武者陵司「2025年、日本株は米株独り勝ちの代替たり得るか」<後編>
国際政治を概観すると、日本の優位性が一段と際立っている。中国やロシア、北朝鮮、イランなど専制国家に対する厳しいスタンス、DEI(多様性、公平性、包括性)やPC(ポリティカル・コレクトネス)など、経済合理性を否定する心情の影響の小ささ、安倍・岸田政権から踏襲されている、より透明で自由な金融を推進する「新しい資本主義」路線など、日本の政策のフレームワークはグローバル投資家にとって極めて納得性のあるものである。
●2025年は日本産業ルネッサンス元年に
2025年はTSMCの熊本工場の稼働が始まり、日本の産業拠点としての根源的強さが再評価される元年となるだろう。日本の産業基盤の素晴らしさに驚愕したTSMC創業者のモリス・チャン氏に見られるように、日本の生産拠点としての圧倒的強さを思い知らせる事柄が、これから続出するだろう。
ハーバード大学が作成している「世界の経済複雑性ランキング」(ECI)をみると、1995年から日本が一貫して世界のナンバーワンであることに、注目するべきである。このランキングは、世界各国の輸出データに基づき、①輸出品の複雑性と多様性、及び②偏在性(独占度)を評価し、順位付けしたもの。複雑性が高いほど高付加価値産業を有し、産業の多様化が進み、世界市場での独占度が高いことを示している(カリフォルニア大学サンディエゴ校ウリケ・シェーデ教授著「シン・日本の経営 悲観バイアスを排す」日経BPで紹介されている)。
スマートフォンを例にとると、スマートフォン完成品の組み立て以上に、材料や部品、製造機械の技術的ブラックボックス部分が大きい方がランクが高くなる。日本はスマホの生産シェアは低いが、スマホの最終完成品に至る必要技術を世界で一番多く備えていると言える。「あらゆる必要なものは全部日本で揃う」ということである。
また、国際的ビジネスマンにとっては今さらではあるが、(突出した異能はいないが)日本の労働力の均質性、レベルの高さ、労働に対する誠実性が抜きん出ていることは、OECDによる成人力調査によって明らかにされた(OECD国際成人力調査、分野別ランキング)。ビジネス拠点としての日本の優位性は、同時に半導体工場の建設が進む米国やドイツなどとの比較において際立っていくだろう。日本が先端産業の世界的製造拠点として復活することは明らかである。日本の産業ルネッサンスはすぐそこに来ている。
(2024年12月20日記 武者リサーチ「ストラテジーブレティン370号」を転載)
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