マムダニNY市長が就任100日で見事な手腕 富裕層課税に道筋、トランプ大統領も怒らせず成果も出す【トランプ2.0 現地リポート】
【トランプ2.0 現地リポート】
米国の対イラン作戦「6月突入」確率は88% トランプ大統領“戦争終結合意におわせ”のウサン臭さ
「アメリカ全体は暗いけれど、ニューヨークにだけは明るい兆しがある」
ある市民はこう語った。
その期待を一身に集めているのが、就任100日を迎えたマムダニ市長だ。34歳の市長は、次々と公約を現実に変え始めている。
乳幼児保育の完全無償化は、これまでの4歳児以上向けに加え、3歳児以上でほぼ整備され、2歳児への拡大が始まっている。市民に安価な食品を提供する市営スーパー構想も、具体案が示された。有権者にとって大きいのは、アフォーダビリティー、「普通に働けば住める街を取り戻す」という公約が、現実として動き出したことだ。
さらに、最大の壁だった税収確保にも、突破口が開かれつつある。
市長は、大企業や富裕層への増税を掲げてきたが、これは極めてハードルが高い。税法を変えられるのは市ではなく州であり、ホークル州知事は慎重姿勢を崩していなかった。ところがここにきて、両者は意外な法案を打ち出した。
■年5億ドルの規模の財源確保
「ニューヨーク以外に住む富裕層が所有する、時価500万ドル(約8億円)以上のセカンドハウスへの課税」である。
市内にはこうした高額物件が約1万3000戸あるとされ、投資目的で所有する海外居住者も少なくない。この「セカンドハウス税」であれば、市民の負担を増やさずに、年5億ドル(約800億円)規模の財源確保が見込まれる。何より、ここは投資家のための街ではなく、生活者の街だという強いメッセージになる。
法案は今後、州議会で審議され、成立すれば7月にも施行される可能性がある。
もう一つ注目されるのは、トランプ大統領との関係だ。
選挙運動中は敵対的に見えた両者だが、当選後は会談を重ね、関係を維持している。トランプ氏は、セカンドハウス税を批判しながらも、「彼は頻繁に電話してくる。関係は良好だ」と語った。英BBCは「トランプ氏の怒りを買わず、屈服もしない。針の穴を通すような手腕だ」と評価している。
まだ実現のめどが立たない公約もあり、富裕層や大企業の反発も強い。それでも、懸念されたような企業流出は起きていない。
マムダニ市長が示しているのは、左派の理想論ではない。大都市で普通の人が暮らせる政治は可能かという、世界の大都市共通の問いである。
(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)
