山本太郎代表

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【全2回(前編/後編)の前編】

 れいわ新選組に耳を疑う内部告発が飛び出した。国会議員の公設秘書枠を“党に上納する”仕組みがあると、前国会議員と山本代表の元秘書が証言したのだ。組織的に秘書給与を国から“詐取”するスキームの全容を明かす。

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【写真】山本太郎代表が秘書に送った「遵法精神なしのLINEメッセージ」 オービスに検知されて秘書が警察への連絡を勧めるも「心当たりなし、です」

 先の衆院選でれいわ新選組は、8議席が1議席に激減する壊滅的敗北を喫した。その1議席さえも、おこぼれで譲り受けたもの。自民党が想定外の勝利を収めたため比例名簿の候補者が足りず、14議席を各党に振り分けた結果だ。

 棚ぼたでバッジを着けたのが、南関東ブロックから比例単独で立候補した山本譲司衆院議員(63)である。

山本太郎代表

 永田町で譲司氏の“前科”を知らぬ者はいないだろう。26年前、民主党の衆院議員だった時、詐欺罪で逮捕され議員辞職。その後、有罪判決を受け1年2カ月の投獄生活を送った。

 譲司氏が問われたのは、名義だけ借りた人物を公設秘書として雇った形にして、国から秘書給与を詐取し、懐に入れた罪だった。

 譲司氏は今も絶えない秘書給与流用の“はしり”だったわけだが、れいわではこれを組織ぐるみで行っている疑惑があるのである。

「“名義だけ秘書にしてもらえないか”と頼まれ……」

「国会議員になると、みな公設秘書枠を党に上納するよう要求されるのです」

 こう明かすのは、れいわの前衆院議員、多ケ谷亮氏(57)だ。多ケ谷氏は今年1月、超党派議員団の一員としてイスラエルを訪問したことが党内で問題視され離党。直後の総選挙は中道候補として千葉11区から出馬し落選した。

 多ケ谷氏の初当選は2021年10月。選挙から2日ほど後、山本太郎代表(51)から電話でこう依頼されたと明かす。

「『政策秘書を党に差し出してくれませんか』と。党の会計責任者で事務方トップである男性職員Aを“名義だけ秘書にしてもらえないか”と頼んできたのです」(多ケ谷氏)

 政策秘書は、政策、第一、第二と3人いる公設秘書の中でも要となる筆頭格だ。多ケ谷氏には意中の人物がいたので断った。だが、

「山本代表は『だったら第一か第二を一人出せないか』と食い下がってきました。当時は国会議員になったばかりで、まだ右も左も分かっていない頃。上司である山本代表に重ねて頭を下げられたので断り切れず、第一秘書の枠を差し出すことにしました」(同)

「勤務実態はゼロ」

 それから任期中の3年間、A氏が多ケ谷氏の事務所に出勤したのは、年間でわずか数日だった。

「たまに給与明細を取りに寄る程度。秘書としての勤務実態はゼロです。Aは党事務所に勤務し、党の仕事に専念していました」(多ケ谷氏)

 この間、国はA氏に給与を払い続けたが、A氏に公設秘書としての勤務実態がないなら、国は公金を詐取されていたことになる。党務への対価を国が支払う理由はない。なぜ山本代表はこのようなインチキを多ケ谷氏に強いたのか。

「党の人件費を浮かせたいからです。小さい党だから大変なのだと思っていましたが、時間がたつにつれ、山本代表が党費を好き放題差配している実態が分かってきた。山本代表は自分の活動に党費を集中させたいからこそ、秘書枠の上納を強いてきたのです」(同)

 れいわの顔として山本代表は地方行脚に力を入れてきた。選挙でなくても、荷室を演説用舞台に改造したトラックで全国を遊説し、集会を開く。これに莫大(ばくだい)なカネがかかるというのだ。

「随行スタッフ十数人の人件費・宿泊費などは年間1億円くらいかかると聞きました。演説に花を添えるためバンドマンまで引き連れ、山本代表の身の回りの世話をしたり、演説内容をスライドで指し示す私設秘書も帯同する。こういうスタッフを所属国会議員の公設秘書として勤務させるのです」(同)

「真面目に政治活動をする議員にとってはうまみがない」

 24年10月の衆院選後には、協力した議員に“報酬”が入る制度もできたという。同年11月、名ばかりの秘書だったA氏から多ケ谷氏に送られてきたLINEメッセージがその証拠だ。A氏は山本代表の側近の一人である。

〈交付金の公平感を担保するために、代表のご指示により、すべての議員に対して以下のルールにて交付金の額を算出し、交付することになりました。

1・交付金基本交付額:30万円

2・役職手当:+20万円(対象者:代表、幹事長、両共同代表、たがや農業中小企業担当)

3・秘書の吐き出しに対して:政策秘書:+35万円 第一秘書:+30万円  第二秘書:+25万円 以上の(1)(2)(3)を合算した額を支払うことになります〉

 多ケ谷氏が解説する。

「秘書枠の“吐き出し”に協力した議員には政党交付金の分配を増額するというのです。キックバックのようなものですが、真面目に政治活動をしようとする議員にとっては全くうまみのない話です」

「おかしな制度であると進言した」

 増額分は第一秘書の枠を渡せば30万円×12カ月で年額360万円、第二秘書なら300万円。

「その程度の額を受け取るよりも、本当は秘書にちゃんと働いてもらう方がありがたい。キックバックの話も怪しく思い、党の事務局におかしな制度であると進言した上、2期目からは差し出しを断りました。本来、公設秘書は議員活動をサポートしてもらうために議員自らが雇うもの。しかし、新人議員の多くは私同様よく分からないまま差し出していたと聞いています。れいわは『山本太郎王国』。山本代表が人事権や予算を全て握っているので、にらまれたらロクなことがないのです。とはいえ私の認識不足で、違法性のある行為に加担させられたことについては反省しています」(多ケ谷氏)

 党の事情で違法性のある働き方を強いられる、れいわの職員たちも大変である。

 後編では、一方的に労働条件をコロコロ変えられ、退職に追い込まれた職員による告発を紹介する。

「週刊新潮」2026年3月19日号 掲載