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119番通報、胸骨圧迫、AED――。偶然居合わせた3人のとっさの判断と、見事な役割分担が、一人の命を救った。

【写真を見る】「空白の7分間」とっさの通報、胸骨圧迫、AED…心肺停止の男性を救った命のリレー 救命の連鎖を完璧に体現

和やかな会場が一転

4月6日、大分市内にある大型ボウリング場。親睦を目的とした建設業界の大会が開催され、36の企業から84人が参加。会場は和やかな熱気に包まれていた。

しかし、ゲームが終わり、表彰式を待っていたそのときだった。

喫煙所から戻った参加者の50代男性が、「きょうは、たばこを吸う気分にならない」とポツリ。そのまま椅子に腰掛けた直後、ずるずるとテーブルにぶつかりながら床へ倒れ込んだ。

周囲が突然の事態に動揺し、人だかりができるなか、3人の男性がとっさに動き出した。

「5分以内の処置が重要なのは前々から知っていたので、自分がするしかない」と、すぐに119番通報をしたのは、谷川建設の加賀田勇さん(46)。さらに同僚の坂元利伎さん(30)が駆け寄り、呼吸と心拍を確認。心肺停止状態に陥っていることに気づいた。

坂元さん:
「焦りはありましたね。本当に心臓が止まっていると分かったときは、もう『どうしよう』という気持ちになって……」

空白の7分間「命のリレー」

すぐさま山崎工業の佐藤尚之さん(42)が、身内の医療従事者から聞いていた知識を頼りに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始。そこへ、AED(自動体外式除細動器)が届けられた。

途中で男性の呼吸が一瞬戻ったように見え、周囲には「パッドを貼るのをやめようか」と迷う声も上がった。しかし、意識は戻っておらず、坂元さんは「やはり貼ろう」と決断し、AEDを装着した。

坂元さん:
「AEDを作動させたほうがいいと、なんとなく覚えていた。あとは機械にお任せしたという感じです」

AEDによる自動解析の結果、『電気ショックが必要です。離れてボタンを押してください』との音声ガイダンスが流れた。坂元さんがボタンを押すと、男性の体はビクンと大きく動いた。電気ショックの直後も呼吸は戻らなかったため、絶え間ない胸骨圧迫を継続した。

通報から消防隊が到着するまでの「空白の7分間」。3人の連携による命のリレーは、駆けつけた消防隊、そして救急隊へと引き継がれた。

「救命の連鎖を完璧に体現」

坂元さん:
「10年前くらいに大学の授業で講義を受けたことがあり、それをなんとか思い出し……とにかくがむしゃらにやったという感じです」

佐藤さん:
「知識も経験もそんなにないので、とにかくやらなければという思いだけでした」

適切な救護措置の結果、倒れた男性は一命を取り留め、すでに職場へと復帰を果たしている。

大分市中央消防署で21日に行われた表彰式で、山本正浩署長は「市民による理想的な救急救命活動だった。救命の連鎖を完璧に体現するような行動だった」と、3人の勇敢な行動を称えた。