唐沢寿明が明かす『白い巨塔』ヒットの裏で”絶望”したワケと、売れた途端の“手のひら返し”に見せた意外な反応とは
新作映画『ミステリー・アリーナ』が公開中の唐沢さんが、スーツアクターだった過去、タンクトップ1枚で過ごした無名時代、そして今年、山口智子さんと立ち上げた「TEAM KARASAWA」への思いを語りました。
――正解者に賞金100億円が贈られる推理クイズショーを舞台にした本作で、唐沢さんはクレイジーな天才司会者・樺山桃太郎を怪演しています。アフロヘアにサングラスという強烈なビジュアルは、唐沢さんご自身の提案だったとか。
唐沢寿明さん(以下、唐沢):衣装合わせのとき、最初は「きっちりとしたオーダーメイドのスーツで行こう」という話だったんです。でも実際に合わせてみたら、なんかもうちょっとパンチを利かせたほうがいいんじゃないかなと思って。独り言みたいに「アフロみたいなのがいいんじゃないかな」って言ったんです。
――樺山というキャラクターを、どう解釈して演じましたか。
唐沢:彼はクイズショーの司会者として表に立ちながら、裏ではとんでもないことをやっている男。あのハチャメチャさは、ある意味“目くらまし”なんです。映画の中での視聴者とか、映画を観ている観客の視線が「パワハラだろ」とか「嫌な奴だな」といった方に向いているうちに、気がついたらすごいことが起きているというのが、面白いなというイメージがありました。
◆救いは一切なし。「人を人とも思わない男」を演じる面白さ
――演じるうえでの難しさや葛藤はありましたか。
唐沢:あれだけのセリフを早くしゃべるのは大変でしたよ。でも、役としての葛藤は全然ないです。ひどい男だったら、とことんやればいい。中途半端に「最後に救いがあるんじゃないか」と観ていても、1個もない男だから(笑)。完成した映画を観て、自分で「こんなにひどかったかな」とは思いましたけど。
――たしかに相当なキャラクターです。
唐沢:彼なりの正義はあるんですが、すごく歪んでいるんです。映画『ジョーカー』にはバックグラウンドがあるけれど、樺山にはそれも一切ない。人を人とも思ってない、ただのサイコパス。でもこれだけ人を小馬鹿にできる役はそうないから、面白いですよ。俳優だからこそできるものですから。
――観客の反応が楽しみですね。
唐沢:相当言われるんじゃないかな。しばらく身を隠さないとまずいかも(笑)。まあ言われるくらいがいいんです。映画自体は本当に面白いので、ぜひ観に来てほしいですね。それと、エンドロールが終わるまで、席を立たないでください。ラストのラストまで、樺山の行動は分かりませんから。ヒントは“音”です。
◆無名時代の“正装”はアメ横で買った「白い網タンクトップ」
――唐沢さんご自身についても聞かせてください。東映アクションクラブ出身でスーツアクターとしても活動されていましたが、当時の自分が今の姿を見たらどう思うでしょうか。
唐沢:「俳優になれたんだな」って驚くと思いますよ。当時の自分の最終目標は、街で誰かとすれ違った時に「あれ、あの人俳優じゃない? 名前はわからないけど」と思われることでした。そこまでできれば、もう自分のミッションは終わりだと本気で思っていました。
――それが最終目標だったんですか!?「主演スターになるぞ」ではなく?
唐沢:当時の俺なんて、夏場はほとんど裸同然の格好だったんですよ。アメ横で買った白い網のタンクトップ1枚とジーンズで、いっつも歩いていた。

