運動不足は「スクワット1回」で解決する!?…行動経済学を応用した「習慣化」のコツ
「すぐにやらなきゃいけないのに、様子見をしてしまう」「いつまでも後回しにしてしまう」「わかっているのに、また同じ失敗を繰り返す」。こうした「自分の行動をコントロールできない」という悩みは、多くの人が抱えている課題です。
どれも、意志の力に頼るのではなく、「脳のクセ」や「環境の力」をうまく利用するアプローチで解決できます。日々の生活に取り入れることで、行動をマネジメントできるようになります。
本記事は竹林正樹著『すぐやる人の脳のクセ!科学的に自分を動かす62のコツ』(飛鳥新社)より再編集したものです。
「スクワット1回」と書いた紙を貼る
日本人の死亡リスク要因の上位には、常に「運動不足」がランクインしています。リモートワークが増え、身体活動量が低下したうえ、休日も動かないとなるとますます運動不足に拍車がかかります。多くの研究から、身体活動や運動はナッジによる行動促進がむずかしいことが明らかになっています。しかし、こうした認知バイアスにも邪魔されずに、行動につなげるナッジがあります。
それは、「スクワット1回」と書いた紙を貼ることです(スモールステップナッジ)。我が家では、冷蔵庫の前に「スクワット1回」と書かれた紙を貼っています。
今、スクワットを「1回だけ」してください。おそらく、1回でやめるのがもったいなくなり、自然と5回、10回と続けたくなったはずです。それは、現状維持バイアスにより、「せっかくはじめたのだからこの状態を維持したい」という気持ちが湧くからです。それにより、私は毎日50回以上スクワットできるようになりました。もし仮に、「スクワット50回」と書いていたら、「どうせ無理」と諦めてしまい、スクワットを1回すらする気が起きなかったことでしょう。
運動の習慣化がむずかしい理由は、そもそも「最初の1回をやらない」からです。「疲れていても、眠くてもできる」くらい小さな行動まで目標を下げ、それを目にするというナッジを設計することで、私は運動習慣を手に入れることができました。あなたも続けたいことを書いた紙を、いつも目に入るところに貼ってみることからはじめてみてはいかがでしょうか。
友人を自宅に招く
来客があるとわかった瞬間、掃除する明確な動機ができます。普段は「また今度でいいか」と後回しにしてしまう片づけも、「人が来るから」と思うと自然と手が動きます。これは、「自分のためには動けないけれど、誰かのためなら動ける」という利他性の心理(利他性バイアス)と「他人の目が気になる」心理(モニタリングバイアス)に働きかけた仕組み作り(社会的ナッジ)です。
人は本質的に、他人からの評価や印象を気にする心理があります。「この状態を見られるのはさすがに恥ずかしい」という危機感が、掃除のモチベーションになります。その結果、我が家の掃除の頻度は友人の来訪頻度とほぼ連動するようになりました。「来客のために掃除をする」というより、「掃除のためにお客さまを呼ぶ」という状態になっているのかもしれません。
「人を家に呼ぶのは苦手」という人は、他者に家の中を見られるタイミングをあえて生活に組み込むのも効果的です。たとえば、「毎週△曜日、自宅からオンライン会議に参加する」「毎月、シルバー人材センターに水回りの掃除をお願いする」などと決めると、その予定に合わせて自然と片づけたくなります。「誰かに見られる」という習慣が、掃除の習慣へとつながります。
SNSで新年の誓いを投稿する
先延ばし傾向のある人には、具体的な行動計画を決めて宣言すること(コミットメントナッジ)が効果的です。宣言することで、「言ったからにはやろう」と自分に対して責任感が芽生え、自然と行動につながるからです。
しかし、「宣言するのが恥ずかしい」という人もたくさんいます。この感情に抗うには、同調ナッジを組み合わせるとよいです。とくに大勢の人が目標を宣言している場面では、恥ずかしさもなくなります。1年の中で目標の宣言が起きやすいのは、「お正月」です。元日のSNSでは、「今年こそは、禁煙する」「今年の目標は、筋トレでムキムキになる」といった誓いで埋め尽くされています。そのタイミングなら、宣言するハードルが低くなります。
さらに、こうした宣言をSNSのプロフィール欄に固定しておくことで、日常的に目にする機会が増え、自分へのリマインダーとなります。「みんなが見ている」という意識が働くことで、くじけそうになったときでも宣言を守ろうという気持ちが強まり、行動の継続にもつながっていくのです。周りに宣言することで、「決断」がただの思いつきではなく、本気の一歩に変わります。
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