なぜスバルファンを「スバリスト」と呼ぶ? トヨタや日産もファンは多いのに愛称を聞かない訳

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スバルの熱狂的なファン「スバリスト」とは?

 トヨタや日産、ホンダなど各自動車メーカーがあるなかで、スバルでは熱狂的なファン(支持者)を「スバリスト」と呼ぶことがあります。
 
 トヨタや日産などを支持する人もたくさんいますが、「トヨティスト」や「ニッサニスト」とまでは呼ばれることはありません。なぜ、スバルだけ「スバリスト」という愛称よく耳にするのでしょうか。

「六連星(むつらぼし)」を採用したスバルのエンブレム

 スバルは、織機メーカーをルーツにもつトヨタや自動車メーカーとして設立された日産とは違い、大手航空機メーカーであった中島飛行機がルーツとされており、元々は多くの軍用機を生み出してきた航空機、エンジンメーカーでした。

【画像】スバルといえば「WRブルー」っしょ! 青が映えるスバル車をささっと見る!(18枚)

 スバルが自社生産するモデルに搭載されている「水平対向エンジン」は、飛行機づくりで培われた技術を活かし、安全性にこだわって開発されました。

 このエンジンは、クランクシャフトを中心に水平で左右対称にピストンを配置。エンジン高を低く抑えて低重心を実現できることや軽量でコンパクトな設計にできることなど、バランスがよく振動の少ないエンジンフィールや忠実なレスポンスにより気持ちの良いスポーティなドライビングを楽しめるという特徴があります。

 なお、左右のピストンの動きがボクサーの打ち合いを連想させることから、「ボクサーエンジン」とも呼ばれています。

 また、水平対向エンジンに加え、左右対称の構造をしたシンメトリカルAWDを組み合わせた独自の四駆技術を採用することで、低重心で前後左右のバランスに優れたパワートレインを実現。四輪に適切に荷重がかかるため、どんな道でも安定感のある走行を可能にしています。

 スバルはモータースポーツでもその名の地位を高めてます。

 世界ラリー選手権(WRC)では、各国のクルマが集結し戦いが繰り広げられ、1993年にはトヨタが日本車としては初のWRCを制覇するなか、スバルは1995年にドライバーズ、メイクスのダブルタイトルを獲得。

 また、ドイツのニュルブルクで開催されている24時間耐久レースでは、2011年にSP3Tクラスでクラス優勝(総合21位)、2012年にも同クラスを連覇(総合28位)し、他メーカーには引けを取らない輝かしい歴史が残されています。

 そうしたなかでコアなスバルファンとしてスバリストという言葉が生まれ、次第に認知されるようになったようです。

 スバリストという呼び方について、スバル販売店のスタッフは以下のように話します。

「自らスバリストとおっしゃるお客さまも多く、そういった人は総じてスバルに対しての造詣が深く、メカニズムに関してもディーラースタッフに引けを取らない場合もあります。

 とくにスバルの特長である水平対向エンジンやシンメトリカルAWDによるバランスの取れた操舵性など、ほかのメーカーでは味わえないといってくださる人も多いです。

 スバルの歴史やモータースポーツの栄光などに関していえば、私どももファンから教わることすらあります。

 ありがたいことに、スバリストと呼ばれる方たちはスバルに対しての強い愛着や情熱、こだわりを持っている人が多いようです」

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 最近のスバルは、新中期経営ビジョンとして「STEP」を掲げており、スピード感(Speed)を持って変革していき、お客さまから信頼(Trust)され、共感(Engagement)を得られる企業になることや、安心と愉しさという価値を提供し続けることを2025年の中期目標と説明しています。

 ビジョンのなかで、ユーザーからの信頼や共感、愉しさを掲げていることもあり、スバルでは公式のファンミーティングを定期的に開催しています。

 2016年には、スバルとスバルのファンが体験を共有し、交流を深める目的で滋賀県のキャンプ場で「スバルFAN MEETING」がおこなわれ、天体望遠鏡を作ろうといった子どもが楽しめる内容から、スバル車の性能体験ができる大人が楽しむなど、幅広い層が楽しめるイベントとなっています。

