「血圧の薬」の”副作用”で起きる6つの症状はご存じですか?医師が解説!
血圧の薬で起こる副作用にはどのようなものがあるでしょうか。メディカルドック監修医が主な副作用と症状について解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「血圧の薬で起こる副作用」はご存知ですか?種類別の症状や対処法を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
血圧を下げる高血圧の薬(降圧薬)とは
高血圧(降圧薬)の薬は、高血圧によって将来起こるリスクを減らすために処方されます。まずは薬について、基本的なことを押さえておきましょう。
血圧が高いと起こる健康リスクとは
血圧が高いと、血管の壁に常に強い圧力がかかり続けます。そのため、血管は厚く硬くなって動脈硬化が起こり、結果的に下のような重い病気になるリスクが高まります。
部位 おもな病名
脳 脳出血、脳梗塞、くも膜下出血
心臓 心筋梗塞、狭心症
腎臓 腎硬化症、慢性腎不全
高血圧はこれらの重い病気に対して、発症の直接的な原因にも、血管をボロボロにすることで間接的な原因にもなります。
ただし、血圧が高いだけでは、何の不調もあらわれない方は少なくありません。そのため、高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれています。
そのため、正しく血圧の薬を服用し、現在・将来両方の健康リスクを下げることが非常に大切です。
血圧を下げる降圧薬の主な種類
降圧薬にはいくつかの種類があり、患者さんの体質や合併症、血圧の状態に合わせて使い分けられます。日本でよく使われる薬は以下の通りです。
薬の種類 おもなメカニズムや特徴
カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬) ・血管を広げて血圧を下げる
・心臓を守る効果もある
ACE阻害薬/ARB ・血圧を上げるホルモンのはたらきを抑えて血圧を下げる
利尿薬 ・体内の余分な水分・塩分を尿として排出し、血液量を減らして血圧を下げる
β(ベータ)遮断薬 ・心臓の過剰なはたらきを抑え、脈をゆっくりにして血圧を下げる
これらの薬は単独で使われることもあれば、複数を組み合わせて使われることもあります。
血圧の薬で起こる主な副作用と症状
降圧薬の副作用の多くは、薬が効きすぎたり、本来の作用が別の場所に影響したりすることで起こります。副作用の初期症状を知っておくことで、副作用が出た場合の早い対応が可能になります。
ふらつき・むくみなどの軽度な副作用
以下のような症状は、多少であればすぐに命にかかわる可能性は低いと考えられます。症状があらわれたら、受診時に相談しましょう。
ふらつき
むくみ(とくに足背・ひざ下など)
ふらつきは、どの血圧の薬でも起こる可能性がある副作用で、血圧が下がった状態に体が慣れていないために起こります。続けているうちに治まるケースも多いのですが、転倒には注意が必要です。症状が強い場合や何日も続く場合は早めに相談しましょう。
足背やひざ下のむくみは、カルシウム拮抗薬で起こる可能性がある副作用です。これは、動脈での血管拡張と比べて静脈での血管の拡張が起こりにくいために毛細血管の圧が高まり血液中の水分が血管外へ漏れることで起こります。
また、カルシウム拮抗薬には、むくみの他に頭痛や歯茎の腫れ、ACE阻害薬では空咳(乾いた咳)があらわれることもあります。薬の変更や減量が必要な場合もあるため、気になる点は主治医へ相談してみてください。
ただし、ARBやACE阻害薬を服用している方に顔や唇、舌などのむくみがあらわれた場合は、カルシウム拮抗薬とは違うメカニズムのむくみであるため、早めの対応が必要な可能性が高いです。早急に受診してください。
かゆみ・発疹・腎機能障害などの重度な副作用
まれではありますが、以下のような症状や検査値の異常は、放置すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。これらが疑われる場合は自己判断で薬を中断せず、速やかに医師へ相談してください。
かゆみ・発疹
腎機能障害
皮膚のかゆみや発疹は、薬の成分に対するアレルギー反応(過敏症)としてあらわれることがあります。飲み始めに出やすい傾向ですが、体調によって突然あらわれることもあります。とくにのどのかゆみや息苦しさがあらわれた場合は、早急な処置が必要かもしれません。すぐに受診してください。
また、血圧の薬は腎臓を保護する方向にはたらくのが一般的ですが、腎臓がもともと悪い方はまれに血圧の薬によって腎機能の悪化(腎機能障害)があらわれる可能性も考えられます。尿量がいきなり減る、全身のむくみ、だるさが出るなどがあらわれたら主治医へすぐに相談しましょう。
