節税対策の「マンション購入」が招く悲劇…購入後「絶対NG」の行動
前編記事『3月末までに済ませないと大損する…「相続ルール」知らないとハマる「落とし穴」』より続く
マンション購入後、5年間待つ
もう一つ、まもなく激変するのが不動産を取り巻く状況。'27年1月、「貸付用不動産の相続税評価額」の見直しが始まる見通しだ。これで「不動産節税」はそう簡単にできなくなる。
「これまでは相続税を節税するために、貸付用としてマンションやアパートを購入する人が多かった。実際の不動産の購入価格に比べて、路線価などをもとに計算される相続税の評価額が非常に低かったため、実際の価値よりも資産を少なく見せることができたからです。
評価額は80%下落することもあるので、たとえば5億円のマンションを買った場合、相続時には1億円の資産と見なされ、約4億円分の節税メリットがありました。ところが来年1月から、相続の際も購入した価格で評価されることになるのです」(一般社団法人相続終活専門協会代表理事の貞方大輔氏)
だったら年内に駆け込みで購入すればいい―そう考えると痛い目を見る。この制度は直近5年間に取得した物件にもさかのぼって適用されるため、年内に購入しても、向こう5年間に相続が生じる、つまり購入者が死亡すれば購入価格で評価され、その分だけ相続税がかかるからだ。
ただし購入してから5年が経った物件は制度の対象から外れるため、これまで通り評価額も下がる。つまり購入後5年間ジッと待てば、これまで通り節税できるわけだ。制度の細部まで理解し、今から5年後を見越したうえで、迷っているならば早めに購入を決めたい。
全国の不動産を一括で検索
効果的な相続対策が知れ渡ると、国が対策を講じる―相続を巡る制度改正は「いたちごっこ」をくり返している。反面、中にはわれわれ市民にとって、手続きが進めやすくなる変化もある。
今年2月から始まった「所有不動産記録証明制度」がそれだ。あす綜合法務事務所グループ代表で司法書士・行政書士の澤井修司氏が解説する。
「住所と氏名をもとにして、不動産登記名義人が所有している日本中の不動産を一括で検索できる制度です。
これまで故人がどこに不動産を持っているのか知りたければ、固定資産税の納税通知書や権利書を手がかりにして、不動産がありそうな自治体に名寄帳を請求するくらいしか方法がありませんでした。生前に自分の名義に変更しておいてもらえば、時間と手間を大きく節約できます」
遺産分割協議が円満に終わって相続税も申告した後に、故人が所有していた不動産を調べきれていないことが発覚し、見知らぬ土地が出てきたら一大事だ。場合によっては相続人を再び集めて、遺産分割協議をやり直さなければならない。
事前に登記を変更しておこう
ただしこの制度で検索できるのは、登記名義人の住所と氏名に紐づいている不動産だけ。今年4月からは不動産の変更登記が義務化されるので、便利な制度を活用するためにも、なるべく事前に登記を変更しておきたい。相続に備えて財産目録を作る段階で活用すれば、所有している不動産を一気にリスト化できる。
加えて、登記を変更していない不動産、たとえば親から相続したまま放置している山林や耕作放棄地などは、この制度でいくら検索しても出てこない。そういった不動産に限って、評価額が低く固定資産税の課税対象ではないため納税通知書に記載されず、相続の際に見逃してしまうケースも多い。
その場合はこれまで通りのやり方で、市区町村ごとに名寄帳などを請求して、一件ずつ登記を確認していくほかないだろう。
泣いても笑っても、自分の相続は人生で一度きり。制度変更を見落としたために大失敗しないよう、最新の知識を身につけておきたい。
「週刊現代」2026年3月16日号より
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