「7月1日」。今日は何の日でしょう?答えは「ウォークマンの日」!

「音楽を持ち歩く」新しい文化をつくったウォークマン

7月1日は「ウォークマンの日」です。「ウォークマン」と言えばポータブルヘッドホンステレオだと、ほぼ誰でもがイメージできるほどの有名な商品です。その「ウォークマン」の第1号機「TPS−L2」が、1979(昭和54)年7月1日にソニーから発売されました。

ウォークマンの出現で「音楽を持ち歩く」時代が到来!(illustAC)

開発のきっかけは、ソニー創業者の井深大(まさる)。「”海外出張の飛行機内でステレオ音楽を聴きたい”と思い、モノラルテープレコーダーをステレオに改造したものを作ってもらった」(ソニーのHPより)そうです。この改造したテープレコーダーをおもしろいと思った、もうひとりの創業者の盛田が、商品化を指示。 「『小型のテープレコーダーに、再生だけでいいからステレオ回路を入れてくれないかな』という井深(当時名誉会長)の言葉に従い作り上げた」(同HPより)といいます。

流行に敏感で、音楽に夢中になる20歳代半ばを中心とする若者世代をターゲットとして発売された初代「ウォークマン」は、当時既に存在していたテープレコーダーからスピーカーや録音機能を省き、再生専用のプレーヤーとして軽量コンパクト化を実現したデザインで、カップルでいっしょに楽しめるようにとヘッドホン端子が2つ付いているのがポイントでした。

好きな音楽や流行の音楽を録音したカセットテープ(photoAC)

スマホ1つで音楽でも動画でも気軽に視聴できる今の時代からすると、いつでもどこでも音楽を楽しめるなんて当たり前の話です。しかし、1979年当時は、レコードやラジオからカセットテープに音楽を録音し、自宅のカセットデッキで再生して聞くのが主流。ラジカセを持って外で聴くことはできましたが、カーラジオ以外で、移動中に音楽を聴くというのはまったく新しい発想でした。

発売前から、周囲の大半は否定的。それは、再生専用機のため、録音機能が付いていないのに売れるのか、というもの。意外性にあふれた新商品だったためか、当初、マスコミや世間の反応も、冷ややかだったといいます。

地道な宣伝活動から爆発的な大ヒット商品へ

ただ、人気に火が付くまでに、それほど時間はかかりませんでした。発売直後は販売台数が伸びなかった「ウォークマン」を世の中に広めたのは、「そんなことまでやっていたのか!」と思うほどの社員たちの地道な宣伝活動。まずは「ウォークマン」を人の目に触れさせ、知ってもらわなければ始まりません。

そこで、社員たちは、東京都心を回って走っている山手線に、自ら「ウォークマン」を身につけ乗り込み1日中グルグル回ったり、休日には新宿や銀座などの歩行者天国などに出かけ、通りすがりの人に直接「ちょっと聴いてみませんか?」と試聴をしてもらったり。

そんな努力が功を奏して評判は口コミで広がり、アイドル歌手らが使っていることなども話題になって、驚くべき勢いで若者の間に浸透していきます。発売翌月の8月には、初回生産分は売り切れ、品切れのお店が続出。その人気は海外にも波及し、音楽を楽しむ新しいスタイルとして受け止められ、世界的な大ヒット商品となりました。

いつでもどこでも音楽が聴ける。若者を中心に世界でも大ヒットに!(photoAC)

猿がすっくと立ち、「ウォークマン」を手にヘッドホンをつけ、目をつぶり音楽に聴き入る―――。1987(昭和62)年に流れていたそんなテレビCMを覚えている方もいるでしょう。オーディオ分野に新しい風を吹き込み、一時代をつくった「ウォークマン」は第1号機発売から10年で累計5000万台を突破。1995年度には、累計1億5000万台にのる歴史的大ヒットとなりました。

1990年代にはCDなどのデジタルオーディオが主流になり、21世紀になってからも販売されていましたが、カセットテープ型は2010(平成22)年に最後の出荷を終え、31年間に及んだ歴史に幕をおろします。カセットテープ型の累計販売台数は最終的に約2億2000万台に上りました。

ただ、「ウォークマン」 の名称は、現在も続いています。記録媒体の発展とともにCDウォークマン、DATウォークマン、MDウォークマン、メモリースティックウォークマンなどに進化。ストリーミングサービスにも対応する高音質の最新型が話題になるなど、携帯音楽プレーヤーとして「ウォークマン」のブランドは健在です。

近年、レコードやカセットテープというアナログ媒体が注目を浴び、若者の間でも人気が再燃しています。山下達郎さんらカセットテープで楽曲を再発するミュージシャンもいます。もし「ウォークマン」が手元に残っていたら、ぜひ聴いてほしいです。録音状態にもよりますが、改めてその音質の良さに驚くことでしょう。