビュー年がビギナーズラックだったかのように成績は落ちた。

「ところが、25年は一流ジョッキーの参戦がなく勝ち星が拾いやすいローカルレースに的を絞ったことで、女性騎手として史上3人目のJRA通算100勝を達成。年間22勝にまで戻してきました。そして今回、クラシック初騎乗で快挙を成し遂げたのです」

 どん底から栄光を勝ち取ったのだ。レース後、「やっとジョッキーになれた」と言った今村騎手はもちろん、関係者やJRAだって大喜びだ。

奇縁

「私たちの業界で言えば、喜んだのは彼女が所属するホリプロでしょうね。この日、オークスを中継した『みんなのKEIBA』(フジテレビ)にゲスト出演したのが、ホリプロの女王・和田アキ子さん(76)でした。馬主資格も持つ競馬ファンですが、競馬番組への出演は30年ぶりだったそうです。当然ながら後輩が出場するレースの馬券も“頑張れ馬券”として購入し、見事的中。『ホリプロすごい!』と大喜びでした」

 ホリプロがすごいのか?

「まあ、40年続いた『アッコにおまかせ!』(TBS)が3月に終了し、ホリプロも肩を落としていましたからね。今後は今村騎手がホリプロの救世主となるかもしれません」

 ちなみに、今村騎手が騎乗した“ピエちゃん”ことジュウリョクピエロの馬名の由来は、伊坂幸太郎氏の小説「重力ピエロ」(新潮社)だ。ピエちゃんの勝利は小説にも波及し、2万部の増刷が決定した。奇縁なことに、「重力ピエロ」の単行本が発売された2003年に今村騎手は生まれている。

デイリー新潮編集部