日本代表の周囲がざわついている。
 3月24日のオーストラリア戦、29日のベトナム戦に臨むチームを、森保一監督は27人で編成した。通常よりも4人多い。オーストラリア戦はアウェイで、W杯出場のかかる大一番だ。コロナ禍での不測の事態も想定すると、招集人数を増やすのはきわめてノーマルな判断と言っていい。

 ここで、一部のメディアが反応した。所属クラブで好調な堂安律鎌田大地が選ばれていないことを、“不可解選考”とか“サプライズ”と書き立てている。

 個人的には妥当な選考だと考える。
 24日のオーストラリア戦は、およそ1か月半ぶりの活動だ。しかも、昨年9月、10月に苦杯をなめた連戦のアタマ(初戦)である。前回の活動から時間が経っており、かつ、得意とは言えない初戦をアウェイで戦う。

 さらに付け加えると、W杯最終予選のアウェイゲームで、日本はオーストラリアに勝ったことがない。3戦して2分1敗である。それぞれに試合の意味合いは異なり、メンバーも違うものの、歴代の日本代表が漏れなく苦しんできた。それだけ難しいアウェイゲームなのは間違いない。そもそもオーストラリアは、ホームゲームに強い。今回も3勝1分と、確実に勝点を稼いでいる。

 日本はと言えば、昨年10月のオーストラリア戦から5連勝を飾ってきた。4−3−3のシステムも機能している。久しぶりの活動が難敵とのアウェイゲームで、全員が揃っての練習は最大で2回ということを踏まえても、これまで培ってきた連携を生かすべきだ。スタメンを変える必要はない。

 堂安は3トップの右ウイングでの起用が想定されるが、このポジションには伊東純也がいる。ヘンクでプレーするスピードスターの突破力は、日本代表の最大のストロングポイントだ。

 ならば交代のカートで、という意見はあるだろう。誰を選んで誰を使うのかは、チームを統べる森保監督の専任事項だ。今回のメンバーでは久保建英、浅野拓磨、前田大然らが右ウイングでプレーできる。堂安を招集しなくても問題ない、と判断したのだろう。

 鎌田はポジションが見つけにくい。4−2−3−1ならトップ下にハマるのだが、4−3−3のインサイドハーフは彼よりも適任者がいる。守田英正や田中碧だ。今回は旗手玲央が招集された。インサイドハーフからサイドバック、ウイングでもプレーできる彼は、4−3−3にも4−2−3−1にも無理なく当てはめられる。昨年11月以来の招集となり、ジョーカー的な起用が想定される三笘薫とは、川崎フロンターレと五輪代表でともにプレーしてきた。旗手の起用を後押しする材料が多いなかで、鎌田をピッチに送り出す裏づけは少ない。あくまでも現時点では、だが。

 W杯最終予選は残り2試合となり、オーストラリアに勝てば勝点差は「3」から「6」に開き、残り1試合での逆転は不可能となる。日本の本大会出場が決まる。

 引分けなら勝点1差のまま最終戦へもつれ、ベトナムに勝てば自力で2位以内を確保できる。ベトナムのホームでは1対0の辛勝だったが、日本の4−3−3は当時より磨かれている。個々の選手が胸に宿す自信にも、芯が通っている。ここまで全試合で失点しているベトナムを、ホームで退けるのは難しくないだろう。

 オーストラリアに負けると、得失点差で3位に転落する。日本がベトナムと対戦している裏側で、オーストラリアはサウジアラビアのホームに乗り込む。オーストラリアがサウジアラビアを下すと、日本はベトナムに勝つだけでなく大量得点が必要になる。

 理想はオーストラリアに勝つことだが、現実的には引き分けでOKだ。そう考えると、招集メンバーはもちろんスタメンやシステムについても、大きな変更は必要ない。

 これまでとは違う要素が入り込んでくるとしたら、森保監督のベンチワークだろう。たとえば、0対0や1対1で推移しているなかで、どのタイミングで選手交代をするのか。システムを変えるのか。

 前半から追いかける展開になったら、どこで攻勢を仕掛けるのか。追いつけないまま終盤に突入したら、パワープレーは使うのか。リードをしている展開で終盤を迎えたら、システムを変えて守り切るのか──。

 様々な状況に応じて、臨機応変かつ素早く手を打つ。1点を争うゲームになるのは間違いなく、森保監督の采配が結果に及ぼす影響は大きい。