米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に反対し続けることを、沖縄県民は本当に望んでいるのだろうか。

 現実的な基地負担の軽減策や、県民生活の向上は、沖縄にとって重要な課題のはずだ。次期知事選を、地域の発展につなげる機会としなければならない。

 沖縄県の玉城デニー知事が記者会見し、県知事選(8月27日告示、9月13日投開票)に3選を目指して立候補すると正式に表明した。主要な争点の一つとして、辺野古への移設計画を挙げた。

 知事選には、既に前那覇市副市長の古謝玄太氏が出馬する意向を表明している。自民党は古謝氏を推薦する見通しだ。

 辺野古移設について、玉城氏は反対する考えを改めて示した。古謝氏は容認の立場だ。

 日米両政府が1996年4月、普天間の全面返還で合意してから30年が経過した。民主党政権が実現性のない「県外移設」を掲げたことや、移設に反対する県が国と法廷闘争を繰り広げたことが、返還の遅れを招いてしまった。

 世界で最も危険とされる普天間の返還を実現するには、辺野古移設が現実的な唯一の選択肢だ。司法の場で県の主張が次々に退けられたことを、玉城氏は重く受け止める必要がある。

 一方、移設計画にはなお懸案が残っている。

 普天間の滑走路は長さが2700メートルあるのに対し、辺野古の2本の滑走路はいずれも1800メートルと短い。主にヘリコプターの運用を想定しているためで、離着陸できる航空機は制限される。

 日米両国は2013年、普天間返還の条件として、米軍が緊急時に使用する長い滑走路を持つ空港を確保することで合意した。政府は那覇空港を想定しているが、県側は反発している。国と県で真摯(しんし)に協議することが欠かせない。

 沖縄には、国内の米軍施設の7割が集中している。米軍基地の整理・縮小や本土への分散を進めて、負担の軽減を着実に図ることも政府の責務だ。

 沖縄の課題は基地問題に限らない。1人あたりの県民所得は全国最低で、貧困世帯も多い。

 地元の経済界は、普天間を含め、返還が予定される米軍基地の跡地を、先端医療や海洋探査などの拠点とする計画を進めている。

 沖縄を豊かな県にするため、世界有数の研究機関である沖縄科学技術大学院大学の知見を、新たな産業の創出に生かす手もある。