串カツに依存しない社名に(C)日刊ゲンダイ

写真拡大

 串カツ田中ホールディングス(HD)は3月、社名を「ユニシアHD」に変更した。ユニシアは、「ひとつの」を意味するUNIと「海」を組み合わせた造語。多様な個性を持つブランドや人材を活用し、グローバル企業になる決意を表したという。

カルビー「白黒ポテチ」に透ける石油ショックの深刻度…ナフサ不足が大手菓子メーカーを直撃

 同社は2002年にケージーグラッシーズとして創業し、京料理屋などを運営。08年に開店した「串カツ田中」がヒットすると、直営とフランチャイズ(加盟店方式)の両軸で店舗数を増やした。15年に社名を串カツ田中に変更し、18年にHD化した。現在は天ぷら店も運営しているが、25年11月期は串カツ業態が売り上げの8割超を占めた。社名変更には多角化への意気込みも含まれているようだ。

「昨年末にイタリアンチェーンの『ピソラ』を買収し、新規事業の開拓を進めている。串カツに依存しない外食大手としてアピールする狙いがあるのだろう。過去には鳥貴族HDが海外展開を見据えて『エターナルホスピタリティグループ』に社名変更した例もある」(外食関係者)

 実は近年、上場企業による社名変更が増えている。日本取引所グループの資料によると、2010年代前半まで年間30件前後を推移していた社名変更数は、後半には平均46件になり、20年以降に著しく増加。24年と25年はそれぞれ72、73件に達したのだ。なぜ増えているのか。

「社名変更は合併や持ち株会社化など再編に伴うケースが多かったが、過去10年間で再編による変更数は増えていない。近年、増加しているのは事業転換をアピールするケース。祖業の主力事業が成熟する中、第2、第3の事業との整合性を取る狙いや、海外事業のために外国人が読みやすくする目的がある」(M&A関係者)

 旧日立造船は24年に「カナデビア」に社名変更したが、日立グループに属しておらず、造船事業からは02年に撤退していた。

 今年は4月までにぺんてるやマルハニチロなど27社が変更した。10月にはDVD・ゲーム店「GEO」を展開するゲオHDが「セカンドリテイリング」に社名を変更する予定だ。

 ゲオは中核事業をリユース(再利用)ビジネスに転換しており、新社名は中古を意味する「セカンドハンド」に由来するという。同社は「セカンドストリート」を運営し、主力商材はかつてのゲームから古着や中古のブランド品に変化している。社名変更は吉と出るか凶と出るか。

「業績が良ければ新しい社名も定着するが、そうでなければ定着しにくい。過去にはユニヘアーがアデランスに社名を戻し、ミレアHDが東京海上HDに変更した」(前出のM&A関係者)

 過去の栄光が大きいほど定着しづらいという。芸人や俳優もよく改名するが、結局は「芸」次第のようだ。

 (ライター・山口伸)