Image: James Pero / Gizmodo US

市場拡大しつつ、まだ初期段階の混沌も持ち合わせているスマートグラス業界。スペックも各モデルごとにかなり違いがあります。Everysightの「Maverick AI Pro」は、目の動きをトラッキングする仕組みを搭載したスマートグラス。メガネなので目に関する機能は当然と思いきや、スマートグラスでアイトラッキングを実装するのはこれが初めて。

米Gizmodo編集部が、触ってきました。

スマートグラスは、今、間違いなくアツい話題&アイテムです。が、問題解決も含めブラッシュアップすべきことが多いアイテムでもあります。プライバシー問題はその最たるもので、アプリ対応はもちろん、本当の実用性もまだ煮詰めていく必要あり。

もっと現実的な話をすると、スマートグラスの操作の最適解ってなんだ?になります。

スマートグラス操作の最適解は?

マウスやタッチスクリーンのないスマートグラスでは、どう操作するのが1番便利なんでしょう。今のところ、メガネのツルのタッチ操作、音声操作が基本で、他に付属アイテムのリストアンドや指輪を使う方法が出ています。ここにEverysightが「Maverick AI Pro」で新たに加えるのが、目の動きで操作するアイトラッキング。

うれしいことに、Maverick AI Proをハンズオンする機会がありました。使ってみて思ったのは、これはダイヤの原石。これから磨かなきゃダメだけど、スマートグラスの操作に大きな期待を感じさせるものではありました。

アイトラッキング操作といえば、(スマートグラスじゃないけど)AppleのVision Proがすでに採用しています。ヘッドセットに搭載されたカメラが、ユーザーの目の動きを検出することで、メニューやアプリの操作を可能にします。この機能は、他のヘッドセットとVision Proを区別する個性の1つと言ってもいいもの。そして、この仕組みをスマートグラスに初めて採用するのがEverysight。

Maverick AI Proは、599ドル(約10万円)。メガネフレームにアイトラッキングモジュールを搭載していますが、モジュール自体の重さは1グラムもありません。Vision Proが650グラムとその重さが常に課題・マイナス点として挙げられるのと比べ、Maverick AI Proは全体の重さは47グラム。ディスプレイを搭載したMeta Ray-Ban Displayよりも22グラム軽いです。

フィット感の良さは絶対条件

アイトラッキングの設定も、シンプルかつ実用的。ただ少々不安定。起動するには、まず表示される丸をじーっと見つめ、次に表示される四角もじーっと見つめます。5秒から8秒でシステムが調整し、すぐに目をカーソルとして使えるようになります。

Image: James Pero / Gizmodo US

デモではアプリの起動も、終了もじっと見つめて無事行なうことができました。株価チェックアプリでは、チャートをじっとみることで株の変動価格をチェックできるのですが、スムーズとは言い難い間が発生。ラグが若干きになりました。一方でメニューの操作は非常にスムーズで、左右に視線を振ることで表示ウィンドウをさっと入れ替えることに成功。

大事なのは、グラスと自分の顔(耳・鼻)の相性。アイトラッキングに限らず、スクリーン型のスマートグラスは、目とレンズの距離が使用感(見え方)に大きく関わってくるため、まず適切なフィット感が重要。

Maverick AI Proのアイトラッキングは、適切に顔とフィットしない=スクリーンが適切に見えていないと、まず起動に必要なシステム微調整が入りません。メガネがズレちゃうと機能が外れます。システム調整で認識しアイトラッキングがオンになったあと、ちょっと鼻パッドの辺りを修正したことで、目とグラスの距離が変わったのか実際に機能が外れてしまいました。EverysightのDavid McLauchlan CEOとJeff Freedman CFOいわく、やはり機能が外れるのはアイトラッキングに必要なリーディング調整がズレたからとのこと。

メガネなので、これはちょっと致命的では? メガネって鼻の上でずれたり、掛け直したりがどうしても発生するアイテムですからね。しかし、それはEverysightも十分承知しており、将来的にはスムーズなアイトラッキング認識を目指しているそう。

デモ中にアイトラッキングが外れたときにふと思ったのですが、この機能って常にオンというわけにはいかないものですよね。目をマウスのカーソル代わりに使うタイミングもあれば、ただ見るために使うこともあるわけで、この切り替えのスムーズさ、バランスは、今後さらに重要になってくると感じました。

ターゲットは広くない、かも

Image: James Pero / Gizmodo US
Everysightのさまざまなスマートグラスモデル。

Maverick AI Proは単体で使うスタンドアローン型。Everysightとしては技術面で他社にテンプレートを提供することも視野に入れているといいます。

アイトラッキングモジュールをはじめ、ディスプレイ技術もアピールしたいことの1つ。Everysightのディスプレイは、レンズに照射に反射してユーザーに見せることから、他のモデルに加えディスプレイの消費エネルギーが小さいことが魅力(Maverick AI Proはバッテリーもち9時間)。また、ガラス層を重ねる必要がないレンズで軽量化も実現。ディスプレイは非常に見やすく、太陽光降り注ぐオフィスでもクリアでした。トランジッションレンズを検討しているそうですが、それだとより見えやすくなりそう。

ディスプレイの明るさは5000ニトでMeta Ray-Ban Displayと同じ。解像度はMetaの600x600よりも上の1,280x720で圧倒的です。

Image: James Pero / Gizmodo US

技術的に優れていても、気になるところもあれこれ。レンズがクリアなことも手伝って、技術用モジュールが丸見えなんです。スマートグラスはメガネですから、顔の前につけるやつだとこれはいかつすぎるような。スマートグラスと一目でわかる物々しさは、プライバシー保護の点ではプラスととることもできますが、ファッションとしてはマイナス。メガネとしては不自然。解決のため、Everysightはモジュールをよりフレームに近づけ見えづらくする検討はしているとのこと。

スマートグラスとしては上位クラス

デモ体験してみただけですが、ハンズオンでは高評価。RayNeoやInmoという他モデルに負けないスマートグラスです。Vision Proほどの空間再現度はないにしても、そこはVRヘッドセットではなくスマートグラスなので許容範囲。

おすすめです!というには、ハンズオンだけでは足りません。しっかりレビューしてみないとね。ただ、レビューしたいと思えるハンズオンデモではありました。一方で、現時点ですでに、アイトラッキングもプロジェクションもまだまだ改良の余地ありとは思います。ガジェットとして完璧というには、Metaのリストバンドなど付属アイテムも追加する包括的な操作性は検討する余地はありそう。

Source: Everysight

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