なぜ春ドラマは“女性バディ”ものが大豊作?『風、薫る』『銀河の一票』…業界人が明かす“求められる企画”の変化
シスターフッドとは、女性同士の連帯、絆、支え合いを示す概念のこと。2026年春ドラマではシスターフッドをテーマに置いたような、女性俳優ダブル主演の作品が多く見られるのです。そんな非常に珍しいクールである今期、その理由はいったいどこにあるのでしょうか。
キャストのクレジットが1番手と2番手が女性である今期のドラマは、『風、薫る』はもちろんのこと、なんと8作以上。ざっと見ただけで、こんなに!
『銀河の一票』黒木華×野呂佳代(関西テレビ/フジテレビ系)
『月夜行路―答えは名作の中に―』波瑠×麻生久美子(日本テレビ系)
『水曜日、私の夫に抱かれてください』菅井友香×入山法子(テレビ東京系)
『サレタ側の復讐 同盟を結んだ妻たち』水崎綾女×篠田麻里子×矢吹奈子(テレビ東京系)
『未解決の女 警視庁文書捜査官 Season3』鈴木京香×黒島結菜(テレビ朝日系)
『あざとかわいいワタシが優勝』大友花恋×桜井玲香(TOKYO MX系)
『エラー』畑芽育×志田未来(ABC/テレビ朝日系)
物語が進むにつれ“シスターフッドもの”ではない展開になる可能性もありますが、女性のダブル(トリプル)主演作がこれほど多く揃うのは前代未聞のことでしょう。
◆『風、薫る』のふたりはどう描かれていくか
現時点では『風、薫る』主演ふたりの人生は深く交わっておらず、それぞれの背景やキャラクター、そして看護の道に至る背景が丁寧に描かれている最中です。
史実では、モデルの大関和と鈴木雅が本格的にバディとして手を組んだのは40歳近い年齢の時。今までの朝ドラと同様に、大関和の足跡を描いた原案を大胆に再構成してオリジナルのフィクションとしてドラマで描くということから、展開的に二人がタッグを組んで動き出す時期は史実より早まるのでしょう。ふたりの人生が、どのように描かれていくのか見ものです。
◆男性バディものは数多く存在。一方、女性バディものは?
男性バディものは、古くから『あぶない刑事』シリーズ(日本テレビ系)『振り返れば奴がいる』(フジテレビ系)『人生は上々だ』(TBS系)、そして今でも続く『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)や、続編の声も高い『MIU404』(TBS系)など数多く存在し、人気の高いジャンルとなっています。
一方、女性ふたりを描いたものというと、ダブル浅野(温子、ゆう子)主演の『抱きしめたい!』、安田成美と中森明菜の『素顔のままで』、観月ありさと松下由樹の『ナースのお仕事』シリーズなど(いずれもフジテレビ系)、過去に名作はあれど継続的に制作されるようなものではありませんでした。
ではなぜ今期に“女性バディもの”や“シスターフッドもの”が多く放映されるようになったのでしょうか。その理由を、地上波の連ドラで脚本家として活躍するMさんはこう分析します。
◆女性は「サポートする側」という風潮だった
「これまでは男性中心社会であり、ドラマの中だとしても刑事や医療、ビジネスの最前線で女性ふたりがタッグを組んで活躍するというのは『非現実的』『ありえない』という根強い意識がありました。
男性が女性をサポートする、そんな価値観が強い中で女性がコンビを組んで社会の中心で活躍するということは“ファンタジー”という認識。細かな設定と大きな理由付けをしない限り、作品の違和感になりうる時代でした。
女性同士の友情は脆い、女性同士が集まるとドロドロしたり対立構造ができて物事が進まないというようなどというイメージもありましたね。

