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ドイツのライバルチームとの苛烈な競争

スイスの学生チームが、世界最速の電気自動車(EV)を作り上げた。停止状態からフル加速で100km/hに到達するまでのタイムを測る0-100km/h加速で、1秒未満を達成したのだ。

【画像】欧州の学生チームによる0-100km/h加速の記録競争【スイスのAMZとドイツのグリーンチームのマシンを写真で比較する】 全9枚

チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)とルツェルン応用科学芸術大学(Lucerne University of Applied Sciences and Arts)の学生からなるチーム「AMZ」は、マイセン(Mythen)と名付けられた手作りのEVを使い、0.956秒というタイムを記録した。


スイスのAMZチームが製作したEV「マイセン」    AMZ

チームメンバーのケイト・マゲッティさんが運転し、発進からわずか12.3mでこれまでの記録を3分の1近く更新した。100km/h加速における従来の最速記録は、ドイツのシュトゥットガルト大学の学生20名からなるグリーンチーム(Greenteam)が昨年達成したもので、1.461秒だった。

マイセンの部品はすべて手作業で作られ、全体の重量はわずか140kg。最高出力約325psを発生する特製のパワートレインを搭載する。

AMZのエアロダイナミクス責任者であるダリオ・メッサーリさんは、「加速記録を達成するために重要なのはパワーだけではありません。そのパワーを効果的に地面に伝えることも鍵となります」と語っている。

「従来のF1マシンは、リアウイングやフロントウイングでマシンを地面に押し付けるというエアロダイナミクスによってこの問題を解決していました。しかし、この効果が発揮されるのは、マシンが一定の速度に達したときだけです。スタート直後から強力なトラクションを確保するため、AMZチームは、吸引力によって車両を地面に押さえつける掃除機のようなものを開発しました」

0.956秒という驚異的なタイムは、現在市販されているどのクルマよりもはるかに速く、ピニンファリーナ・バティスタ、テスラ・モデルSプラッド、アリエル・ハイパーカーといったEVを1〜1.5秒上回る。また、W16エンジンを搭載したブガッティ・シロンのよりも1.5秒速い。

AMZが世界最速のEV記録を塗り替えたのは今回が初めてではない。2014年と2016年にも新記録を樹立したが、昨年ドイツのグリーンチーム(1.461秒)によって破られた。

グリーンチームは2022年、レニンゲンにあるボッシュ社の敷地内コースで自作マシン「E0711-11 EVO」による記録更新に挑んだ。E0711-11 EVOの重量はわずか145kgで、2基の電気モーター、四輪駆動システム、特製のバッテリーパックを搭載し、250psの出力を得た。シュトゥットガルト大学によると、出力重量比は1トンあたり約1750ps、ピーク加速度は2Gで、これは宇宙飛行士が地球の大気圏に再突入するときに感じるのと同じ程度の力だという。

グリーンチームの記録は、シュトゥットガルト大学でさまざまな科目を学ぶ20人の学生が1年がかりで達成したものだった。

今回、これを「大差」で打ち破ったスイスのAMZ(0.956秒)との加速競争は、今後ますます激化していくかもしれない。