中古の防衛装備品、無償・安価での供与が可能に…フィリピンへの護衛艦の輸出念頭・中国の強引な海洋進出に抑止力
政府は、不用となった防衛装備品の海外輸出を巡り、殺傷・破壊能力のある武器を無償や安価でも特例で供与できるよう、自衛隊法を改正する方向で検討に入った。
フィリピンへの護衛艦の輸出などが念頭にある。中国が強引な海洋進出を続ける中、同志国と連携を強化し、抑止力を高める狙いがある。
年内に改定する国家安全保障戦略など安保3文書に必要性を明記し、来年の通常国会での法改正を目指す。複数の政府関係者が明らかにした。小泉防衛相は5月の大型連休中にフィリピンとインドネシアを訪問し、中古装備品の輸出について協議する予定だ。
財政法上、装備品は中古でも国の財産として扱われ、無償や安価で供与することはできない。現行の自衛隊法116条の3では、開発途上地域の政府には不用品を時価より安く譲渡できると定めているが、ヘルメットなど非殺傷の装備品に限られ、護衛艦などの武器や弾薬は除外されている。
政府は今月21日、装備品の海外輸出に関するルールを定める防衛装備移転3原則の運用指針を改定し、殺傷・破壊能力のある武器を原則輸出できるようにした。輸出が可能な17か国にフィリピンとインドネシアも含まれている。
見直しに合わせ、こうした中古の装備品を無償や安価でも供与できるようにする法改正が必要だとの声が高まっていた。自衛隊が使用しなくなった装備品で同志国の防衛力が向上すれば、双方の抑止力・対処力が強化され、地域の安保環境の安定につながることが期待される。
同志国では、自衛隊の中古装備品に関心が集まっている。フィリピンは、就役から30年以上が経過した海上自衛隊「あぶくま型」護衛艦(順次退役予定)の導入を検討している。中古護衛艦の輸出が実現すれば、初の事例になるとみられる。インドネシアは、中古の「おやしお型」潜水艦の導入に意欲があるとされる。ただ、「高値で中古品を買う財政的な余裕がない国が多い」(防衛省幹部)ことが課題となっていた。
3文書改定に向け、自民党は政府への提言の論点整理を進めており、中古装備品について「無償譲渡の対象に自衛隊の武器を加えるべきだ」と指摘していた。
