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 俳優の仲野太賀(33)が主演を務めるNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜後8・00)は21日に第24話「軍師官兵衛!」が放送される。早すぎる、美しすぎる、そして切なすぎる半兵衛のラストが描かれた前週。放送終了から1週間、まだ“ロス”の声がやまない希代の軍師・菅田半兵衛の思いが詰まった一枚を石井さんが描いた。

 前回の第23話は「さらば半兵衛」。荒木村重(トータス松本)が謀反を起こした。独断で村重の説得に向かった官兵衛(倉悠貴)は、捕らわれの身となってしまう。官兵衛が裏切ったという噂が流れる中、信長(小栗旬)から、長浜で寧々(浜辺美波)が預かっている官兵衛の子を始末しろという命令が。半兵衛(菅田将暉)は、ためらう秀吉(池松壮亮)と小一郎(仲野太賀)に、幼い命を救う策を提案。だが、差配を任され長浜へ向かう半兵衛の胸には別の思惑があった…という展開だった。

 「死にとうないのう…。まだ…死にとうない。おまえらのせいじゃぞ…」

 初登場から、戦オタクの変人で、どこか幸が薄そうで山にこもり人を信じず交わらない孤高の天才のイメージだった半兵衛。しかし、小一郎と秀吉のを“熱”に触れるたびに人間くささを身にまとい、美少年から好青年に成長していった人生を凝縮した言葉だった。

 先週の半兵衛回。最初は官兵衛の長男・松寿丸(森優理斗)を殺す決意を秘めた“昔”の半兵衛が登場。しかし、小一郎と慶の子の誕生、豊臣家の人情に触れ、目から温かな涙を流した。自らに残された時間があとわずかだと感じながらも、信長に松寿丸ではなく、病死した子の首を代わりに差し出した際の表情の美しさは格別だった。そして、全てを理解しねぎらう信長の優しい目。圧倒的な表現美に、見る側の涙も誘った。

 そして圧巻だったのは、いよいよ命が尽きる日が差し迫ってきたことを告げる半兵衛のやつれた姿。菅田の役者魂による気迫の大減量は、半兵衛を囲む仲間たち一人一人の胸を熱くしたに違いない。トレードマークの扇子を手に仲間たちと楽しそうに戦い続け、美しい桜とともに散った半兵衛の短くも濃い人生。仲間たちに見守られ命尽きたその表情は、どこか温かさを感じさせた。

 「勝手に逝くでない!」(秀吉)、「起きんか、半兵衛!起きよ、起きよ!」(正勝)、「半兵衛、この戦は、わしらの勝ちにござる!見事な策でござった…」(小一郎)。戦友たちの涙が、散りゆく桜の花びらとともに半兵衛にこぼれ落ちた。

 第23話だけでも魅力的な多くの表情を見せた菅田半兵衛。石井さんと編集オジサン2人による会議では「どこの表情も外せない」「仲間たちも描きこみたい」と悩み抜いた3人。出した結論は…。さらば、半兵衛――。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画を手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2023 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2023 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。スポニチアネックスでの大河絵連載は「鎌倉殿の13人」(2022年)から始まり5年目。