JRT四国放送

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みなさんは「しょいのみ」をご存じでしょうか。

にし阿波の伝統食品「しょいのみ」を絶やさないよう、昔ながらの製法を守る親子の思いを取材しました。

「しょいのみ」は、米麹や大豆麹を醬油ベースの調味液に漬けた発酵食品です。

にし阿波の家庭で、記録に残らないほど古くから食べられてきました。

伝統の味を残そうと、地域の婦人会が作り続けていましたが、高齢化に伴い、それも途絶えつつありました。

そんなときに立ち上がったのが、東みよし町で生まれ育った藤原敏恵さんでした。

にし阿波伝統の食文化を守りたいと「本家阿波おんな」の屋号で、2000年からしょいのみを作り、商品として販売を始めました。

(麹屋 本家阿波おんな・藤原敏恵さん)
「発酵とはなんだと本当に難しかった。今だとネットとかで情報を入れられるけど、私がスタートした時はほとんどなかったんです、文献も」
「それで、手探りだったので、失敗もかなりしました。米の一俵分がパーになって」

6年ほど前、東京で働いてた娘の有希さんが体調を崩して徳島へ戻り、母の仕事を手伝うことに。

それからは、有希さんがメインでしょいのみを作っています。

しょいのみは各家庭や地域によって、原料や作り方に違いがあります。

2人が作るしょいのみは、米と小麦、大豆、そら豆を使います。

主に県産のものを使用していて、そら豆は自分たちで栽培もしています。

この4種類の原材料を3時間ほどかけてチェックし、焙煎して香ばしさを出します。

それをせいろで蒸し、麹菌を付けて発酵器の中で培養します。

(麹屋 本家阿波おんな・藤原有希さん)
「麹じゃなくなってしまうんです、すごく温度が高くなってしまうと」
「今からは、温度が40度をなるべく超えないように、間で48時間くらいなんですけど」
「熱が上がったら混ぜて、温度を冷ましてっていうのを繰り返します」

温度管理は、天気や気温によって細かい調整が必要となります。

そのため、昼間は敏恵さん、夜間は有希さんが、つきっきりで様子を見ます。

24時間ほどして発酵機から取り出すと、豆や米の表面は真っ白な麹に覆われ、粒同士がくっついて塊の状態になっています。

これを、こまめにほぐしながら、さらに24時間発酵させます。

こうして出来上がるのが、しょいのみの素。

これを濃口醬油やだし醬油、酒、みりんからなる調味液に漬けこんだものが、しょいのみになります。

もろみと似た見た目ですが、砂糖を加えないため、辛めの味で、ご飯のお供にもピッタリです。

有希さんも時折手伝いにいく地元の喫茶店「みかも喫茶」では、しょいのみをソフトクリームと合わせた、しょいのみソフトも人気メニューのひとつです。

(記者)
「しょいのみは普段食べてる?」

(地元の人は)
「食べます。よく食べています」

(記者)
「どんな風に食べる?」

(地元の人は)
「ご飯に乗せて食べたり、夏場だったらキュウリに乗せてもろきゅうにして食べることが多いです」
「しょいのみって、家庭によっては味が濃かったり、しょっぱかったりするところもあるんですけど、藤原さんのところはすごくマイルドでとてもおいしいです」

地元で愛されてきたしょいのみ。

しかし、商売として成り立たせるには難しい一面もありました。

それでも有希さんが母・敏恵さんからしょいのみ作りを受け継いだのには、ある思いがありました。

(麹屋 本家阿波おんな・藤原有希さん)
「母親がしてたっていうのと、この食文化が当たり前だと思っていたんですけど、徳島の中でもごく一部の食文化であるっていうので、残したいとも思いました」
「母が作っていた時に付いてくれたお客様が、商品を買いに来てくださるっていうので、お客様の顔を直接見ておいしかったよ。ありがとうございますって、やり取りが嬉しくて、これからも続けていきたいなと」

近年では、しょいのみを知らない地元の子どもたちも増えてきました。

そんな子どもたちに、しょいのみを少しでも知ってもらおうと、職場体験の受け入れや、地元の中学校でしょいのみについての授業なども行っています。

また、幅広い世代の人に食べてもらうために、サブレや甘酒なども作り、しょいのみと合わせて東京で紹介もしています。

(麹屋 本家阿波おんな・藤原有希さん)
「とにかく続けていって、この食文化を残したいっていうのはもちろんなんですけど」
「今、徳島の西部だけでしか知られていない食べ物なので、県内全域にまず知ってもらって」
「年に数回かなんですけど、東京とかに持って行って、こんな食べ物がありますよっていう紹介もさせてもらってるので」
「認知度を広げながらも、後々続けていけるようにっていうのが目標です」

しょいのみは店舗のほか、オンラインショップから購入することができます。