人気リアリティー番組「Married at First Sight UK」を放送しているチャンネル4/Jack Taylor/Getty Images via CNN Newsource

(CNN)英BBCの調査によると、2人の女性がリアリティー番組「Married at First Sight UK」の撮影期間中にレイプされたと主張している。これを受け同国の放送局チャンネル4は、申し立ての内容を調査する間、同番組の過去の全シーズンを放送から取り下げることを決定した。

「MAFS」の略称で知られるこの番組は、独身者が結婚式当日に初めて会う見知らぬ相手と「結婚」するという内容。「大胆な社会実験」を謳(うた)っているが、この結婚に法的拘束力はない。番組内で成立したカップルたちは、ほぼ毎日撮影されながら「ハネムーン」に出かけ、同居を始め、関係を築いていく。

今回はさらに別の女性1人も、番組の撮影期間中に同意のない性行為を強要されたと告発している。3人の元番組参加者は18日、疑惑に関する調査報道を放送したBBCの番組「パノラマ」に対し、MAFSの番組側が自分たちを守るための十分な措置を講じていなかったと語った。

BBCによると、チャンネル4は問題のシリーズが放送される前の時点で一部の申し立てを把握していた。また当該女性たちが出演するエピソードは、最近まで同局のストリーミングサービスで視聴可能だったという。

チャンネル4は、同番組の全エピソードをストリーミングおよび放送サービス、ならびにMAFSのソーシャルメディアチャンネルから削除し、外部による調査を依頼したと発表した。

同局が明らかにしたところによると、4月の時点で局側は、過去に関わった少数の出演者に対する重大な不正行為の申し立てを受けた。当該の出演者らはこの申し立てを否定しているというのが局側の認識だという。

「局としては、すべての出演者のプライバシーと継続的な保護義務を重んじており、これらの申し立ての詳細についてコメントしたり、開示したりすることはできない」(チャンネル4)

同局は、番組出演者の福祉に関する懸念が既存の手順を通じて提起された際には、「迅速かつ適切な措置」を講じたと説明。「それに反するいかなる主張も否定する」と付け加えた。

同番組は国際的にも大きな成功を収めているシリーズの一部で、米国やオーストラリアを含む複数の国で同形式の番組が展開している。

英国版を制作する独立系制作会社CPLの弁護士はBBCに対し、同社の福祉システムは業界をリードする「ゴールドスタンダード」であり、今回取り沙汰されたすべての事例において適切に対応してきたと主張した。

BBCの調査を受けて、英国政府の文化・メディア・スポーツ省はこれらの申し立てを「深刻」と形容。「テレビ番組の制作や出演に関わるすべての人は、常に尊厳と敬意を持って扱われなければならない」と述べた。その上で、「犯罪や不正行為には相応の処罰が必要」と警告した。

「妻なら拒むな」

BBCが名前を伏せたある番組参加者は、番組内の夫役の男性からレイプされたと主張。酸をかけると脅されたと振り返った。

この女性は番組内のパートナーについて、ほぼ即座に「危険信号」を感じ取ったと話した。二人の性行為はすぐに暴力的なものになったとし、「やめて」と繰り返し訴えたにもかかわらず、体に痣(あざ)ができるような性行為を強いられたという。相手は常に「妻なら拒むな」と言い続けていたと、この女性は主張した。

番組内で女性の夫として登場した男性の代理人はBBCに対し、本人はレイプを否定しており、すべての性的接触は完全に合意の上で行われたと述べた。また、女性に対する暴力や暴力的な脅迫についても本人は一切否定しているとした。

CPL側の弁護士は女性の痣について、当時同社の福祉チームに「荒っぽい」行為の結果ではあるものの性行為自体は合意に基づくものだったと説明されていたと述べた。女性がパートナーから「拒むな」と言われたことについては本人が会社に伝えておらず、酸を投げつけるとの発言についても、女性は単なる何気ないコメントとして報告しただけで脅迫として扱われてはいなかったと説明した。弁護士らは、女性が不安を感じたと訴えた時点でCPLは直ちに対応したと述べた。

別の女性は、番組内の夫と合意の上で性的関係を持つようになったと述べたが、ある時、自分が拒んだ後も相手が性行為を強行したと語った。

女性はBBCに対し、このレイプ疑惑についてチャンネル4とCPLの両方に報告したが、それでも自身の出演回は放送されたと主張した。番組内の夫の弁護士は、本人が女性の主張の詳細に異議を唱えていると述べた。弁護士によれば性行為は合意の上で始まったものの、その後女性側がボディーランゲージで同意を取り消したことを示したため、その時点で夫は直ちに行為を中止したという。

CPLの弁護士は、当該の女性が同社に対し、すべての性的行為は完全に合意の上で行われたと伝えていたと述べた。

この他BBCのパノラマに出演した3人目の女性、ショナ・マンダーソン氏は、番組内の夫の男性、ブラッドリー・スケリー氏が、事前の避妊の同意に反する形での性行為を強要したと主張した。マンダーソン氏はBBCに対し、その後妊娠し中絶したことを明かした。ただその妊娠が疑惑の出来事によるものかどうかは分からないと述べた。

CPLとチャンネル4は、2023年のこの出来事の直後、マンダーソン氏とスケリー氏の二人を番組から降板させた。両氏の関係が不健全である可能性を懸念したという。

BBCが報じた声明の中で、スケリー氏は「性的不祥事に関するいかなる疑惑」も否定。当時の理解ではマンダーソン氏は避妊を行わないことに同意していたと主張した。その上で、自分たちの関係は「相互の同意、思いやり、愛情に基づいていた」とし、自身が「支配的だった」という指摘を退けた。

BBCの報道を受け、チャンネル4のプリヤ・ドグラ最高経営責任者(CEO)は録画された声明の中で「我々はこれらの問題を極めて深刻に受け止める。番組出演者に対する配慮の義務という点で、今後も業界をリードし続けることを確約する」と説明。局としては「当時把握していた情報に基づき、適切かつ迅速に、そして配慮を持って対応した」との認識を示した。