不正発覚相次いだニデック、M&A3年見送り…脱・永守経営へ岸田社長「新たな理念を明文化」
モーター大手ニデックの岸田光哉社長(66)が27日、読売新聞のインタビューに応じ、従来の拡大路線を見直し、企業の合併・買収(M&A)を今後3年程度見送る方針を明らかにした。
相次いで発覚した会計と品質を巡る不正の背景に、創業者・永守重信氏の経営理念があると指摘されており、新たに自社の社会的な存在意義を明文化した「パーパス」を策定する考えも示した。(金井智彦)
ニデックは積極的なM&Aで売上高2兆円の世界的企業に成長してきた。一方、巨大化する中で管理が行き届いていなかったことが、不正の一因になった可能性も指摘されている。
岸田氏は「今まではM&Aで規模を大きくすることが目標だった。今後は売り上げや営業利益の大きさではなく、(健全な経営による)企業価値の向上に取り組む。2026〜28年は大規模な買収よりも整理整頓をする」と述べた。
具体的には、約250の製造拠点とグループ企業約350社を事業や地域ごとに統廃合し、それぞれ160〜180程度に整理する。不採算の電気自動車(EV)向けの事業を大幅に縮小するほか、ほかの事業についても「聖域なく見直す。売却もあり得る」とした。
岸田氏は「品質で問題を起こすことは、製造業にとってあり得ない。目が行き届くようにし、利益追求型の工場ではなく、『品質の番人』としての工場に切り替えていく」と話した。
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」に代表される永守氏の創業精神は、企業理念として有価証券報告書にも記載されてきた。だが、不正会計を調査した第三者委員会は4月、背景に業績達成に向けた永守氏の苛烈なプレッシャーがあると結論付け、「永守経営」からの脱却を提言した。
岸田氏は「今まで紡いできたものを全部捨て去るわけではない」としつつも、企業風土改革の柱として全社員の目標となるパーパスを年度内に策定する方針を示し、「看板を張り替えて掲げる」と語った。
ニデックは東京証券取引所から内部管理体制に問題がある「特別注意銘柄」に指定されており、10月末までに改善結果を示せなければ上場廃止となる可能性もある。岸田氏は上場維持を「死守する」とし、その理由として「幅広い資本を元に、幅広い視野で事業に取り組むことができる。将来に向けた成長シナリオも描ける」と強調した。