「血圧の薬における副作用」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧の薬における副作用」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血圧の薬を飲んで副作用が起きることはありますか
伊藤 陽子(医師)
すべての薬には副作用の可能性があるため、血圧の薬で副作用が起こることはあります。
たとえば、薬が効きすぎて血圧が下がりすぎてふらついたり、薬の作用メカニズムによって咳やむくみが出たりすることが考えられます。しかし、副作用はすべての患者さんに起こるわけではありません。
副作用のリスクよりも、高血圧を放置して脳卒中や心筋梗塞になるリスクの方が高いため、処方された薬は基本的にしっかりと服用しましょう。ただし、気になる症状があらわれたら、主治医へご相談ください。
主な血圧の薬の副作用の症状は何でしょうか
伊藤 陽子(医師)
主な血圧の薬には、以下のような副作用があります。
・Ca拮抗薬:足のむくみ・ほてり・動悸・歯肉肥厚
・ACE阻害薬:空咳
・利尿薬:脱水・頻尿・ミネラルバランスの崩れ
・β遮断薬:徐脈・だるさ・気管支喘息の悪化
・すべての血圧の薬:血圧低下によるめまいやふらつき。
また、薬がからだに合わないとアレルギー反応が出て、かゆみや発疹が出る可能性もゼロではありません。薬の服用後に気になる症状があれば、主治医へご相談ください。
高血圧の薬は副作用で認知症リスクが高まる恐れがあるのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
「血圧の薬で認知症リスクが高まる」は、基本的には誤解です。
むしろ、高血圧そのものが認知症の大きなリスク因子です。高血圧を放置すると、アルツハイマー型認知症や血管性認知症のリスクが高まることが分かっています。
ただし、薬が効きすぎて血圧が下がりすぎると、注意が必要なケースもあります。脳血流を調節する機能が低下している高齢者では、血圧が下がりすぎると脳への血流が不足して認知機能に悪影響を及ぼす可能性や、起立性低血圧と認知機能低下の関連を示す報告もあるためです。
一番大切なのは、医師の指導のもとで血圧を適正なコントロールすることです。自己判断で薬をやめず、適切に管理することが、認知症予防につながります。
降圧剤を飲んでいる人がグレープフルーツジュース以外に注意すべき食事はありますか?
伊藤 陽子(医師)
降圧剤を飲んでいる方は、グレープフルーツジュース以外に以下のような食事に注意しましょう。
・グレープフルーツと同様にカルシウム拮抗薬の作用を強める可能性のある、夏みかん・ブンタン・はっさくなど
・カルシウム拮抗薬の作用を弱める可能性のある、セントジョーンズワート(健康食品)
・血圧を上げる可能性のある、塩分の多い食事
・肥満を招き血圧を上げやすくする、脂質の多い食事
ただし、柑橘類でもみかんやネーブル、レモン、バレンシアオレンジなどは、降圧剤への強い影響を心配する必要はありません。基本的には、バランスよく栄養を摂り、食べすぎないことが大切です。気になる点は主治医や、医療機関に在籍していれば管理栄養士へ相談してみましょう。
まとめ 血圧の薬における副作用が起きたら主治医へ相談しよう!
どの薬にも副作用が起こる可能性はあるため、血圧の薬でも副作用が起こる可能性はあります。
代表的な副作用は、血圧降下によるふらつきやめまい、カルシウム拮抗薬のむくみや動悸、ACE阻害薬の空咳などですが、どのような副作用が起こるかは人によって異なります。
薬を服用していて気になる症状が出た場合は、自己判断で薬をやるまえにまずは主治医へ相談しましょう。
「血圧の薬における副作用」で考えられる病気と特徴
「血圧」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系
高血圧腎硬化症脳梗塞脳出血心筋梗塞狭心症起立性低血圧くも膜下出血高血圧を放置すると、脳や心臓、血管などの重い病気のリスクが上昇します。高血圧を指摘されたら、必ず内科や循環器内科を受診しましょう。
「血圧の薬における副作用」の関連症状
「血圧」から医師が考えられる症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
ふらつき
めまいだるさ
頭痛
以上のような症状がみられた場合、血圧上昇による症状、もしくは使用している降圧剤による副作用の両方の可能性が考えられます。まず気になる症状がある場合には主治医に相談してみましょう。自己判断は時に危険な場合もあるため、電話で確認をするか外来を受診することをお勧めします。
参考文献
厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル.低カリウム血症
厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル.血管性浮腫
