元中日・山武司さん長男を詐欺容疑で逮捕 「成人した子」の犯罪で親が法的責任を負うことはある?
プロ野球の中日や楽天で活躍した山武司さんの長男(29)が、高級腕時計をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕された。
報道によると、長男は2024年11月、会社役員の男性に「腕時計を預けてもらえば、海外のオークションに出品して高値で売却できる」などと持ちかけ、時価685万円の時計をだまし取った疑いを持たれている。
その後、代金が支払われないことを不審に思った男性に対し、長男は名古屋市内の質店で換金したと説明していたという。
●被害の総額は7000万円に上る?
東海テレビによると、警察は被害の総額が約7000万円に上るとみて余罪を調べているという。
また、父親の山さんは「去年2月頃から行方が分からず、どのような生活をしていたかさえ把握していませんでした」などとコメントを発表したという。
今回のように、成人した子どもが起こした犯罪について、親が法的責任を負うことはあるのだろうか。
被害額が数百万円から数千万円に及ぶ詐欺事件では、実刑判決となる可能性はあるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
●一般的には親の監督義務は認められない
──成人した子どもの犯罪について、親に損害賠償などの法的責任が問われるケースはあるのでしょうか。
まったくないわけではありません。
たとえば、統合失調症を患う成人男性が心神耗弱状態で引き起こした殺傷事件について、同居する親に監督義務(注意義務)が認められ、損害賠償責任を負うと判断した裁判例(大阪地裁令和4年10月25日判決)もあります。
ただし、これは特殊なケースです。成人した子どもに精神的な障害もなく、さらに家出をして行方知れずだったような場合、親に監督義務が認められる可能性は低いと考えます。
●初犯でも「実刑」となる可能性
──今回のような事件では、実刑判決となる可能性はありますか。
被害額が高額であることから、初犯でも実刑判決となる可能性は十分あると考えます。
──親が被害者に弁償した場合、量刑に影響しますか。
被害者と示談できれば、執行猶予が付く可能性があります。また、起訴される前に示談できれば、不起訴(起訴猶予)となり前科が付かない可能性もあります。
ただし、報道によると、余罪も結構あるようです。仮に事実であれば、今回の事件だけでなく、余罪も含めてどういう風に示談交渉・被害弁償を進めていくのかが重要になるでしょう。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp
