【熊本地震10年】「熊本城が好きだから」復旧工事と長年向き合ってきた
熊本地震で壊滅的な被害を受けた熊本城。完全復旧を目指して修復が進められています。
その復旧工事と長年向き合ってきた男性がいます。原動力は熊本城への情熱です。
熊本地震で被災した国の重要文化財、宇土櫓。
解体を終えた櫓の内部。ここで作業をしている男性がいます。
元棟梁の松永孝一さん72歳。
長年にわたり、神社やお堂などの文化財の修復を手がけてきました。
その松永さんが携わったのが、熊本城本丸御殿の復元工事です。
■松永孝一さん「熊本城が好きだから、どうにかしてここで役に立ちたい」
大好きな熊本城。しかし・・・
■松永さん「すごかったです。もう、ただすごかったです。こんなになるとは考えもしなかったですね…」
わずか28時間の間に2度の最大震度7の揺れに見舞われた熊本地震。この巨大地震で熊本城は、天守閣のほとんどの瓦が落ち、石垣は崩落。
松永さんが携わった本丸御殿も床が沈下し、広間の壁が剥がれ落ちるなどの被害が出ました。
大好きな熊本城が壊滅的な姿に。松永さんは傷ついた熊本城の復旧工事を支えました。
その後、定年退職で一度は離れるも、およそ3年前に再び現場に。
「どうしても熊本城の復旧に携わりたい」。そういう思いからでした。
■松永さん「この柱にもうちょっと頑張れるかを聞いていた」
部材の寸法を測る作業は記録として残すためです。
そして、まだ宇土櫓で使える状態なのか?音で判断します。
■松永さん「これが太鼓みたいな音がしますよね。虫が食ったり雨漏りなんかで少し抜けているときに音が少し高くなりますけどね。この部材は、まだやれるって言っていました」
松永さんはこれまで培ってきた技術や知識を若い世代に伝えることにも力を入れています。
■文化財建造物保存技術協会・神長優太さん「僕たちに面白くこの文化財の世界っていうのをやさしく教えてくれるアドバイザーみたいな感じ」
そんな松永さんには長年気にかけている存在がいます。
■松永さん「一番私の競争相手でしたから」
棟梁の田上瞬さん(45)です。
松永さんと田上さんは勤務していた工務店の同僚として数多くの文化財の修復と向き合いました。
■島崎工務店 田上瞬さん「貫通しているため、ここが一番弱いところなんです」
田上さんがこの日扱っていたのは、熊本地震で折れてしまった柱です。
釘を使わない伝統的な技法で木材同士をつなぎ合わせます。
職人として腕を振るう田上さん。
そばで感じた松永さんの仕事に対する情熱。
そして短い時間で確実な修復をする技術を必死に学んだといいます。
■ 田上さん「松永さんは自分が頭が上がらないくらい大棟梁なので、もう、いつか追いついてやろうっていう気持ちで。一大工として、これからも熊本城災害復旧工事に携わっていけたらいいなと思います」
受け継がれる職人たちの技術。
歴史を未来へつなぐために。
熊本城、2052年度の完全復旧へ。
■松永さん「あと100年頑張ってもらわんないかんよな。体の動く限りはもう少しでもお役に立てば何かやってたいですよね」
