アルゼンチン相手に追加点を上げた高田。特筆すべきパフォーマンスだった。写真:松尾祐希

写真拡大

 172センチと決して大柄ではない。だが、それを補って余りあるスピードと、当たり負けしない骨太な身体を武器にゴールへ突き進む。自身初となる世代別代表の戦いで、FW高田憲慎(2年/帝京大可児高)が飛躍の予感を匂わせた。

 6月7日に行なわれたU-16インターナショナルドリームカップの最終日。4チームの総当たり方式で対戦する形式で、廣山望監督が率いるU-16日本代表は、優勝をかけてU-16アルゼンチン代表と対戦した。

 互いに2連勝中で勝利したほうが王者となる一戦で、日本は序盤からショートカウンターを主体に攻め込んで前半だけで2−0とした。後半は押し込まれる時間が長くなったものの、うまく凌いでさらに2ゴールを加点。相手の反撃は1点に留め、来秋のU-17ワールドカップを目ざすチームが強豪国を下して頂点に立った。

 この試合で主役となったのは、言うまでもなくMF三井寺眞(1年/横浜FM)だ。3−4−2−1の右シャドーで変幻自在な仕掛けを見せ、2ゴールと1アシスト。全試合でネットを揺らして大会通算4得点をマークし、MVPにも輝いた。その一方で新たなタレントの台頭もあったのも好材料で、その代表格が高田だろう。
 
 とりわけ、アルゼンチン戦は特筆すべきパフォーマンスだった。後半開始からピッチに立つと、1トップで先発したフランスとの第2戦(3−1)とは異なり、左シャドーのポジションでプレー。ビハインドを挽回しようとしてきた相手の圧力に苦戦し、攻め込まれる展開のなかで、高田も前線から精力的にボールを追い回す時間が増えた。それでも、虎視眈々とチャンスを伺い、最終盤に好機を掴む。

 2−0で迎えた82分、ペナルティエリア手前でボールを持った三井寺が相手の裏を突く左足のアウトサイドで前に出すと、高田は相手DFの死角で上手くパスを受ける。

「相手ディフェンダーが食いついてきたので、キックフェイントをしたら引っかかると思ってやったら、本当にうまく引っかかってくれて」(高田)

 本人もしてやったりの狡猾なプレーから、最後は冷静に右足を振り抜いてネットを揺らした。

 勢いに乗った高田は1点を返されて迎えた90+4分に、左サイドを深く抉ってFW伊藤航(1年/FC東京U-18)のゴールをアシスト。途中出場ながら結果を残し、廣山監督も「今日はかなり守備のタスクに追われたけど、愚直にできる精神的な強さを見せてくれた」とニューカマーに賛辞を送った。
 
 早生まれで高校2年生ながらU-16世代のチームに加わった高田。だが、これまでは一度も世代別代表に招集されていなかった。岐阜U-15でプレーしていた中学3年生の時に夏のクラブユース選手権で準優勝に貢献。8戦で4ゴールという活躍でチームの快進撃を支え、卒業後は「テレビで選手権をよく見ていた。ここでもっと成長できる」(高田)と感じた帝京大可児へ進学した。

 しかし、昨季は苦戦を強いられる。1年次もインターハイ本大会でメンバー入りを勝ち取ったものの、出場機会はなし。冬の全国舞台は登録リストから漏れた。そこから巻き返しを図った今季はエースとしてチームを引っ張り、3ゴールをマーク。スピードを活かした裏抜けや身体の強さが評価され、インターナショナルドリームカップで初の代表入りを掴み取った。

 自信を深めたなかで迎えた今大会だったが、コートジボワール戦(3−2)とフランス戦は無得点。「フォワードなのに点が決められていなかった。初代表なのでどうやって生き残るかというと、やっぱりゴールを取ること。2試合で得点が取れていなかったので、この最終戦は絶対に取ってやろうと思っていた」という想いでピッチに立ち、最終戦で結果を残した。
 
 だが、まだスタートラインに立ったにすぎない。本人も自覚しており、「フィジカルの強さとスピードが長所で通用したところはあるけど、課題のドリブルは海外勢相手になると、身体を入れられて突破ができなかった」という言葉からも向上心が垣間見えた。

 次の大舞台は夏のインターハイとなる。自身が代表活動で離れている間にチームは予選を勝ち抜き、夏の全国大会出場を決めた。奇しくもこのアルゼンチン戦を戦ったJヴィレッジスタジアムは、インターハイ決勝の舞台でもある。

 もう一度このピッチに立つためには、さらなる成長は必要不可欠。ワールドカップメンバーに入ったDF鈴木淳之介(コペンハーゲン)のようなシンデレラストーリーを歩むべく、“無印のストライカー”はさらなる高みを目ざして研鑽を積む。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

【記事】「別格だった」アイスランド代表の主将が脱帽した森保ジャパン戦士は? 久保でも中村でもなく…日本代表の印象は「明らかに技術が高い」