 ほかにも、雪上でのスバル車の性能を体感するべく、スキー場の来場客を乗せてゲレンデの急な坂を上り下りする「ゲレンデタクシー」を開催しています。

 また、2019年の「WRXファンミーティング」では「WRX」やそのほかのスバル車合わせて約1100台、約2000人ものスバリストが参加する大規模なイベントなどもおこなわれました。

スバル好きとトヨタ・日産車好きには違いがある!?

 スバルのスバリストという呼び方が定着している一方で、トヨタファンを「トヨティスト」、日産ファンを「ニッサニスト」などと呼ぶことはあるのでしょうか。

 実際にネット上で検索をかけても、スバリストは約38万9000件ヒットするのに比べ、「トヨティスト」や「ニッサニスト」はほとんどヒットしません。

隣同士に駐車したくなっちゃう「スバルの法則」

 トヨタ党や日産党などと呼ばれることがあるようですが、トヨタや日産を支持する熱狂的なファンがいないかというと、そんなことはありません。

 トヨタ車販売店のスタッフは以下のように話します。

「かつての『AE86』は自由度が高く自分好みのカスタムができることから人気が出たり、モータースポーツシーンを席巻した『スープラ』に根強いファンがいたりと、車種ごとに強いファンがついている印象です」

 日産の販売店スタッフは、「『GT-R』や『フェアレディZ』など、同じ車種を長く乗り継いでいただくお客さまもいることから、熱狂的なファンは確かにいます。日産としても製造廃止となった純正補修部品の復刻生産をするなどしてファンをサポートする取り組みもおこなっております」と話します。

 こうしたことから、トヨタや日産は、スバルのようなメーカー自体のファンというよりは、車種に特化した支持者が多いといえるかもしれません。

 スバル広報部はスバリストについて次のようにいいます。

「代々スバル車を乗り継いてくださる人や、自身のクルマ以外にもスバル車全般に知見がある人など、熱心なスバルファンをスバリストと呼んでいるようです。

 自動車メディアのなかにもスバル専門誌やスバル専門のYouTubeチャンネルなどが存在していますが、ほかのメーカーでそういう例はあまり聞きません。

 スバルはそれほど大きな規模のメーカーではありませんが、スーパーGTのファンシートはとても盛り上がりますし、以前開催した『WRXファンミーティング』では1000台以上のWRXが集まるなど、多くのスバリストやスバルファンに支えられていると感じています」

 また、トヨタや日産ではなくスバルのファンになった理由について、スバリストである男性は以下のように説明します。

「トヨタや日産も熱狂的に支持する可能性も十分にあったと思いますが、スバルが公式で主催している大規模なオフ会や、子会社のSTI(スバルテクニカインターナショナル)がモータースポーツデイを企画するなど、ファンになる要素として『共感・コミュニティ』の部分に力を入れていると感じます。

 トヨタや日産のオフ会では、『86』や『GT-R』など特定の車種を対象としたものはいくつかありますが、メーカーが主催しているのはスバルと比べて少なく感じます。

 また、クルマづくりという点では、水平対向エンジンを極めることでスバルのブランド力が増し、他メーカーと比べて熱狂的になりやすいのかもしれません」

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 スバルは、元々の生産台数がトヨタや日産に比べて多くないものの、駐車場にスバル車が停まっているとその隣に駐車する「スバルの法則」というものがあるといわれており、オーナー同士の連帯感が生まれやすいようです。

 そんな熱狂的なスバリストは、スバルのこれまでの歴史や、バックボーン、会社のビジョンから共感や愉しさを生むための交流会が数多く開催されることが、スバリストと名がつくほどの支持者を増やしたといえるのではないでしょうか。