日本の防衛費「11兆円」が追い風…国策に売りなしの「防衛関連銘柄5選」を実名公開

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日経平均が6万3000円台の最高値を記録するなかで、恩恵を受けていない。むしろ中東情勢から評価額を落としているという声も聞こえてくる。『 資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全 』(PHP研究所)が好評な桶井道(おけいどん)氏は、これをうけて言う。「投資において重要なことは、銘柄選びの前に、需要が増える分野を選ぶこと」「需要が増えるから供給を増やせる企業が儲かる、だから株価が上昇するということ」。その明快な論旨にそって、本稿では需要増が期待できる分野として防衛株を解説してもらう。

投資の基本は需要が増える分野を選ぶこと

投資するときに、銘柄分析することは当然です。しかしながら、私は銘柄の前に分野(業界)を研究すべきだと考えています。需要が増える分野を選ぶことが何より大事であると。

需要が増える→そこに供給を増やせる企業は利益を上げる→利益が増えれば株価も連動して上昇する・増配となる

極めて明快な流れです。ですので、まずは需要が増える分野を選び、その次にそのなかで上位企業を選ぶことが大事です。続いて、ビジネス分析によって、業界内で優位なポジションをキープできるかを確認することも忘れてはなりません。

国策に売りなし…世界情勢と各国の防衛費

では、需要が増える分野をどう探せばよいのでしょうか? その一つは国策に乗ることです。「国策(政策)に売りなし」とは、あまりに有名な投資格言です。国が必要とする分野なのですから、業績も株価も伸びるポテンシャルがあります。防衛もその一つに挙げられます。

戦後(1945年以降)、戦争をしたことのない国である日本に住んでいますと、平和が当たり前に思えてしまいます。しかし、周辺国を見渡しますと、地政学リスクが以前より増してきていることが窺えます。台湾有事といえば、「あって欲しくはないが、ありうるかもしれない」と多くの人が感じているでしょう。

より、グローバルな視点で、地球を俯瞰してみると、戦後(1945年以降)に他国と戦争をしていない国は、国連加盟国のうち日本を含め少数派とされています。

2026年現在で、中東、ロシア・ウクライナ、南米、アフリカ、アジアなどの多くの地域で、戦争、紛争、内戦、軍事作戦が起きたり、または緊張状態にあったりします。これら世界情勢を踏まえますと、戦争もそのリスクもない平和な世界になるという理想は、まず叶わないと思います。残念ではありますが、各国が防衛費を増やしていくという流れは不可逆的であるといえるでしょう。

世界の防衛費(軍事費)は、2025年に前年比2.9%増、約460兆円に達し、過去最高を更新したとの報道があります。米国は同盟国に防衛費をGDP比5%まで引き上げるよう求めているとされています。日本は、防衛関連費をGDP比1%から2%に上げ、2025年度に11兆円(補正予算を含む)となりました。2026年度も10兆6000億円規模です。

このように、定性的に見ても、定量的に見ても、「防衛費は増える=需要は増える」ことがわかります。

日本政府の政策にも注目

そして、国策として防衛がさらに加速するエビデンスがまだあります。3つあげましょう。

(1)政府は「防衛装備移転三原則」を改定しました。従来の「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)の制限を撤廃したことで、戦闘機や護衛艦の輸出が可能となりました。早速、日豪防衛相会談にて、「もがみ型護衛艦」の能力向上型11隻の契約(輸出等)が成立し、報道でご覧になった方も多いと思います。また、次期戦闘機についても、2022年に日英伊による共同開発を公表しています。この戦闘機の第三国への輸出も可能となります。これは防衛産業にとり、国内に限られてきたパイが海外に広がることを意味します。

(2)政府は戦略17分野を定め、防衛産業もその一つです。「現状では重要な構成品の供給を国外に依存しているものがあり、自立性確保が急務。デュアルユース(防衛・民生両用)技術として、防民一体での生産・技術基盤の構築が不可欠。これによって防衛と経済の好循環も実現できる」としています。防衛のために作られたものが民間でも使われるということは、企業はそれだけ供給量が増やせる、つまり売上高が増え、利益が増えることを期待できます。

