BBQでの“着火剤の継ぎ足し”は厳禁!

元救急隊員の知識を活かし、防災や事件解説などを動画配信している兼平豪さん。2022年8月、彼のもとに兄・竜也さんから緊迫した電話が入った。「顔に火傷をした」といい、救急隊が来るまでどうすればいいか聞いてきたのだ。

その少し前、竜也さんは家族で近くの公園にバーベキューをしに来ていた。炭に火をつけるために使ったのはジェルタイプの着火剤で、手慣れた様子で火をおこしていった。
しかしちょっと目を離した隙に火が消えてしまったように見えた。弱かったかなと思った竜也さんは、もう一度火をつけ直そうと着火剤を炭の上に継ぎ足す。そしてライターを探していた時、耳元でガスが漏れているような微かな音がした。周りは気づかないほどの音だった。

竜也さんは音のもとが着火剤のボトル本体だと気づき、そのままのぞき込んだ瞬間、突然の噴射が。噴射されたジェルには火がついており、竜也さんの顔を直撃した。
この日使ったジェル状の着火剤の主な成分はメタノールと呼ばれる液体燃料で、明るい場所では炎が見えにくいという特徴がある。よく晴れた日なたで火をおこしていた竜也さんはその炎に気づくことができず、消えたと勘違いして着火剤を炭の上に継ぎ足してしまったのだ。着火剤のパッケージには「つぎたし厳禁」と大きく表示されており、竜也さん自身もそのことは知っていた。
着火剤を継ぎ足した瞬間、見えない炎がジェルを伝ってボトル内に侵入。ボトル内で引火して膨張し、行き場を失った炎が一気に口から噴射されたのだ。
粘着質の炎はすぐには取れない。しかも炎が見えないため、竜也さんが熱さで飛び跳ねる様子を見ていた妻も子どもたちも、最初はふざけているとしか思わなかった。
なんとか水筒のお茶で消火し、すぐに救急車を呼んだ。その間、竜也さんは元救急隊員の弟・豪さんに応急処置の方法を確認したのだ。
豪さんからは「流水で、救急車が来るまで顔を冷やしておいて」と指示を受け、その通りに対処。この行動が竜也さんを助けることになる。
救急車で病院へ搬送され、豪さんも合流。顔の広範囲にやけどをしていたものの、しっかり水で冷やしたことがよかったのか入院には至らず、皮膚が再生するまで3週間ほどかかったものの、皮膚移植などをせずに回復。事故から4年、竜也さんは今では火傷の痕がわからないほどになった。
同じような事故はこれまでにも起きており、消防庁からは注意喚起がされている。一度火をつけた炭には着火剤を継ぎ足ししないことが鉄則。バーベキューの際は、見えない火に十分気をつけてほしい。
