補正予算、「赤字国債」の発行総額増やさず対応…長期金利の急上昇で高市首相も国債マーケット意識
補正予算案の編成を25日正式表明した高市首相は、「真に緊急性のある」対応に限定したと強調した。
赤字国債の発行総額を増やさずに補正を組むことで、市場の信認を確保したい構えだが、積極財政への懸念はくすぶり続けている。
例年は秋に実施することが多い補正予算を政府が早期に編成するのは、ロシアのウクライナ侵略でエネルギー価格が高騰したことへの対策を行った2022年度(5月)以来、4年ぶりだ。
補正予算の財源には国の借金である赤字国債を充てるが、26年度の国債発行額は増えない見通しという。税収増などにより、25年度分として発行予定だった赤字国債のうち、3兆円分は発行せずに済むためだ。首相は「市中への発行総額は増やさずに対応するので、国債マーケットに影響を与えずに実行可能」との考えを示した。
首相が市場を意識するのは、財政悪化への懸念から長期金利が急上昇していることが背景にある。補正の編成方針が伝わると、代表的な指標である新発10年物国債の流通利回りは18日に一時2・800%と29年半ぶりの高水準となった。金利の上昇は国債の利払い費増加につながり、財政運営が一段と苦しくなる。
一方、3兆円強とする補正予算の規模が「真に緊急性がある」かどうかは議論が分かれそうだ。中東情勢の悪化で原油価格が高騰する中、首相は夏の電気・ガス代を昨年の水準以下にすることにこだわった。電気・ガス代の補助には5000億円程度を見込む。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「補正予算の規模は市場には配慮しているが、財政健全化を強調しているとは言えない。ホルムズ海峡の封鎖が長期化する場合、エネルギー高騰対策を徐々に縮小すべきだ」と指摘する。