(3)最後に、少し遡った政策も紹介しておきます。防衛装備の営業利益率は従来8%を目安とされてきました。それが、2023年度に最高15%まで引き上げられました。利益が出やすい政策に舵を切ったことは、防衛産業には追い風でしょう。

防衛装備庁の契約額からわかること

需要が大事と申しましたとおり、供給側からではなく需要側からの数字を見ていきましょう。防衛装備庁は、毎年、装備品の調達先を公表しています。最新の資料となる「中央調達における令和6年度調達実績」を確認しましょう。

令和6年度調達実績

順位 会社名 件数 契約金額(単位:億円)

1位 三菱重工 238 14,567

2位 川崎重工 133 6,383

3位 三菱電機 139 4,956

4位 日本電気 282 3,117

5位 富士通 144 1,736

6位 ジャパンマリンユナイテッド 3 1,614

7位 東芝インフラシステムズ 93 1,569

8位 日本製鋼所 46 1,206

9位 伊藤忠アビエーション 44 971

10位 日立製作所 98 798

私は素直にこの上位に投資妙味があると考えています。この何百億円〜数千億円、それ以上にも及ぶ数字が、需要そのものだからです。戦闘機、護衛艦、ミサイルなど、急に他社が「当社も作ります」と宣言して新規参入などできない世界です。いったん調達先に選ばれれば、ずっと必要とされ続けることが見えてきます。

「防衛関連銘柄」を紹介

最後に、防衛株5選をご紹介します(推奨ではなく紹介です。投資判断は自己責任にてお願いいたします)。上述の契約金額の上位4社(令和6年度および令和5年度)に加えて、期待の1社を選出しました。

(1)三菱重工業(7011)

防衛装備庁との契約額において、長年にわたりダントツの1位です。

国の「防衛装備製造部門」といっても過言ではないでしょう。護衛艦、潜水艦、F2戦闘機、F15J戦闘機、戦車、哨戒ヘリコプター、救難ヘリコプター、ミサイルシステム、魚雷などを製造しています。いずれも機密技術の塊で、他社の新規参入など考えられない製品ばかりです(以下も同様)。ほかに、宇宙開発、核融合炉、水素・アンモニア燃料、物流自動化機器、造船、民間航空機の主翼や胴体およびエンジンなど、国策やそれに準ずる重要分野の多くを担っています。

(2)川崎重工業(7012)

P1哨戒機、C2輸送機、輸送ヘリコプター、ミサイルの誘導機器などを製造しています。現在は、高出力レーザーシステムの研究・開発を行っています。また、ボーイング787など民間機の国際開発・生産プロジェクトにも参画し、宇宙関連、造船にも携わります。さらには、産業用ロボット関連でも存在感があり、フィジカルAI関連銘柄でもあります。

(3)三菱電機(6503)

航空機の火器管制システム、レーダーシステム、P1哨戒機搭載機器、護衛艦搭載機器、C2輸送機無線機などを製造しています。また、人工衛星搭載機器、自動搬送ロボット、船舶用方向探知機も扱います。半導体・デバイス事業も有しており、半導体銘柄でもあります。

(4)日本電気/NEC(6701)

自動警戒管制システム、無線機、通信システム、防空・ミサイル防衛システム、指揮統制システム、クラウドシステムなどを製造しています。また、海底ケーブルで世界のトップ3に名を連ねており、現状の世界シェア25%を35%まで伸ばす目標を掲げています。生体認証において世界トップクラスです。

(5)日本製鋼所(5631)

装甲車、ミサイル発射機、りゅう弾砲を製造、レールガンを開発しています。レールガンは、電気エネルギーによって弾丸を超高速に撃ち出す兵器で、防衛省から研究開発案件として受注しています。これが実現すれば、ゲームチェンジャーになりうる兵器で、同社の売上・利益に貢献するでしょう。

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