「皇室典範改正」を急ぐ高市首相…皇族復帰が議論される「旧宮家男子」と「悠仁天皇」に残された懸念
愛子さまの「お相手候補」として、旧宮家である賀陽家の次男が有力視されている。女性天皇を望む声も国民の間では多く上がるなか、「旧宮家の男子」を養子に迎え入れ、皇族数を確保する案も自民党の一部議員からは上がっている。
高市首相は2026年3月16日の参院予算委員会で、「現時点では(愛子天皇に決定するような)議論を進める機は熟していない」と答え、悠仁親王殿下が皇位継承順位第2位であることをあげ、現行制度を維持する姿勢を示した。2月27日の衆院予算委員会でも,「男系男子による継承を維持するべき」と述べ、根拠として、2021年に開催された政府の有識者会議の報告書に言及し、「報告書も男系男子による継承を重視している」と断言。
言及された報告書とは、2021年に菅、岸田政権下で設置された「天皇退位特例法付帯会議に関する有識者会議」のもので、報告書では「将来の皇位継承のあり方について明確な結論は示していない」としている。
記事前編は【愛子天皇を認めず…「男系男子」による皇位継承を主張する高市首相の「大きな誤り」】から。
「2004-2005年の会議」では…
小泉政権下で行われた2004-2005年「皇室典範に関する有識者会議」(小泉政権)では、内閣官房の設置決裁文書に以下の趣旨が示されています。
「皇位継承制度と関連する制度について、高い識見を有する人々の参集を求める」
そのメンバーには、
吉川弘之:産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長(座長)
園部逸夫:元最高裁判事、外務省参与(監察査察担当)(座長代理)
岩男寿美子:武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授、男女共同参画審議会会長 女性学の大家
緒方貞子:国際協力機構理事長
奥田碩:日本経済団体連合会会長
といった面々が並び、相当重厚な11人で構成されていました。しかも、17回も会議を行い、ヒヤリングも学者10人に及んでいます。
二つの有識者会議を比べると、2021年の有識者会議は、いかにも軽量のメンバーです。皇室の現状に関する情報を詳細にもっている立場の人物もいませんし、欧州の王族がどうして亡びたかなど、歴史的観点から皇室制度のあり方を考え、国民を説得しきる人もいません。
しかも、二つの有識者会議はともに、旧宮家の男系男子を皇族に迎える養子案についても、国民の理解確保が必要という慎重な姿勢を示しています。
「賀陽家」とはそもそも何か
元々、旧宮家は、明治維新での天皇家の権力回復によって、還俗した人々が中心になりました。政治的駆け引きの道具として誕生し、その後、政府は、宮家への費用負担を考えて一代限りと決定していたものを、明治天皇が皇統の継承者が減少するのを恐れて、強引に二代目、三代目も宮家を続けたという歴史があります。【参考:高市政権が復活をめざす「旧宮家」とはそもそも何か…戦後に財産を没収、困窮した歴史も(木俣 正剛) | 現代ビジネス | 講談社】
しかも、賀陽宮家は、維新直後ではなく、久邇宮朝彦親王の第二子邦憲王を初代に創設されたものですが、これは邦憲王が久邇家を継ぐはずだったのに、病弱のため、弟に久邇家を譲り、賀陽宮家を創設したという、暫定的なものでした。歴史的経緯がわかりにくいなら、話題になっている「賀陽宮家の次男」は、愛子さまにとって、曾祖父である昭和天皇の父、大正天皇の兄弟が創設者である家の五代目ということになります。日本語では、この関係を縁戚として表現する言葉はありません。愛子さまにとっても、国民にとっても、それをいきなり「皇族」の人間として受け入れるのは、少し時間がかかるでしょう。
皇室典範改正は妥当なのか
果たして、こんな状態で早急に、皇室典範改正を考えるのは妥当なのでしょうか。
たとえば、専門家でなくとも、天皇皇后両陛下にご進講したメンバーなら、政治的発言ができない両陛下に代わって感触を伝えることは、できます。しかし、確認された限りでは、そういうメンバーはごく少数です。
私は、愛子天皇説に固執するあまり首相に反対しているのではなく、秋篠宮家と天皇家では、現状、国民の人気がちがいすぎるうえに、秋篠宮家自体が、父親が若いときに皇籍離脱を言いだしたり、虚飾に満ちた人生の女性の息子と眞子さんが結婚したりするなど、国民に信頼感がないことを懸念しています。
男女平等は、もう、ある一定年齢以下の日本人には常識になっています。それを無視した、明治の皇室典範でしか認めていない男系男子に戻る決断は、今後の日本の国際的地位に憂いを残すことになりかねません。なにしろ、男系男子は明治憲法以降にできた原則であり、側室制度を前提にした制度なのです。
4月15日から、皇室典範改正の議論を始めると政府サイドは言っていますが、まず、先述の賀陽家をはじめとする、皇族に復帰する宮家への個別の調査を厳密に行う、旧皇族の復帰を皇室がどう思っているか、政治的発言ができない彼らに代わって宮内庁長官や、直接おめにかかってご進講をした学者などの意見を聞く、などの事前の準備が必須なのではないのでしょうか。
そして、悠仁殿下についても、疑問がメディアや国民から提示されています。ネットの意見は紹介しませんが、「週刊文春」3月25日号によれば、筑波大学では、「護衛車は10メートル以内にはいらない」という規則が作られ、殿下が護衛車が10メートル以内にはいっていると発見すると怒りだすなど、帝王になるには、未熟すぎる行動が目立ちます(10メートルも離れていては、実際の護衛の役にはたちません)。護衛や勉学の面で、普段、殿下のお世話をしている人々の意見を聞くなど、準備・調査をしなくてはいけないことが多々あるはずです。
なお、第一回の有識者会議の座長代理であった園部逸夫(最高裁判事、外務省参与)は、悠仁殿下誕生のあとでも、以下のような発言をしています。
「平成時代から引き継がれた課題が残されたままになっています 天皇陛下の次世代の皇位継承資格者は悠仁親王殿下お一方です。この先、悠仁親王殿下がご結婚されても、男子が生まれるかどうかはわかりません。安定した皇位継承とは程遠い危機的な状況が続いているのです。現在の皇統に属する男系の男子が継承するという制度では、安定した皇室制度の維持は厳しいと考えています。皇室制度の維持のために何より優先すべきは安定した皇位継承であり、そのためには直系であることが重要です」
「天皇と寝食を共にしそのお姿を間近に見て育った『直系』の子が継ぐことが、象徴としての資質を受け継ぐ上で最も自然であり、国民の理解も得やすいと考えました」
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