『Michael/マイケル』北米・世界でメガヒット 『ボヘミアン・ラプソディ』超えなるか
マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』が世界的なヒットを記録している。北米オープニング興行収入は9700万ドルで、4月24日~26日の週末ランキングでは堂々のNo.1を記録。海外82市場では1億2036万ドルを稼ぎ出し、世界興収は2億1736万ドルとなった。
参考:『Michael/マイケル』最終トレーラー公開 LAプレミアにはジャクソン一家が集結
この初動成績は、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を抜いて2026年の実写映画No.1、また『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』に続いて年間No.2。北米・世界ともに事前の予想を大幅に上回るロケットスタートとなった。
北米興収では『オッペンハイマー』(2023年)の8245万ドルを上回り、伝記映画の歴代記録を更新。また世界興収では、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)の世界初動成績1億2200万ドルを大幅に更新し、音楽伝記映画の歴代No.1に輝いた。
近年、ハリウッドではエルヴィス・プレスリーを描いた『エルヴィス』(2022年)や、ティモシー・シャラメが若き日のボブ・ディランを演じた『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024年)、またブルース・スプリングスティーンを描いた『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(2025年)などの音楽伝記映画が話題を呼んできたが、『Michael/マイケル』の滑り出しは別格だ。
このヒットは、「キング・オブ・ポップ」として今も熱狂的に愛されるマイケル・ジャクソンのファンのみならず、より幅広い層を劇場に呼び込んだことで成し遂げられた。
出口調査によると、観客の61%が女性で、年代別には18歳~34歳が全体の約半数。ティーン層も早くから興味を示していたといい、ヒットの条件である女性客と、“マイケル・ジャクソン世代”ではない若年層をがっちりとつかんだ格好だ。黒人やラテンアメリカ系の観客も多く、多様性に富んだ客席となったことも要因のひとつといえる。
Rotten Tomatoesでは批評家スコア38%と苦戦したが、観客スコアは97%と、伝記映画としても屈指の成績。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A-」と高評価を受け、別の出口調査でも「ぜひ薦めたい」が85%にのぼった。各地の劇場では、あらゆる層の観客が歌い、踊りながら映画を観ているといわれるほどの熱狂ぶりだ。
では、なぜ批評家が本作に厳しい反応を示したのか――それは、長年にわたりマイケル・ジャクソンの名前から切り離せなかったスキャンダル、すなわち私生活における性的虐待疑惑などが描かれていない、という理由に基づくところが大きい。
もっとも当初の脚本には、この疑惑の告発者が登場しており、実際に撮影も行われ、監督のアントワーン・フークアはいったん映画の編集を終えていたという。ところが、当人との和解条項に「映画やテレビで描写・言及しない」との文言があったことが判明。製作陣は脚本を書き直し、20日間の追加撮影を経て映画を作り直している。
こうした再構築の結果、映画はマイケル・ジャクソンの“疑惑以前”を描く内容となった。追加予算は5000万ドル(マイケル・ジャクソン・エステートが負担したとされる)で、総製作費は2億ドルという異例の高予算になっている。
それでも製作陣の狙いは的中し、観客は“スーパースター”マイケル・ジャクソンの音楽とパフォーマンスを大スクリーンで体験することに夢中になった。IMAX上映の世界初動興収は2440万ドルで、音楽伝記映画として歴代No.1。また海外82市場のうち、62市場で音楽伝記映画の歴代オープニング記録を樹立した。
本作のプロデューサーは『ボヘミアン・ラプソディ』も手がけたグレアム・キング。『ボヘミアン・ラプソディ』は最終興収9億1081万ドルに達したが、すでに『Michael/マイケル』も7億ドル超えは堅いとみられている。
日本では6月12日公開。マイケル・ジャクソン人気の高い日本は、世界でも有力な市場のひとつ。ドキュメンタリー映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』(2009年)では、海外興収1億9589万ドルのうち、日本だけで5700万ドルを稼ぎ出した前例があるのだ。
このヒットを受け、製作・配給のライオンズゲートは、本作で描けなかった内容に踏み込む続編の実現に踏み切るものと予想される。監督のフークアによると、再構築の過程では全体の3分の1がカットされており、それらは続編に使えるようになっているというのだ。
そのほか今週のランキングでは、『Michael/マイケル』に首位を譲った『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』が第2位。北米興収は3億8649万ドルで、世界興収は8億ドルを突破した。第3位は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』で、公開6週目ながら変わらぬ人気ぶりを示し、世界興収6億ドルを超えるヒットを継続中だ。
アン・ハサウェイ主演、A24製作『Mother Mary(原題)』は第9位にランクイン。前週にわずか5館で公開され、公開2週目となる今週は1103館の拡大上映となったが、週末興収125万ドル、累計148万ドルと厳しい結果となった。ただし、ハサウェイは今週末に『プラダを着た悪魔2』という大注目作を控えている。
【北米映画興行ランキング(4月24日~4月26日)】1.『Michael/マイケル』(初登場)9700万ドル/3955館/累計9700万ドル/1週/ライオンズゲート
2.『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』(↓前週1位)2120万ドル(-41.9%)/3732館(-552館)/累計3億8649万ドル/4週/ユニバーサル
3.『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(↓前週2位)1320万ドル(-35.6%)/3510館(-310館)/累計3億543万ドル/6週/Amazon・MGM
4.『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』(↓前週3位)563万ドル(-58.3%)/3304館/累計2345万ドル/2週/ワーナー
5.『The Drama(原題)』(↓前週4位)264万ドル(-45.7%)/1982館(-647館)/累計4480万ドル/4週/A24
6.『私がビーバーになる時』(→前週6位)190万ドル(-37.7%)/2000館(-475館)/累計1億6415万ドル/8週/ディズニー
7.『You, Me & Tuscany(原題)』(↓前週5位)150万ドル(-61.5%)/2115館(-1042館)/累計1763万ドル/3週/ユニバーサル
8.『Over Your Dead Body(原題)』(初登場)142万ドル/1550館/累計142万ドル/1週/IFC Films
9.『Mother Mary(原題)』(↑前週22位)125万ドル(+645.8%)/1103館(+1098館)/累計148万ドル/2週/A24
10.『American Youngboy(原題)』(初登場)119万ドル/583館/累計119万ドル/1週/Foundation Media Partners
(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2026年4月27日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)
【参照】https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W16/https://www.hollywoodreporter.com/music/music-news/michael-jackson-record-box-office-biopic-opening-1236577460/https://variety.com/2026/film/box-office/michael-box-office-opening-weekend-record-1236730805/https://variety.com/2026/film/box-office/michael-box-office-global-debut-super-mario-galaxy-movie-project-hail-mary-milestones-1236730851/https://deadline.com/2026/04/box-office-michael-1236870542/https://deadline.com/2026/04/box-office-global-michael-1236870083/https://deadline.com/2026/04/michael-movie-director-interview-reshoots-controversy-1236872832/
(文=稲垣貴俊)
