日本株「年に1回の急落」にはこう備える…投資のプロも実践する「大きな下げ」に襲われたら絶対やるべきこと

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大きな下げはいつも突然やってくる

2026年3月は世界中のマーケットで動きが激しいです。こと、日本株は年初から上昇が著しかっただけに、3月に入ってからは1日単位で大きな下落が珍しくありませんでした。日本株の下落が特に大きいですね。日本株は下落から上昇するときの幅も大きく、上げ下げが日替わりで起きているような状況です。

2024年にルールを変えてスタートしたNISA制度を利用するべく、新たに投資を始めた方もいらっしゃるでしょう。それから2年3ヶ月が経過しました。先ほどのチャートを少し延ばして2年にしてみました。時折大きな下げはあったものの概ね右肩上がりに推移しています。「資産が増えた」2年でした。

2年のチャートを眺めると、音を立てているかのように「ストーン」と下向きに向いている局面が3回あります。2024年8月、2025年4月、2026年3月です。2024年8月は、米国のリセッション懸念が高まったことと、日本では前月に政策金利の引き上げがあったことで、株式市場から資金を退避させる投資家が多かったことが大きな下落の理由だとされています。2025年4月は同年1月に2度目の米国大統領に就任したトランプ氏による相互関税政策によるものとされています。そして2026年3月はイスラエルと米国によるイランへの攻撃が株式市場からの資金の退避を促す形になりました。

概して言えば1年に1度程度はそれなりに大きな下げがあることがわかるのですが、それがいつ起きるのかは容易にわからないものです。そして、総じていえば「上昇相場」の日々が続くとこのような大きな下げがとても恐ろしく思えてしまう方もいらっしゃるでしょう。その気持ちはわかります。投資で最も嫌なことは「損」ですから。

誰にでも「うまくいかないとき」はあるから

拙著『2倍株・3倍株がぽこぽこ生まれる のんびり日本株投資』の5章のタイトルは「うまくいかないときの対処法」です。のんびり投資ということは時間をかけて投資と向き合うことになるわけで、そうすると前述したように1年に1度ぐらいはそれなりに大きなマーケットの下落に遭遇します。ですから、拙著の5章では「うまくいかないとき」が必ずあるんだという前提で、そのような局面でどうすればいいかを綴っています。足下のマーケット環境にそわそわしている方のために、拙著5章のエッセンスをご紹介します。

「お気に入りリスト」を作っておく

「備えあれば憂いなし」とは日頃からいざという時のために準備をしておけば、万一の事態が起きても心配する必要がないという意味のことわざです。我々の日常に例えると、傘を常備していれば突然の雨でも慌てない、のようなイメージです。マーケットの場合は大きな下げが来たら、多くの人が資産を減らしますから、「心配なし」なんてことはないかもしれませんが、それでも筆者は「備え」をした方がいいと考えます。株式投資の場合の「備え」はあらかじめ「株価が大きく下がったら買う」とリストアップしておいた銘柄を、実際に買うことです。オンラインショッピングで気に入った商品を「お気に入りリスト」に入れておく方が多いことでしょう。それの株式投資版だと理解してください。

拙著でお勧めしているのは「戻りがいい」銘柄です。これは機関投資家と呼ばれるいわゆる「プロ」もよくやることです。筆者が証券アナリストをしていた時にも、数日にわたって株式指数の下げが続くと「(投資家に勧めるための)バーゲン・ハンティング候補をピックアップしてくれ」と指示が出たものでした。マーケットが反転する局面でリターンを得やすい銘柄のことをバーゲン・ハンティング候補と呼んでいたのです。

では、その「お気に入りリスト」をどうやって作ればよいのか。

筆者の場合は大型株への投資を原則としていますから、投資対象は100銘柄くらいに絞られます。それらの銘柄が過去に起きたマーケットの下落局面から株価がどのような動きをしたのかをチャートで確認するのです。多くの証券会社のオンライン取引ツールには、TOPIXなどの指数のチャートと特定の個別銘柄のチャートを同時に表示して比較できる機能があります。指数より株価が大きく回復することが多い銘柄を「お気に入りリスト」に残すのです。

株価はオークションと同じで、買いたい人がたくさんいれば上昇します。大きく下げた後の戻りが早い銘柄は「もし大きく下げたら、その銘柄を買いたい!」と考える人が多かったということです。下げ局面からの人気者を明らかにしておくということです。

売り注文を出す前に、確かめて

マーケット全体が大きく下げる局面では、多くの銘柄の株価が下がりますから、含み損になることが珍しくありません。筆者もちょくちょく経験します。

この含み損が投資家にはつらいんですね。とくに精神的に。1日、2日程度ならともかく、数週間、数か月と続くようになると、やっぱり株なんて買わなければよかったなぁと思い、損切りする、というのはよくある話です。

このような経緯を全否定するつもりはありません。しかし、売り注文を出す前に確認した方がいいことがあります。

1.ベンチマークと比較する

「ベンチマーク」は、運用の指標とする基準や比較対象のことで、日本株であればTOPIXが使われることが多いです。

1ヶ月、3ヶ月、半年、1年という単位で、TOPIXの騰落率と自分が保有する銘柄の騰落率を比較してみてください。自分が保有する銘柄の騰落率が複数の期間の比較でTOPIXを上回っているなら、その銘柄は相対的には優秀な銘柄と判断していいと思います。マーケット環境が回復すれば、株価が戻りやすい傾向があるでしょう。

一方、常にTOPIXの騰落率を下回っているなら、あなたの運用の足を引っ張っている銘柄である可能性が高いです。本来、買う前にこの手間をかけるべきなので、今後買い注文を入れる前にぜひやってみてください。

2.同業他社と比較してみる

自分が保有する銘柄と似たような事業を営んでいる企業の株価の推移を比較してみてください。ライバルとの比較です。常にライバルを下回って推移しているのであれば、今後業界シェア逆転を見込めるような事象を見つけられない限り、筆者なら売却を検討します。

個人投資家が持つ優位性

株式投資に限らず、なにごともいつもうまくはいきません。こと、株式市場における個人投資家は、動かす金額で勝ち目がありません。そんな立場の個人投資家に一つ優位性があります。決められた時間の単位で結果を出す必要がないことです。プロの投資家は、お客様から預かったお金の運用結果について最低1年に1度は報告しなければいけません。預かったお金が減ってしまうと、お客様から当然不満が出ます。

個人投資家はそのような義務はありません。拙著のタイトルのように「のんびり」やればいいのです。可能な限り心穏やかに日本株投資生活をするにはどうすればいいの?と思われたら、ぜひ拙著を手にお取りください。

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