負担が増える一方、サービスは減る「介護保険」住む場所によって介護受けられない人も? 立憲議員が「地域介護の危機」を質問 厚労大臣の答えにヤジやザワつきも

10日の参議院本会議で、社会福祉法改正案などの審議が行われ、立憲民主党の山内かなこ議員が「地域介護の危機」の問題を取り上げた。
山内議員はまず「4月、兵庫で84歳の夫が長年介護してきた妻を殺害するという痛ましい事件が起きました。介護離職、介護難民、老老介護そして介護殺人、介護をめぐる悲劇は後をたちません。介護の問題はもはや一部の家庭ではなく社会全体の問題です」と切り出した。
そして「国民が保険料を支払い、必要な時にサービスを受ける、これが介護保険制度の約束です。しかし制度創設以来65歳以上の介護保険料の全国平均は約2倍と増加した一方、要支援者向けの一部サービスの給付外しなど実質的な給付削減が行われてきました。負担は増えた、だけど受けられるサービスは減っている、これでは国民との約束が揺らいでしまうのではないか。この負担増と給付削減の現状をどのように認識していますか。これから先も保険料は増え、サービスは減るという方針は変わらないのでしょうか。明確な答弁を伺います」と質問した。
これに対し上野賢一郎厚生労働大臣は「介護保険制度は老後の安心を支える基盤であり、必要な方に必要な介護サービスを提供することが不可欠と認識しています。今後さらなる高齢者人口の増加によりサービス需要の増加が見込まれる中、今後も必要な介護サービスの提供体制を確保していくことは重要です。制度の持続可能性を維持し、全ての世代にとって安心なものとなるよう、給付・負担のあり方も含め不断の見直しを行ってまいります」とだけ答えた。山内議員が求めた「明確な答弁」でなかったためか、この答えに議場はしばらくザワついた。
上野大臣の回答に議場からヤジ

山内議員は続いて「次に地域における介護基盤の崩壊について伺います。要介護、要支援認定を受けている方は2023年度末で708万人、介護保険がスタートした2000年と比べて約3倍に増えた一方、その方々を支える介護職員は212万6000人で、前年比2万9000人減。介護を必要とする人は増える、だけど介護を支える人は減ってしまう、ここでも深刻な逆転現象が加速しています」と深刻な数字を紹介。
そして「長崎県佐世保市の宇久島では5月、島内唯一の特別養護老人ホームが閉所となり、入所者27人が島外への転居を余儀なくされました。人生の最後まで住み続けたい、それは誰もが持つ当たり前の願いではないでしょうか。しかし今、その願いすら叶わない地域が生まれています。地域介護の危機は深刻です。大臣、住む場所によって介護を受けられる人と受けられない人が生まれる、こうした地域格差について大臣はどのように認識をしていますか。憲法第14条の法の下の平等、そして憲法第25条の生存権と併せて、お考えをお伺いいたします」と質問した。
これに対し上野大臣は「今後自治体の規模や地域によって高齢化や人口減少のスピードに大きな差が見込まれる中で、地域の実情に応じて適切にサービスを組み合わせて提供できる体制を確保していくことが重要であり、この考え方はご指摘の憲法の理念とも整合するものと承知しています。このような観点から本法案では地域の実情に応じて多様なサービス基盤を整備するために必要な措置を講ずることとしており、希望する地域においてご本人の選択に基づき適切なサービスを利用できるように取り組んでまいります」と答えた。
これに議場からは「無けりゃ選択できないだろ」とヤジが飛んだ。
法案では介護サービスを維持するため、中山間・人口減少地域に限って、介護職員の人員配置基準を緩和する特例を設けることにしている。(ABEMA NEWS)
