フェラーリ・アマルフィ・スパイダーは単なるエントリーモデルに非ず 車両価格4061万円から見える戦略【スーパーカー超王が斬る】
初お披露目から半月を待たずして日本上陸
フェラーリが、それまでの『ローマ・スパイダー』の後継車となる『アマルフィ・スパイダー』をイタリアで初披露したのは、今年の3月12日だった。それから半月を待たずして、そのアマルフィ・スパイダーが日本に上陸。同月24日に東京で発表会が開催された。
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発表会にはフェラーリ・ジャパン代表取締役社長、ドナート・ロマニエッロ氏はもちろん、イタリアのフェラーリ本社から来日したプロダクトマーケティングマネージャーのマッティア・メッジョリン氏も同席。日本市場がいかに重要な輸出マーケットであるのかを、改めて強くアピールすることになった。

ローマ・スパイダーの後継車となる、『フェラーリ・アマルフィ・スパイダー』。 フェラーリ・ジャパン
まずは簡単に、アマルフィ・スパイダーというニューモデルの概要を復習しておくことにしよう。メカニズムは、基本的にはそのベースとなったクーペ仕様の『アマルフィ』と共通している。フロントに搭載されるエンジンはローマ・スパイダーからさらに進化を遂げた、640psの最高出力と77.5kg-mの最大トルクを誇る、3.9LのV型8気筒ツインターボだ。
クローズ時でもクーペのシルエットを美しく再現
実車を目の前にしてまず感じるのは、やはり彫刻的と表現するべきなのだろうか、流麗かつダイナミックなプロポーション。特に印象的なのは、ソフトトップをクローズした時でもクーペのシルエットが美しく再現されていることである。
アマルフィ・スパイダーに採用されたソフトトップは5層構造を持つファブリック製で、それは車速が60km/h未満であれば走行中にも13.5秒でオープン、またはクローズすることができる。カーボンファイバーを構造体に使用したことによる軽量性、そして収納時のサイズも小さく抑えられることも見逃せない部分だ。

ソフトトップをクローズした時でもクーペのシルエットが美しく再現されている。 フェラーリ・ジャパン
なぜソフトトップを採用?
発表会に引き続いて、ロマニエッティ氏とメッジョリン氏が出席したグループインタビューでは、アマルフィ・スパイダーに関するさまざまな質問が投げかけられた。
まず、前作のローマ・スパイダー以来、フェラーリがこのシリーズにリトラクタブル・ハードトップ(RHT)ではなく、ソフトトップを採用している理由について、メッジョリン氏はこう説明している。

日本の発表会に登場したドナート・ロマニエッロ氏(右)とマッティア・メッジョリン氏(左)。 フェラーリ・ジャパン
「クーペのボディシルエットを忠実に再現するためには、ソフトトップを採用することこそがベストな選択でした。今回アマルフィ・スパイダーに使用したソフトトップは5層式の構造を持つもので、ノイズや振動に対してもRHTに匹敵する性能を有しています。さらにそれはパーソナルゼーションの幅も大きく広げてくれるものです。
実際にアマルフィ・スパイダーにはオプションとして4色(スタンダードカラーを含めると6色)のテーラーメイド・ファブリックと、テクニカル・ファブリックと呼ばれる新たな2色を用意しています。コントラスト・ステッチもオプションで選択が可能です」
キャビン内のエアの流れを最適に制御
気になる重量に関しては、「クーペに対して86kgの増加となりますが、最新の軽量設計を施したことよって、パフォーマンスには大きな違いは表れていません」としている。
アマルフィ・スパイダーはまた、ハイウエイにおけるスピード領域でも、常に快適な移動空間を提供してくれるモデルだ。そのために左右後席中央部に電動のウインドウディフレクターが装備され、キャビン内のエアの流れを最適に制御している。メッジョリン氏にとっても、それは同車の大きな特徴として強調すべきところだった。

クーペに対して86kgの増加となるが、パフォーマンスに大きな違いは表れていないという。 フェラーリ・ジャパン
「走行中にキャビンで感じるタービュランスは、高速域でも最小限に抑えられています。まるでオープントップではないモデルのような快適性を、カスタマーは体験するでしょう」
日本市場における価格や投資
アマルフィ・スパイダーのカスタマーへの納車は、日本では早ければ2027年冬、あるいは2028年初頭にはスタートする予定となっている。
そこでクーペとスパイダーの販売比率、そして現在の日本市場におけるフェラーリ車の価格やさらなる投資についての質問に答えてくれたのはロマニエッロ氏だった。

640psの最高出力と77.5kg-mの最大トルクを誇る、3.9LのV型8気筒ツインターボを搭載。 フェラーリ・ジャパン
「ローマ・スパイダーの時は、クーペの誕生からスパイダーが発表されるまで、約半年のタイムラグがありました。さらに納車ベースでは約2年間の時間が必要になったわけですが、クーペを購入されたお客様の多くは、その後スパイダーへと乗り換えられています。
スパイダーの販売比率は市場によって差があると思いますが、日本ではそれは非常に近い数字と考えられます(筆者注:50対50の意と思われる)。販売価格については為替の影響はもちろん非常に大きいですが、フェラーリは2021年から2025年にかけて約24%の上昇という数字にそれを抑えています。
不動産などの価格上昇率と比較すれば、フェラーリ・ジャパンの価格設定は十分に頑張っているといえるのではないでしょうか。イタリア本国との価格差も、競合するほかのブランドと比較すれば小さいですから。日本での新しい投資としては、ニューヨークや上海に続くテーラーメイド・センターの開設などを計画しています」
日本市場での車両本体価格は4061万円
パフォーマンスとエレガンスを、まさに世界最高のレベルで両立させたアマルフィ・スパイダー。参考までに日本市場での車両本体価格は4061万円。フェラーリというブランドに新たなカスタマーを導くには、それはとても戦略的な数字といえそうだ。
アマルフィ、そしてアマルフィ・スパイダーは、ただ単にフェラーリのエントリーモデルとしてラインナップされているモデルではない。実際のフィニッシュやエンジニアリングを見て、筆者はそのような感想を強く抱かされた。

日本市場での車両本体価格は4061万円となる。 フェラーリ・ジャパン
その存在がライバルメーカーに与える影響は、きわめて大きなものになりそうだ。
