大谷翔平(C)共同通信社

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【今日の大谷翔平】

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「東京、マイアミ、アリゾナで投げ、この(雨中の)コンディションで投げても動じない。彼ほど精神面の影響を受けない選手はいない」

 ドジャースのロバーツ監督がこう言った。

「彼」とは日本時間1日のガーディアンズ戦に今季初先発、勝利投手になった大谷翔平(31)のことだ。

 時折、ストレートが引っ掛かったり、スプリットが抜けたりはした。それでも6回を1安打無失点、6奪三振だった投球内容を指揮官は手放しで評価した。

 この日の最速は160キロ。本人が肩肘に最も負担がかかると認める球速に、今季もオープン戦からこだわっている。

「ちょっと最初の方は力が入っていたなという感想はあるので、それが次回以降の課題」「軽く投げている感覚でも、強く投げている感覚でも、きょうはそこまで(球速が)変わっていなかった。それなら軽く投げる方がいいですし、全体的な負担も含めて、そこは収穫かなと思います」とは試合後の本人。

 この日は「1番・投手」のリアル二刀流で出場し、打っては3打数1安打、2四球。昨年8月25日のパドレス戦から続く連続試合出塁を自己最長に並ぶ「36」に伸ばした。

 打つだけでなく、投げても勝利に貢献、1人で2人分働くわけで、ドジャースはできるだけ長く、投打の二刀流を続けさせたい。昨年6月、投手としての復帰戦はあくまで調整登板だった。フリードマン編成本部長は登板前、大谷に「初登板だ。徐々にいこう」とクギを刺し、本人も「もちろんです」と答えた。にもかかわらず、いきなり160キロをマークしたものだから、首脳陣は登板後の大谷を叱ったともいわれる。すでに2度メスを入れている右肘を危惧したからだ。かのベーブ・ルース以来となる本格的な二刀流は興行としても大きな目玉だ。

「投手生命はあと2、3年か」

 もちろん、大谷本人も二刀流を長く続けたいに決まっている。だからこそ肘に負担のかからない投げ方を模索し、投球フォームをコンパクトなものに変えた。その意識がこの日の「軽く投げても球速はそこまで変わらなかった。それなら軽く投げる方がいい」という発言にもつながった。

 しかし、本人の中でそれ以上に重要なのは、投手として思い切りパフォーマンスを出せる感覚をもつこと。「そうでなければ、うまくもなれないし、面白くない」からだ。肘への負担は極力減らしたいが、リスクを背負ってでもベストの投球をしたい。大谷は次に右肘靱帯を損傷したら投手断念を示唆しているものの、そうなっても仕方がないと思って腕を振っていることになる。

 右肘手術のリハビリが必要だった昨年までとは異なり、今季は体調も万全。オフも思うようなトレーニングができたという自覚もある。

 すでに31歳と、体力面でもピークに達しつつある。本塁打王2回に打点王1回、一昨年はメジャー史上初の50本塁打-50盗塁も達成した。打者としてのタイトルを手中にしている一方、投手としてはエンゼルス時代の22年に15勝9敗、防御率2.33で、ア・リーグのサイ・ヤング賞投票4位になったのが最高だ。

 ア・リーグのスカウトはこう言う。

「コンスタントに160キロ近い速球を投げ続けていれば、いやでも肘に負担がかかる。この日、有効だったカーブはもちろん、スライダー、スプリット、シンカー、カッターと大谷は変化球が豊富です。制球さえ間違わなければ速球は150キロを超える程度で十分、160キロの速球はここぞという場面だけにすれば肘への負担はかなり違ってくる。そうやって速球にメリハリをつけている投手はメジャーにいくらでもいます。目いっぱい腕を振り続けていたら、投手をやっていられるのはあと2、3年かもしれません」

 マウンドにいる間、常に100%を求めて投げていれば、大谷に残された投手としての時間は限られる。今後が心配とはいえ、そんな大谷だからこそ、年齢的にも肉体的にもピークに達しそうな今季は、自身初のサイ・ヤング賞も視界に入ってくるのではないか。

  ◇  ◇  ◇

 そんな大谷に対しロバーツ監督も「間違いなくサイ・ヤング賞候補」と言うが、目安とされるのは「200奪三振」と「200投球回」。前者は達成可能だろうが、二刀流で登板数が限られるだけに後者はまず無理だ。それなのになぜ候補に入るのか。

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