現役J1戦士と対峙した大学最終戦から5年…セットプレー分析で“憧れ”のW杯に挑む27歳渡邉秀朗氏「そこで結果を残したい気持ちが強い」
現役最後の全国大会で現在のJ1リーガーともマッチアップしていた大学生プレーヤーが5年後、森保ジャパンのスペシャリストとなって夢のワールドカップに挑む。
日本代表のテクニカルスタッフを務める渡邉秀朗氏は札幌新川高、北海道教育大岩見沢校出身の27歳。コロナ禍に行われた2021年冬、中止となった総理大臣杯とインカレの代替大会『#atarimaeniCUP』に主力CBとして出場し、初戦で高知大を破る快挙を演じた実績を持つ。2回戦では甲南大と対戦し、現岡山のFW木村太哉ともマッチアップ。その試合で敗れて大学サッカー生活に幕を閉じたが、最終ラインの中心選手として大きな存在感を放っていた。
当時から分析の仕事も兼務していた。「大学の途中から分析に興味は持つようになっていて、それこそ『#atarimaeniCUP』などの大会では、大学内で何人かの分析グループみたいなのを作ってやっていました」。卒業後は分析に加えて指導者としてのキャリアも見据え、筑波大大学院に進学。在籍中の22年から男女の世代別代表で分析を担当すると、パリ五輪世代にも引き上げられ、24年9月のW杯最終予選からA代表に加わった。
選手としてではなく、テクニカルスタッフとして辿り着いたA代表の舞台。情報量がモノをいう分析の世界では、時に睡眠時間を削ってまで作業を進めることも少なくないが、サッカー選手なら誰もが夢見る世界での仕事は充実感に満ちているという。
「シビアに結果が求められる中で、結果を残していかないとというのはもちろんありますけど、自分の仕事に集中してしっかりと求められていることをまずはやっていくというところにフォーカスしてやっているので、苦しいというよりも、目の前の試合に向けてやっていくワクワク感、実際に試合でどうなったというのを感じられるところに楽しさがある。もちろん大変なこともありますけど、苦労という感じではないですね」
テクニカルスタッフの中では最年少の27歳。現役時代のプレーはまだまだ健在だ。日本代表の練習では松本良一フィジカルコーチの方針もあり、「鳥かご」と呼ばれるボール回しのウォーミングアップメニューにたびたび参加。同世代のトッププレーヤーだったDF冨安健洋やMF堂安律と同じフィールドに立ってプレーし、「ナベ」の愛称で親しまれている。
「単純に一緒にやっていてもちろん楽しいというのがありますし、もちろん自分もボールを蹴るのが好きなので、やらせてもらっていて楽しいなと思いますね。 やっぱり彼らは本当にめちゃくちゃうまいので、(報道陣の)皆さんも見てらっしゃると思いますけど、僕は中(鳥かごの中の鬼)にばっかり入っている気はしますが(笑)、そこは純粋にサッカーを楽しみながらやらせてもらっています」
分析の担当部門はセットプレー。同じくセットプレーを担当する前田遼一コーチは取材の場で渡邉氏を「セットプレーコーチ」と称しており、単なるスタッフの領域にとどまらない貢献でチームを支えているようだ。そうした働きを担うにあたっても、選手として第一線でプレーしていた経験は活きている。
「もちろん代表選手は僕がやっていたところとレベルが正直全然違うので、選手としてというのがどれくらい活きているかは分からないですが、分析する中でもやっぱり選手の目線に立って考えるとか、試合中にどういう感情で選手がプレーしているとか、そういうところはできるだけ想像を膨らませてやるようにはしているので、そういったところには少し活きているのかなと思います」
近年、プレミアリーグで覇権を取ったアーセナルが注目を集めているように、ますます重要な局面となっているセットプレー。W杯に向けた詳しい戦略はもちろん秘密だが、「相手がどういう特徴があって、どう入ってくるか、逆に守備はどう守っているか、どういうところに弱点があるか」という点に全てを捧げ、チームの勝利に貢献している。
夢のW杯は14日のグループリーグ初戦オランダ戦で幕を開ける。「自分にとっても小さい頃から憧れの舞台ではあるので、そこにスタッフとして関われるというのはものすごく光栄なこと。ただやっぱりそこで結果を残したいという気持ちが強いので、本当に責任感を持って大会に臨みたいと思います」。大学サッカー界から羽ばたいた若きスペシャリストが、世界一を目指す森保ジャパンの鍵を握っている。
