雰囲気はのんびりだけど犯人特定は秒! 当て逃げ被害を届けにイタリアの警察にいったらお国柄全開だった【みどり独乙通信】

この記事をまとめると
■イタリア・イモラへの道中での当て逃げ被害の処理のためにイモラ警察署に行った
■日本やドイツとは異なるイタリアでの手続きを実体験した
■犯人特定の早さや警察署の雰囲気などの現地ならではの驚きが満載だった
次の街に行く前にイモラ警察署へ
1年ぶりにイタリアのイモラへWEC(世界耐久選手権)の取材へ訪れました。レース取材の週末は、どこの国に行っても人気の観光地にはまったく行かず(行けず)、ひたすらサーキットと宿とスーパーマーケットを往復して帰宅しますが、今回はオーストリアのレッドブルリンクへそのまま行くこととなり、その間の数日を宿代がお安目のホテルで過ごすことにしました。
しかし、イモラを発つ前にしなければならないことが残っていました……。宿をチェックアウトしてから、真っ先に向かったのはイモラ警察署。

その数日前、イモラへ向かっていた日に高速道路で事故渋滞に遭い、3時間以上停車したまままったく動かず。中央分離帯を重機で開けて、やっと反対車線からUターンをして迂回路が解放されたのですが、高速道路出口付近でまた大渋滞……。
出口渋滞の列に並んでいる際に、前にいたイタリアナンバーのクルマが突然バックで私のクルマにぶつかってきました。バックしてきた際に何度もクラクションを鳴らしましたが、時すでに遅し。すぐに前のクルマの横に並んで抗議をしましたが、逆切れされて逃走。
渋滞が幸いして逃走犯のナンバーと顔写真を撮って証拠を押さえました。ヨーロッパではドライブレコーダーの普及率は非常に低いのですが、日本人の私はしっかり着けていますので、当たった瞬間もバッチリ証拠が残っていました。

当て逃げされた際に警察へ電話をすべきだったのですが、イタリア語を話せないこともあり、高速道路を出たところで交通整理をされていた警察の方に証拠写真を見せて経緯を話すと「イモラ滞在中に警察署へ行けば大丈夫ですよ」とのことでひと安心しました。
イタリアではそのような各種手続きには、営業時間内のみに受付されているとのことでした。
さて、初めて入るイモラ警察署。事故に遭った愛車で向かうと、車両は不要なのでどこかへ停めてきてください、と。ドイツだと車両なしでは被害届を受け付けてもらえないので、これまた驚きというか、大丈夫かな? とも思ってしまいました。
警察署には一般の駐車場はなく、駐車場を探して徒歩で戻ってきました。「当てられた部分の写真撮影をしておいてください、他にも自動車保険の書類が必要です」と聞き大慌て。パスポートや滞在許可書、車検証の他に、日本の免許書は? と聞かれて、さすがにそれは持っていませんでした。外国で事故に遭うなんて想像もしていなかっただけに、なかなかのパニックです。
語学の問題もあり、スマートフォンのグーグル翻訳には本当に私も助けられました。警察官が簡単な英語で何回も説明してくださったのも助かりました。
犯人手配は素早いが事故証明書の発行は……
具体的な状況説明や調書作成のために警察署内の待合室でしばらく待つ必要があったのですが、さまざまな詐欺の注意勧告を促すビデオがモニターに流れていて、ビデオに出演されている方々の大根役者ぶりがとても面白くて思わず見入ってしまいました。
恐らく国民のみなさんに興味をもって貰えるような、大袈裟でベタな演技でわかりやすく作られているのだと思います。無音の映像でしたが、外国人の私にも十分理解ができて待ち時間を楽しく過ごせました。とくにセクシーな装いの美しく若い美女が登場し、偶然の出会いを装ってご老人を狙う美人局バージョンは一番素晴らしかったです(笑)。
名前を呼んでもらってから警察官がいる部屋へと向かったのですが、持参した逃走犯のナンバーを移した証拠写真からすぐに逃走犯が特定され、顔写真を見せられました。「この男で間違いないですか?」と見せられた男の顔は、凶悪なマフィアのような顔写真に見えました(笑)。

イタリア警察署員の方がもっているスマホで私のナンバーを入力すると、住所などがすぐに出てきてビックリ。これなら作業が早いですよね。イタリアとドイツの警察には協定があり、警察官やその権限をおもちの方はすぐに調べることができて、捜査をする際には便利なんだそうです。
私を担当してくれた恰幅のよい50代後半かと思われる警察官の部屋には、懐かしのラジカセが置いてあり、陽気なイタリアの歌謡曲? が流れていて、その歌声を聴きながらの調書や被害届の作成でした。残念ながら撮影は不可でしたが、警察官のそれぞれの私物がデコレーションされていて個性的でした。
日本だったら絶対にありえないシチュエーションですので、楽しみながら被害届を出しました(笑)。
ついでに警察官に、なぜイタリア人はイタリア国内では制限速度を大幅に上まわってぶっ飛ばすのに、ドイツのアウトバーンでは遅いのですか? とうかがってみました。速度制限が解除されている区間で好きなだけぶっ飛ばせばよいものの……。警察官いわく、「自分の知らないテリトリーだと気弱なんだよね、イタリア人は」と(笑)。
当て逃げ犯には厳罰を下していただくようお願いして警察署を後にしました。

私が事故に遭ったのは高速道路上で、被害届を出したのは宿泊先のあるイモラ市内の警察署ということですぐには事故の証明書をもらえず、後日に管轄のボローニャの高速道路警察へ連絡してください、と。イタリアのことですから、一体いつ書類をもらえるのやら……。ちなみにイタリアの警察からは、1年以上経ってから違反切符のお手紙が届く場合もあるんですよ。
もうすっかりお昼前の時間になっていましたが、朝食を食べていなかったこともあり、警察署近くのパン屋で朝食をいただくことにしました。生クリーム入りのクロワッサンと大きなカプチーノで4.50ユーロでした。私の住むミュンヘンなら大きなカプチーノ1杯でその金額を上まわるので思わずレジでの表示を何度も見返してしまいました。ミラノやローマなども大都市ならもっと高額なのかも知れませんね。

イモラ警察のご尽力とご親切に感謝し、イモラでの最後のお仕事(?)も終わったことですし、オーストリアへ向かうまでの数日を過ごす街へとクルマを走らせました。








