「もう、会いにこなくていい」…年金月24万円・慎ましく生きる72歳祖父「54万3,250円」クレカ明細に仰天。“目に入れても痛くない”12歳初孫を拒絶した日
ゲームをしたいとせがまれ、孫にスマートフォンを貸した祖父。ところがクレジットカードの利用明細には目を疑うような高額請求が……。便利さと課金が隣り合わせになった時代に起きた、まさかの事態とは?
「目に入れても痛くない」存在だった、自慢の初孫
地方で妻と年金生活を送る義郎さん(72歳)。現役時代は堅実に働き、現在は夫婦で月24万円ほどの年金を受け取りながら、慎ましい暮らしを続けています。
そんな義郎さんには、「目に入れても痛くない」と周囲に話していた、自慢の初孫がいました。小学6年生になった圭くん(仮名)は、素直で学校の成績も優秀。娘夫婦からも「手のかからない子」と言われていました。
しかし、その印象は、ある出来事で一変することになります。
春休みを利用して、娘とともに帰省してきた圭くん。滞在中、義郎さんのスマートフォンに夢中になっていました。3月下旬でしたが、当時、東北はまだ雪深い季節。外遊びも長時間は難しく、自宅で過ごす時間がほとんどです。
圭くんは父親からスマートフォンの使用を厳しく制限されていたため、義郎さんは「帰省中くらいは自由に遊ばせてあげよう」と、日中は圭くんに渡しっぱなしにしていたのです。
「このゲーム、友達みんなやっているんだよ。でも、お父さんがあんまりやらせてくれないんだ……」
普段の反動もあったのでしょう。熱心な表情で操作していた圭くんでしたが、義郎さんにこうお願いをしてきました。
「この限定のキャラクターが欲しいんだ。おじいちゃん、お願い。300円ちょっとだから……」
「それくらいなら」と思った義郎さんは、自身のクレジットカード情報を入力し、課金を許可しました。
「ありがとう、おじいちゃん!」
無邪気に笑う孫の顔を見て、義郎さんも嬉しくなったといいます。もちろん、その時は“一度きり”で終わりだと思っていました。
身に覚えのない請求…大金とともに失った「大切なもの」
異変に気付いたのは、翌月のこと。クレジットカードの利用明細を開いた義郎さんは、ありえない金額に唖然としました。
そこには、身に覚えのないデジタルコンテンツ利用料の請求、「54万3,250円」の記載。調べるうちに、それがゲーム課金の請求だということがわかりました。
一度クレジットカード情報を登録すると、設定によっては、その後も再認証なしで購入できる場合があります。圭くんはその状態になっていたスマートフォンで、休みの間に何度も課金を繰り返していたのです。
それを知った義郎さんの脳裏に、強烈な葛藤が渦巻きました。
「子どもだから『お金の価値がわからなかった』と思いたい。でも、『おじいちゃんならバレない、あるいは、バレても許してくれる』と思っていたんじゃないか? これが悪いことだと、本当にわかっていないでやったんだろうか」
娘夫婦に連絡を入れると、すぐに「本当に申し訳ない。全額、責任を持ってこちらで弁済する。本人にも大説教をして、近いうちに謝罪に行かせる」と、沈痛な声でお詫びの言葉が返ってきました。
しかし、義郎さんはとっさにこう答えていました。
「もう来なくていい。しばらく顔を合わせたくないから」
義郎さんに残ったのは、金額以上の心の傷でした。
「お金は、娘夫婦が返してくれるでしょう。でもね、一番悲しいのは50万円が消えたことじゃないんです。どんなに謝られても、もう前のように、純粋に『可愛い』と思うことはできない。それが悲しいんです」
どこの家庭でも起こり得る「無断課金」の実態
子どもによるオンラインゲームの無断課金は、決して珍しい問題ではありません。国民生活センターによると、契約当事者が小学生から高校生までの相談件数は4,024件(2022年)。契約・購入金額の平均は約33万円に達しています。
未成年者が親の同意なく結んだ契約の場合、取り消せる場合もありますが、大人名義のスマートフォンやクレジットカードで決済されていると、返金が認められないケースも多いのが実情。義郎さんのケースも返金は難しいということでした。
慎ましい年金暮らしの中で失った50万円超のお金。そして「無条件に可愛いと思えていた孫」との距離感が変わってしまった哀しさが、この一件を一層悲壮なものにしています。
スマートフォンと簡単に課金できる仕組みが身近になった今、「相手は子どもだから」と思わず、しっかり管理する。そんな自衛が必要な時代なのかもしれません。