(取材・文 竹内達也)
日本代表のテクニカルスタッフを務める渡邉秀朗氏は札幌新川高、北海道教育大岩見沢校出身の27歳。コロナ禍に行われた2021年冬、中止となった総理大臣杯とインカレの代替大会『#atarimaeniCUP』に主力CBとして出場し、初戦で高知大を破る快挙を演じた実績を持つ。2回戦では甲南大と対戦し、現岡山のFW木村太哉ともマッチアップ。その試合で敗れて大学サッカー生活に幕を閉じたが、最終ラインの中心選手として大きな存在感を放っていた。
現役最終戦となった試合でFW木村太哉(写真右)とマッチアップ
当時から分析の仕事も兼務していた。「大学の途中から分析に興味は持つようになっていて、それこそ『#atarimaeniCUP』などの大会では、大学内で何人かの分析グループみたいなのを作ってやっていました」。卒業後は分析に加えて指導者としてのキャリアも見据え、筑波大大学院に進学。在籍中の22年から男女の世代別代表で分析を担当すると、パリ五輪世代にも引き上げられ、24年9月のW杯最終予選からA代表に加わった。
選手としてではなく、テクニカルスタッフとして辿り着いたA代表の舞台。情報量がモノをいう分析の世界では、時に睡眠時間を削ってまで作業を進めることも少なくないが、サッカー選手なら誰もが夢見る世界での仕事は充実感に満ちているという。
「シビアに結果が求められる中で、結果を残していかないとというのはもちろんありますけど、自分の仕事に集中してしっかりと求められていることをまずはやっていくというところにフォーカスしてやっているので、苦しいというよりも、目の前の試合に向けてやっていくワクワク感、実際に試合でどうなったというのを感じられるところに楽しさがある。もちろん大変なこともありますけど、苦労という感じではないですね」
テクニカルスタッフの中では最年少の27歳。現役時代のプレーはまだまだ健在だ。日本代表の練習では松本良一フィジカルコーチの方針もあり、「鳥かご」と呼ばれるボール回しのウォーミングアップメニューにたびたび参加。同世代のトッププレーヤーだったDF冨安健洋やMF堂安律と同じフィールドに立ってプレーし、「ナベ」の愛称で親しまれている。
「単純に一緒にやっていてもちろん楽しいというのがありますし、もちろん自分もボールを蹴るのが好きなので、やらせてもらっていて楽しいなと思いますね。 やっぱり彼らは本当にめちゃくちゃうまいので、(報道陣の)皆さんも見てらっしゃると思いますけど、僕は中(鳥かごの中の鬼)にばっかり入っている気はしますが(笑)、そこは純粋にサッカーを楽しみながらやらせてもらっています」
練習にも参加し、選手とともにボールを蹴っている
分析の担当部門はセットプレー。同じくセットプレーを担当する前田遼一コーチは取材の場で渡邉氏を「セットプレーコーチ」と称しており、単なるスタッフの領域にとどまらない貢献でチームを支えているようだ。そうした働きを担うにあたっても、選手として第一線でプレーしていた経験は活きている。
「もちろん代表選手は僕がやっていたところとレベルが正直全然違うので、選手としてというのがどれくらい活きているかは分からないですが、分析する中でもやっぱり選手の目線に立って考えるとか、試合中にどういう感情で選手がプレーしているとか、そういうところはできるだけ想像を膨らませてやるようにはしているので、そういったところには少し活きているのかなと思います」
近年、プレミアリーグで覇権を取ったアーセナルが注目を集めているように、ますます重要な局面となっているセットプレー。W杯に向けた詳しい戦略はもちろん秘密だが、「相手がどういう特徴があって、どう入ってくるか、逆に守備はどう守っているか、どういうところに弱点があるか」という点に全てを捧げ、チームの勝利に貢献している。
夢のW杯は14日のグループリーグ初戦オランダ戦で幕を開ける。「自分にとっても小さい頃から憧れの舞台ではあるので、そこにスタッフとして関われるというのはものすごく光栄なこと。ただやっぱりそこで結果を残したいという気持ちが強いので、本当に責任感を持って大会に臨みたいと思います」。大学サッカー界から羽ばたいた若きスペシャリストが、世界一を目指す森保ジャパンの鍵を握っている。
(取材・文 竹内達也)
